しかし、TBS映画の本作は堤幸彦が監督する案もあったのではと推測する。
理由は堤幸彦監督がTBSで製作したSPECは、まさに特殊能力を持った人たちの対決を描く作品でかなりジョジョを意識している作りになっている。
ところどころでジョジョのセリフを入れたり、ジョジョのコミックスを画面に移したたあげく、略すとジョジョと呼ばれるキャラクターが出てジョジョ立ちしたり。
他にも細かくジョジョネタが入り込む作品だ。
そのためTBSを主導に製作委員会は堤幸彦を監督候補の1人としてあげてた可能性は十分ある。
三池監督は今作をサスペンス要素要素を強くした。
堤監督もサスペンスが描ける監督。
そこは遜色無いだろう。
またスタンドのCGクオリティも、さほど代わり映えのないだろう。
では、何が変わるか?
堤幸彦監督は20世紀少年を監督した時インタビューなどで何度も原作の完全コピーを宣言していた。
堤幸彦監督の言う完全コピーとは、マンガの中の主要キャラクターの髪型や服装だけでなく、脇のキャラクターもこだわり、マンガのアングルやカット割まで細かくコピーする事を言う。
そのため絵コンテには原作マンガのカットをそのまま貼り付るほどのこだわりを見せた。
もちろん三池監督もキャラクターの衣装などは原作をコピーする方だ。
しかし堤幸彦がジョジョを監督したら、おそらく原作完全コピーを目指しアニメ版のようにジョジョ立ちを再現し、独特な擬音が画面の中に書き出される演出がなされ、コマ単位でのアングルまでもをトレースした可能性は高い。
また背景の色なども統一感のない着色をしただろう。
もし原作を完全コピーすることに成功していたら良くも悪くも話題になり興行収入もまた変わってきたかもしれない。
一方で三池崇史監督だからこそ出来たこともあると思う。
今作の三池監督最大の功績はスペインロケだ。
あの発想は堤幸彦監督には出なかっただろう。
おそらく杜王町の舞台は仙台だからそれがベストという判断をした可能性が高い。
その点が原作を適度に破壊できる三池監督の美点なのかもしれない。
堤幸彦と三池崇史、どちらがジョジョの監督に相応しいかはわからないし既に三池崇史監督作品として公開されてるため堤幸彦版は完全に妄想でしか考えられない。
しかしそんなifを妄想するのも楽しいものだ。