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メジャースタジオで莫大な製作費の商業作品ばかり撮るティム・バートンが作った『ダンボ』

ダンボ (吹替版)

ティム・バートン監督の『ダンボ』を観たけど、ティム・バートンの作品は基本的に好きだから楽しかった。ただ賛否が割れてるらしいし、興行的にも今ひとつ伸び悩んでいるらしい。

 

シザーハンズ (字幕版)

ビッグ・フィッシュ (字幕版)

自分はアニメの『ダンボ』は観てないから実写映画版の話だけをする。ダンボは耳が大きい像で周りからバカにされたり気持ち悪がられたりする、所謂マイノリティーな存在。他のレビューサイトでもよく書かれてることの繰り返しになるけどティム・バートン監督は『シザー・ハンズ』も『ミス・ペレグリン』もマイノリティーな存在だが、物凄い才能を持ってる話が多い。まぁ、初期の方の作品では才能を活用してみんなから最初は好かれても、その後色々あって結局嫌われ者になって最終的に除け者にされて孤独に生きるみたいな話も多かったけど監督が父親を亡くした後に撮った『ビック・フィシュ』辺りからは明るい話が多くなったイメージだ。

 

チャーリーとチョコレート工場 (吹替版)

監督は父親とは性格が正反対であまり仲が良くなかったらしい。だから『チャーリーとチョコレート工場』では原作にはない父親と仲が悪いエピソードを追加してチョコレートで大成功するウォンカを描いて「これは監督が自分は映画の才能を開花させて大成功したんだ!」というメッセージだと評論家が色々書いてた。ちなみに『チャリチョコ』のラストでウォンカは父親の家に行き父親が自分の成功の新聞の記事を額に飾ってるのを見て感動するシーンがあるけどアレは父親ではなく監督の母親が自分の映画のポスターを飾っていた事から来たらしい。

 

 

ダーク・シャドウ(字幕版)

ティム・バートン監督の作品といえばとにかくジョニー・デップヘレナ・ボナム・カーターが出まくるイメージがあった。ただ2012年公開の『ダーク・シャドウ』以降は出演しなくなり、代わりにエヴァ・グリーンが常連になった。監督はヘレナと離婚したみたいだし、『ダーク・シャドウ』の終わり方は家族崩壊と無茶苦茶な感じで面白かったけど何かをリセットしたい感情があったのかもしれない。これは自分の憶測だから監督本人の気持ちは分からないけど。ちなみに『ダーク・シャドウ』は莫大な製作費に対して大コケしている。日本では20億円以上入る大ヒットになったけどね!

 

ビッグ・アイズ(字幕版)

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち (吹替版)

監督はその後低予算映画『ビッグ・アイズ』を撮影して、原点回帰とも言える監督らしさ全開の『ミス・ペレグリン』を公開する。正にティム・バートンワールド全開の作品で面白かった。その流れで来たのが今回の『ダンボ』。ディズニーの名作アニメを実写映画化していくプロジェクトの一環の作品だ。

 

 

ダンボ (吹替版)

この作品評判を見てみるとアニメファンは結構怒ってるみたいだ。まぁ、アニメに比べると動きの躍動感がなかったりとか色々文句があるらしい。あまり詳しくないんだけど確かに何となくイメージするディズニーアニメ特有の豊かな動きみたいのはなかったかもしれない。そういう部分は実写じゃ再現するのは難しいんだろうし、それをCGで作るなら別に実写じゃなくてもいいという話にもなるし色々難しいのだろう。

 

まぁ、前述した通りアニメは見てないから個人的には元のアニメと比較してどうとかの評価軸では本作について何か書くこともない。自分はティム・バートン作品として観た時どうだったかを書こうと思う。正直言えば楽しかったけど物足りなかった。

 

例えばサーカスシーン。CMでもやってるけどかなり物足りない。もちろん幻想的な映像で観ていて楽しかったけど『チャーリーとチョコレート工場』のガラスのエレベーターで移動している時や工場内のビジュアル、『ダーク・シャドウ』のセックスシーンや訳の分からない小物の数々とかと比べるとこじんまりしたイメージ。もっともっと狂ったシーンを観たかった。

 

ただディズニーランドっぽいテーマパーク『ドリームランド』のデザインは良かったし、サーカスシーンも含めてCGだけでなくセット撮影を多用してるからメイキング映像を見るのも楽しそうだ。ドリームランドの支配人の思想を今のディズニーと重ねてそこが嫌だという人もいるらしいし、自分が観てる時も「今のディズニーがこの悪役描く?」と思ったりもしたが最後マイケル・キートンがテンパって自らテーマパークを壊していってしまうコミカルな演出とか一昔前の映画を観てるみたいで楽しかった。

 

本作は全体的にCGがリアル志向ではなくアニメっぽくて絵本の中に入ってしまったような箱庭感があった。上ではこじんまりした感じが物足りなかったみたいな事を書いたけど、絵本のようなおとぎ話という意味ではこれくらいのスケール感で正解だったのかもしれない。パッケージ力もあると思うしね。逆にサーカスシーンとかで急に狂い始めてブラックジョークの連発になっても困るといえば困る。自分はそっちのが好きだけどね!

 

 

総合的に個人的には楽しめたけど、結局本作のメッセージって「自分の才能を自分の好きな場所で誰からも縛られず発揮させよう!」みたいな感じ。「他人の才能を金儲けの為に利用するとバチが当たるよ!」みたいなメッセージも含まれてるのかも。ティム・バートン監督の作品って毎回こんなメッセージだけど、基本的にメジャースタジオで莫大な製作費がかかる商業映画を撮ってるんだから結構凄い。まるで監督本人がサーカスに利用されるダンボみたいだ。本人そこそこ捻くれてる性格してるみたいだから、やっぱりディズニーランドもドリームランドみたいに支配人が頭おかしくなって自ら崩壊に向かうのも見たいのかもしれない。