ウィル・スミス主演の「アイ・アム・レジェンド」はテレビでも何度も放映された大ヒット作品だ。
- 本作のラスト
本作は地球にたった1人だけ生き残った研究者のウィル・スミスがゾンビに襲われながらも生きるために戦う物語です。物語は色々あって主人公は自分以外の生き残りの親子と出会い他にも生き残りがいることを知る。
クライマックスは主人公たちの家を襲撃してくるゾンビに対して、主人公は生き残りの親子ににゾンビを人間に戻す薬を託し自身を犠牲にして親子を逃がす。ゾンビから逃げることが出来た親子は、他の生き残りの住む場所に戻り、彼の作った薬を伝える。その薬により彼は伝説となって物語の幕は閉じる。
それが本作のエンディングだ。
- 真のエンド
何と感動的な物語だろう。
と思ったのだがこのエンディングは実は試写会の評判が悪かったために急遽作られたエンディングで、本来公開する予定だったエンディングが存在する。もう１つのエンディングでは、本作の前半の意味ありげに語られた「ゾンビには知性も感情もない」というセリフが見事に回収される。
公開バージョンのエンディングでは主人公の家にゾンビが襲ってきたのはただ単に主人公たちを襲うためだった。しかしもう１つのエンディングではゾンビたちが主人公の家を襲ったのは、主人公が薬を作るためにモルモットにされてた仲間のゾンビを取り戻すためだった。つまり彼らには知性と感情があった。
また主人公は他にもゾンビをモルモットとして何体も犠牲にしていた。これはゾンビからすると彼こそがゾンビの仲間を誘拐して殺しまくる自分たちとは違う生物であり、「伝説の怪物」だったということになる。実はこれがタイトルの「アイ・アム・レジェンド」の真の意味だったのだ。つまりここで襲われる人間という視点と襲うゾンビという視点の立場の逆転が行われる深い映画になる予定だったのだ。
ゾンビたちは仲間を取り戻すという目的を果たすと主人公たちの家から出て行く。
なので主人公はもう１つのエンディングの方では最後まで生きている。個人的にはこっちのが好きなエンディングだが、試写会の評判が最悪だったのでプロデューサーがラストを変更させたかった気持ちもわかる。
- 結果的に大成功した興行収入
本作は結果的に日本も含めて世界的に大ヒットしている。もしもう１つのエンディングのまま公開されれば世界的ヒットには繋がらなかったかもしれない。
ただもう１つのエンディングなら大ヒットしなくても多くの人に何かを考えさせる傑作になってたかもしれない。まぁ、「試写会の反応によってエンディングを変えることに対しての功罪」について考えさせられたのである意味では考えさせられる映画にはなったけどね…
