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視聴率全話一桁だった長澤まさみ主演月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』の映画が大ヒットした理由

コンフィデンスマンJP ロマンス編

長澤まさみ主演の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』の劇場版が全国324スクリーンで公開され、オープニング3日間で4億8000万円を稼ぎ最終興行25億円を狙える大ヒットスタートを切った。

 

テレビドラマ版の視聴率は一桁

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最終興行25億円を狙える大ヒットスタートを切った本作だが、昨年4月から7月にかけてフジテレビの月9枠で放送されていたテレビドラマ版の視聴率は決して好調だったとは言い難いモノだった。

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当時の月9は昨年劇場版が大ヒットを記録した『コード・ブルー』の第3シーズンが平均視聴率14.6%の高視聴率を記録するも、後に続いた篠原涼子主演の『民衆の敵』が平均視聴率6.7%、東村アキコ原作の人気漫画の実写化『海月姫』が平均視聴率6.1%と月9史上ワースト視聴率を更新。世間では「結局続編の『コード・ブルー』が数字取っただけで、やっぱり月9はオワコン」という空気が流れる中で放送が発表されたのが『プロポーズ大作戦』以来11年ぶりに長澤まさみが月9主演を果たす『リーガルハイ』の古沢良太脚本のオリジナル作品『コンフィデンスマンJP』だった。本作は放送前から長澤まさみ主演の新作ドラマが今後の月9枠の存続を左右する」といったようなネットニュースが溢れ良くも悪くも注目を集める作品でもあった。

多くのプレッシャーに晒される中で放送開始した本作の初回の平均視聴率は9.4%と二桁に届かない物足りないスタートとなった。更に第2話の平均視聴率は7.7%と1.7ポイントのダウン。初回一桁と第2話の急降下を受けてネットニュースでは「長澤まさみの高額ギャラと見合わない数字」「あれだけ振り切った演技で数字が取れないのは彼女の今後のキャリアに関わる」「放送前からドラマは全話撮影済みで、映画化も決まっているので低視聴率でも打ち切りにできない」とネガティブな話題が続いた。その後も視聴率は8〜9%前後をウロチョロしながら、最終回まで一度も二桁に届くことなく平均視聴率8.9%とイマイチな結果に終わった。

 

 

視聴率一桁で映画化決定

視聴率はイマイチ振るわなかった本作だが、放送前から週刊誌で報じられていた通り映画化が発表。

エイプリルフールズ

ミックス。

フジテレビが製作した古沢良太脚本作品は2015年に『エイプリルフールズ』が興行収入9.2億円、2017年に『ミックス。』が興行収入14.9億円とヒットを記録しているが、やはり低視聴率の月9の映画化となると大コケを不安視する声も少なくなかった。

 

 

視聴率一桁でも熱狂的なファンがいれば…

視聴率はイマイチだった本作だが映画は前述した通り興行収入25億円を狙える大ヒットスタートを切った。

当ブログでは1年前に「視聴率がイマイチでもヒットする映画の法則」という記事内で『踊る大捜査線』や『SPEC』などを例に挙げて「魅力的なキャラクターが揃っていてネットで話題になりやすい小ネタが散りばめられている作品は熱狂的なファンがつきやすく、映画みたいなイベント興行はヒットしやすい」と結論付け、本作も同記事で例に挙げた作品と同様に「毎週のように放送中はトレンド入りを果たし放送終了後は小ネタについて話題になる盛り上がり」を見せていた為ヒットする可能性は高いと考えていた。

 

 

話題作りに力を入れた製作側

そしてこの盛り上がりは「同時期に公開される長澤まさみ主演の『50回目のファーストキス』で共演してる山田孝之をゲスト出演させる」「副音声でリアルタイム視聴の価値を高める」など製作側が意図的に盛り上げた部分もあった。上ではネガティブは表現をしたが、「視聴率8〜9%をキープ出来た」のはスポーツ中継のように「リアルタイムで実況したい」という熱狂的なファンを作り出すことが出来たからとも言える。そして熱狂的なファンは「映画のようなイベントが好き」でイヤらしい表現をすれば「お金を落としやすい」という特徴がある。フジテレビは『踊る大捜査線』がネットの掲示板で話題になった事でドラマの平均視聴率からは考えられないような大ヒットを導き出したけど、20年以上経った現在でもヒットの規模こそは違うがSNSで話題になったドラマが視聴率からは考えられない大ヒットを導き出した事になる。そして今後もネットの活用はヒットコンテンツには必要不可欠な存在となるだろう。

 

最後に…

「視聴率は全てではない」とは言ってもテレビ局の収入源はスポンサーからの広告費。数字が取らなければスポンサーも付かず儲けが出ない。その為「視聴率は全てではない」は綺麗事で固めた言い訳にも聞こえる。しかし評価軸が変われば失敗作が成功作に変わる事がある。

 

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