豪華キャストが集結する華やかなポスターが並ぶ1・2月の映画館。共通項はテレビ局製作映画。それぞれ客層を見事に住み分け各テレビ局が持つ独自の色を提示した3作品を紹介します。
マスカレード・ホテル
テレビ局:フジテレビ
お正月映画では『来る』『ニセコイ』『妖怪ウォッチ』と興行的に振るわなかった東宝配給映画が年を開けて公開された本作が興行収入40億円超えの大ヒットを記録した。昨年『万引き家族』『劇場版コード・ブルー』を大ヒットに導いたフジテレビが新年早々好調な滑り出しを決めることが出来た。
本作は『HERO』の木村拓哉と鈴木雅之監督のタッグ作品で、キムタク主演作品が興行収入40億円を突破するのはSMAP解散後初。ヒットの要因はキムタクが番宣に力を入れた事に加えて、昨年度興行収入16.2億円のヒットを記録した『オリエント急行殺人事件』や同じくフジテレビ製作で2006年に公開され興行収入60.8億円の大ヒットを記録した三谷幸喜監督作品『THE 有頂天ホテル』と同じく1つのホテルを舞台に豪華キャストが揃う贅沢さが作品の魅力となりお正月の名残が残る公開時期とも相性が良かった様に感じる。また豪華キャストが過去のキムタク主演作品に関わった事がある役者が多かったなどファンサービスにも溢れる作品に仕上がっていたのもお祭り感に貢献しており、フジテレビらしさ全開の賑やかな作品となった。
十二人の死にたい子どもたち
テレビ局:日本テレビ
お正月映画に難病モノの『こんな夜更けにバナナかよ』をヒットさせた『24時間テレビ』でお馴染みの日テレは、翌月同じく十八番であるデスゲーム(藤原竜也は不参加)『十二人の死にたい子どもたち』を興行収入15億円を超えるヒットを記録した。
『マスカレード・ホテル』の豪華キャストは「キムタクと愉快な仲間たち」「フジテレビ作品にお馴染みの役者大集合」といった感じだったが、本作は杉咲花、橋本環奈など今をときめく若手俳優を集める形での豪華キャストと客層が被らなかったのも良かった。ちなみに日テレは同時期に菅田将暉が生徒を人質に取りデスゲームをする若手俳優大集合の似たようなタイプの連ドラ『3年A組』を放送していて高視聴率を獲得しており、放送中にCMが流れた事も少なからずヒットに繋がったのかも。何だかんだデスゲーム系は大人気で、日テレは今後もこの路線で当て続けるだろう。
七つの会議
テレビ局:TBSテレビ
「また香川照之が体全身震えさせながら人煽ってるよ」と殆どの人が思った池井戸潤原作の『七つの会議』が昨年の『空飛ぶタイヤ』に続き興行収入20億円を超えるヒットとなった。
TBSは『半沢直樹』の大ヒット以来『日曜劇場』で池井戸潤原作の実写化作品を連発させ高視聴率をバンバン獲得。ドラマだけでは飽き足らず昨年から映画化にも手を出し大ヒットを2連発。『マスカレード・ホテル』『十二人の死にたい子どもたち』同様豪華キャスト集結映画だが、こちらは「日曜劇場に出演する渋めな役者たち」といった感じで此方も客層が被ってないのがプラスに働いた。『マスカレード・ホテル』の東野圭吾原作作品は色々なテレビ局が製作してるイメージだが、近年の池井戸潤作品はTBSばかり使ってるイメージがあるがどこまでこの路線でヒットを出し続けられるのか…
最後に…
豪華キャストを集まれるのは流石テレビ局製作映画だなと思います。ちなみに今回はフジ・日テレ・TBSの製作映画のヒットを紹介しましたが、テレビ朝日製作の『サムライマラソン』は静かにコケました。この借りは『映画ドラえもん』が必ず返すでしょう。