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青年漫画を実写映画化するとグロシーンがヌルくなる現象

[注意]グロいの苦手な人はキツイかも…

基本的に人気漫画の実写映画化は肯定的な意見を書くことが多いけど、青年漫画を実写映画化した時にグロシーンがヌルくなるのは少しガッカリしたりする。

 

別にグロいのが偉いとかは思ってないけどさ…

 

今年も実写版『キングダム』を観て「血が足りないな…」と感じたし、昨年実写版『いぬやしき』を観た時も「赤ちゃん殺すシーンはカットか…」とガッカリした。『キングダム』は日本テレビ製作で、『いぬやしき』はフジテレビ製作とテレビ局製作映画は基本的に地上波の放送を前提として映画を作るから地上波で放送出来ないようなレーティングに引っかかるような演出は出来ないらしい。だから『寄生獣』も『無限の住人』もテレビ局製作映画の青年漫画の実写映画化作品はPG-12という小学生は保護者の助言・指導が必要だけど「全年齢観てもOK!」というレーティングが適用されてる作品が多い。『進撃の巨人』はテレビ局製作映画ではないけど、東宝の夏休み特撮映画として小学生にも観て欲しいという狙いがあってPG-12の公開になったという。

 

 

  • PG-12の限界に挑戦した『寄生獣

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2015年に公開された山崎貴監督の『寄生獣』は『映画秘宝』の1月号のインタビューによるとR-15という条件で製作が始まったのに、途中からPG-12にしろと条件を変えられたという。だから作品冒頭の奥さんがパラサイトに首を食べられるシーンはレーティングを考慮して血が吹き出ない演出にしたそうだ。でも本来PG-12では「ワンカット内で人体の一部が破損する描写」はアウトらしく、このシーンは血が吹き出ない事を条件に唯一ワンカットだけ許された演出だという。ちなみに地上波で放送された際は、首が食べられる瞬間にブラックアウトしてタイトルが出るという演出で事実上カットされていてネットでは『規制獣』と揶揄された。

寄生獣

寄生獣

 
寄生獣 完結編

寄生獣 完結編

 

 

山崎貴監督「最初はR-15という条件で入ったのに、途中からPG-12にしろといわれて」 - 深津ちゃん応援ブログ

 

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同じく2015年に公開された樋口真嗣監督の『進撃の巨人』も山崎貴監督にアドバイスを貰いながら、血の色や飛び散り方を映倫と話し合いながらギリギリのラインを攻めたそうだ。もしかしたら画面が暗いのも、レーティングに考慮した結果なのかもしれない。

 

「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」特集 樋口真嗣監督インタビュー (2/3) - 映画ナタリー 特集・インタビュー

 

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ただ『ミュージアム』は地上波のテレビ局が製作委員会に入ってないから、R-15のレーティングになる事を覚悟して原作のグロシーンを再現したという。しかし映倫は「ワンカット内で人体の一部が破損する描写」という過程の描写はアウトでも、「破損した人体」という結果の描写はレーティングに引っかからない為「レーティングの必要はなし」という判断になった。

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ただグロシーンが満載の映画だから観客に軽い気持ちで足を運んで貰って不快な気持ちになって貰っては困ると映画のポスターの左下には「危険!」というマークを入れて貰ったらしい。

ミュージアム

ミュージアム

 

 

『ミュージアム』大友啓史監督インタビュー「これでR指定無し。映倫の基準は興味深いね」 | ガジェット通信 GetNews

 

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ただこういう記事を書くと「やっぱり日本のメジャー会社が作る映画はクソ!」みたいに思われそうだから擁護すると、東宝は2016年に佐藤信介監督の『アイアムアヒーロー』をR-15指定で公開している。しかも実写映像になった分、原作より描写がエグい。ちなみに東宝が一時期『寄生獣』『進撃の巨人』『アイアムアヒーロー』とグロ系映画の公開が続いたのはプロデューサーの好みだったというインタビューを読んだ記憶がある。ただこの時期は女子高生向けのスイーツ映画も大量に公開されていた。

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ちなみに『アイアムアヒーロー』には『キングダム』で男性観客を虜にした東宝シンデレラガールこと長澤まさみもメチャクチャカッコいいアクションをしてるよ!

アイアムアヒーロー

アイアムアヒーロー

 

 

 

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ただR-15で挑戦してもガッカリさせられる映画もある。その代表例が三池崇史監督の『神様の言うとおり』で、人体破損描写で血の代わりに赤いビー玉が吹き出すコミカル演出になっている。個人的には「コレはコレで面白い」と思ったけど、グロシーンを期待して観に行った原作ファンや三池ファンには物足りない映った様子。

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女子高生の股から血が吹き出るみたいにみせる別の意味で「!?」な描写もあったけどね!

神さまの言うとおり

神さまの言うとおり

 

 

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神さまの言うとおり』と同じ三池崇史監督によってPG-12で封切られた『無限の住人』のグロシーンも主演のキムタクが血みどろアクションに挑戦した姿を評価する声がある一方で、原作が様々なパターンの演出があるにも関わらずグロシーンが手首や腕が落ちるワンパターンな演出ばかりで賛否が割れた。個人的にももう少し攻めた演出をして欲しかったのが正直な感想だが、レーティングやキムタクのファン層への考慮などで色々難しかったのかもしれない。

キムタクのファンだって変な忖度されたら嬉しくないと思うし、キムタクも頼めばもっとエグいシーンでもやってくれたと思うけどな… それともテレビ局製作映画の限界なのか、その両方か… 三池崇史監督が本気で演出してこのレベルだとしたら少し残念だ。

 

  • 『東京喰種』はPG-12からR-15へ

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今年夏に公開される『東京喰種』の2作目は、1作目のPG-12からR-15へ変更されると発表されている。本作は1作目の時から2枚目の画像みたいに、スロー再生にしない限り首が吹っ飛んでる事が確認できない様な攻めた演出をしていた。レーティングが上がる2作目ではどんな演出を見せてくれるか非常に楽しみだ。ただ興行収入の面では不安要素が増える…

東京喰種 トーキョーグール

東京喰種 トーキョーグール

 

 

窪田正孝×松田翔太「東京喰種」第2弾はR15+、正式タイトル&予告編が解禁 - 映画ナタリー

 

  • レーティング無しを目指した『亜人

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一方で最初から小学生にも楽しく観て貰えるアクション映画を目指して、レーティングに引っかからないように製作した『亜人みたいなタイプの作品もある。

亜人

亜人

 

 

【インタビュー】『亜人』本広克行監督「子どもたちが見られるアクション映画を目指しました」 | エンタメOVO(オーヴォ)

 

 

最後に…

レーティング無しやPG-12でもグロシーンをギリギリまで攻めに攻めた映画もあれば、R-15でも意外と「アレ?大したことない?」みたいな映画もある。個人的には攻めに攻めた映画を観たいし、グロシーンがヌルくなってると物足りなく感じてしまう… いぬやしき』みたいにグロシーンが少なくなってる代わりに迫力のアクションシーンで補ってくれるなら嬉しいのだけど、某映画みたいに「ガッカリ…」で終わる映画も少なくない。

いぬやしき

いぬやしき

 

でも自分はグロいのは苦手だから観てると気持ち悪くなるという自己矛盾を抱えている…