今更感もありますが、2017年度の興行収入ランキングトップ10の解説をします。
第1位 美女と野獣 124.0億円
ディズニーアニメの名作をエマ・ワトソン主演で実写映画化した「美女と野獣」が興行収入124.0億円と100億円の大台を超えて堂々第1位を獲得した。
本作は4月21日から全国773スクリーンで公開され、土日2日間で動員72万9114人、興収10億6536万2800円を稼ぎ出し、21日からの3日間では動員95万1214人、興収13億7876万5600円の強烈なスタートを決め、公開2週目も勢いは衰えず、週末2日間で動員68万3500人、興収11億2200万円と1週目を上回る成績でその勢いのままゴールデンウィークを駆け抜け年間トップの座を手にした。
ちなみにこの記録は昨年度の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の興行収入116.3億円を上回り、国内映画興行収入でも歴代18位の記録になっている。
第2位 ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 73.4億円
第2位は「ハリー・ポッター」シリーズ完結から5年を経て、新たに製作されたシリーズの第1作「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」が興行収入73.4億円でランクイン。
日本では過去に「ロード・オブ・ザ・リング」が興行収入100億円を超える大ヒットを記録したが、その前日譚に当たる「ホビット」は15億円前後の興行に留まったため本作の興行も不安視されていた。
そんな不安の中11月23日により全国966スクリーンで公開され、土日2日間で動員54万6000人、興収8億2300万円を記録。23日からの5日間では興収17億円を超えら大ヒットスタートとなった。
ちなみに本作の興行は「ハリーポッター」シリーズの中では全9作品中第8位の成績。
第7作目の「ハリーポッターと死の秘宝 PART1」の興行収入68.6億円を上回っている。
ハリポタシリーズの興行は一作目から203.0→173.0→135.0→110.0→94.0→80.0→68.6→96.7(億円)と最終作を除き基本右肩下がりだったが、本シリーズはどう推移するか?
第2作目の公開は今年の冬に予定されてるが、どこまでのパフォーマンスを見せれるか大注目のシリーズだ。
第3位 怪盗グルーのミニオン大脱走 73.1億円
第3位はユニバーサル・スタジオとイルミネーション・スタジオによる人気アニメーションシリーズの第3弾「怪盗グルーのミニオン大脱走」が興行収入73.1億円でランクイン。
本シリーズの凄みは1作目が12.0億円、2作目が25.0億円、スピンオフが52.1億円とハイペースな右肩上がりの興行を見せていることだ。
シリーズを重ねるごとにしっかりとミニオンブランドを日本に定着させることに成功していることの証明になっている。
第4位 名探偵コナン から紅の恋歌 68.9億円
第4位は劇場版「名探偵コナン」シリーズ第21作目の「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」が興行収入68.9億円でランクイン。
本シリーズは興行的にここ数年で劇的な伸びを見せており、過去5年の興行は36.3→41.1→44.8→63.3→68.9(億円)と毎年自己ベストを更新するパフォーマンスを見せている。
ちなみにオープニングだけでも興収12億8692万8000円を記録しておりこの成績もシリーズ歴代最高記録。本年度の全映画の中でも第1位のオープニングを記録している。
第5位 パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊 67.1億円
第5位はジョニー・デップ主演の大ヒットシリーズの第5弾「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」が興行収入67.1億円でランクイン。
この数字は前作「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命(いのち)の泉」(最終興行88.7億円)対比で75.6%の成績で、シリーズとしては第1作目「パイレーツ ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」の興行収入68.0億円を下回り歴代ワーストの成績となってしまった。
それでも本年度の興行収入ランキングでベスト5にランクインする根強い人気を見せた。
第6位 モアナと伝説の海 51.6億円
第6位をディズニー・アニメの最新作「モアナと伝説の海」が興行収入51.6億円でランクイン。
一時期は完全にピクサーに押されてた本家ディズニースタジオのアニメーションだったが、「アナと雪の女王」のメガヒット以来コンスタントに50億円以上を叩き出す傾向にある。
しかし日本国内の興行収入をスタジオとしてみると右肩下がりなため今後の水位にも注目が集まる。
第7位 SING/シング 51.1億円
第7位はイルミネーション・スタジオによる長編アニメ「SING シング」が興行収入51.1億円でランクイン。
イルミネーションアニメは「グルー3」と合わせて日本国内だけで124.2億円も稼ぎ出している。
ミニオンだけでなく昨年度の「ペット」と本作も大ヒットしてることからイルミネーションのブランドが日本に定着していると考えられる。
第8位 ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 46.3億円
第8位は「スターウォーズ」シリーズ初のスピンオフ作品である「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」が興行収入46.3億円でランクイン。
ディズニーは「フォースの覚醒」の興行収入の70%程度、つまり興行収入80億円を目標としていたが大きく下回ってしまった。
「フォースの覚醒」対比で39.8%と約4割の数字で、日本でのスピンオフ作品での興行の難しさを如実に表した。
(そう考えるとやはり「ファンタスティックビースト」の興行収入は大善戦と考えられ、日本でのハリポタ人気のスゴさを伺える。)
第9位 映画ドラえもん のび太の南極カチカチ大冒険 44.3億円
第9位は劇場版「ドラえもん」シリーズ第37作目の「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」が興行収入44.3億円でランクイン。
「コナン」同様シリーズ歴代最高の興行収入を記録しており、国民的アニメの名に恥じないパフォーマンスを見せている。
第10位 ラ・ラ・ランド 44.2億円
第10位は「セッション」のデイミアン・チャゼル監督が、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーン主演で描いたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」がランクイン。
日本ではミュージカル映画や印象的な音楽が使用されている作品は一度火がつくと口コミで一気に広がり大ヒットになりやすい傾向にあるように思える。
ここまで2017年度の興行収入トップ10だが、今年度はなんと第11位の「バイオハザード:ザ・ファイナル」が興行収入42.7億円、
第12位の「ワイルド・スピード ICE BREAK」が興行収入40.5億円と
興行収入40億円を突破しており、例年より大ヒット作が多くハイレベルな年となった。
その反面実写邦画の最高は第13位の「銀魂」が興行収入38.4億円と、
トップ10入りが無しの少し物足りない興行となった。
原因としては大ヒットが期待されていた「海賊とよばれた男」や「無限の住人」「ジョジョ」などの興行が惨敗だったことがあげられるだろう。
全体としては洋画:邦画の比率が8:2と洋画が強く、実写:アニメの比率は5:5とバランスが良かった。
また昨年の「君の名は。」のようなメガヒットはなかったが一作、一作が大粒なヒットになった印象だ。
2018年度はすでに「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」が興行収入70億円以上のヒットになっているが、100億円を超えるヒット作品は現れるのか?