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日常に戻ったピーターがスタークに託された想いと恋愛に悩む『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』

スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム (吹替版)

<ネタバレ注意>

MCUフェイズ3の最終作『スパイダーマンファー・フロム・ホーム』を観た。前作『アベンジャーズ エンドゲーム』が大団円を迎えたから、蛇足になるのでは無いかと不安だったが全くそんな事はない面白い映画だった。

 

『エンドゲーム』と差別化したアクションシーン

『エンドゲーム』は完結編に相応しいスケールのデカい映画だったが、クライマックスのアクションシーンはヒーローとヴィランが荒野で戦っているシーンが続くから我々が住む地球で行われている戦いという感じがしなかったのが個人的に少し残念な感じがしてた。

しかし本作の決戦の舞台はヨーロッパで、街を襲うヴィランから逃げ惑う人々のもとにヒーローが登場して世界を救うというヒーロー映画らしいヒーロー映画になっている。また『エンドゲーム』は莫大な製作費を注ぎ込み派手で王道なCGバトルをみせていたが、本作ではバーチャルリアリティとドローンという現代的な武器を使ったCGバトルをしており『エンドゲーム』とアクションの方向性が差別化されているのも良かった。『エンドゲーム』は全体的に背景が世界の終わりを表現するような暖色系の背景が続いたけど、本作は背景が久々に青空で新鮮な感じがするのも高ポイントだった。

 

 

ピーターの恋模様

本作ではヒーローとして役目の為に好きな女にアプローチするチャンスを逃す可哀想なピーターの恋模様が描かれている。前の2シリーズと違うのはヒロインの方も恋愛に対して少し奥手なのと、ピーターの恋の悩みを気軽に相談出来る友達がいる事。そしてその友達がコメディタッチでピーターの一歩先を行っている演出があるから、恋愛描写にかったるさが殆ど感じなかったのが良かった。寧ろ「青春だな〜」と初々しい気持ちになったり… 前作は特に何も感じてなかったけど本作のMJはとても魅力的で可愛く観えた。ラストの飛行シーンも「前シリーズのヒロインが落ち着いてるだけで、普通はアレくらい叫ぶくらいには怖いよな…」と感じて面白かった。ただあんな街のど真ん中に彼女下ろして「正体はバレないのか?」とは不安になった。

 

 

アイアンマンの意思を受け継ぐ

本作の最大のテーマはアイアンマンの意思を受け継ぐというもの。ただ高校生のピーターにとってはその役割は重すぎる。コレはアイアンマンがMCUという映画のユニバースを引っ張っていた現実世界の問題とも重なる。つまりピーターは本作で劇中の意味と現実の映画興行の意味でアイアンマンの役割を補う存在を求められていた事になる。正直に書けば『エンドゲーム』の大団円を観た直後は「アメリカの作品特有の人気があるうちは永遠とシリーズを続けて、人気がなくなると尻切れトンボの様に打ち切るみたいになるのは勘弁して欲しいから終わればいいのに…」なんて思ってたけど、劇中で葛藤するピーターの姿やラストバトル前にトニーと重なる様に自身のスーツを作っている姿を観ると「仮にダメでも次の世代の話が観たいな」とポジティブな気持ちが芽生えてきた。フェイズ4以降も作品のクオリティの意味でも興行の意味でも大成功なら本当に歴史に残る大河シリーズになる可能性も秘めてると思うと楽しみだ。

 

 

クライマックスでスパイダーマンの正体が!?

本作はラストでスパイダーマンの正体がピーターだとバレるこれ以上はない最高のクリフハンガーで映画が終わる。コレは前の2シリーズにはなかったパターンな上に、切り取られた映像を使われて「スパイダーマン=世界を滅ぼそうとして、別の地球から来たヒーローを殺した極悪人」というレッテルを貼られた報道がされる。話題に飢えた暇人達からすれば「実はスパイダーマンが悪い奴だった!」という話ほど面白い事は無い。多分あの後、SNSとかで有る事無い事拡散されまくって叩かれまくって炎上するんだろうけどそこら辺の描写は楽しみだ。ミステリオが言ってた様に人は真実より嘘でも信じたいものを信じるからね。

 

最後に…

前作に続いて基本的に軽いコメディタッチでとても面白映画だった。『エンドゲーム』はインフレし切った映画だったけど、今回は日常に戻った感も味わえたのも良かった。そして自分はミステリオに騙されまくってビックリしっ放しだったよ!『エンドゲーム』に続いて予告編でネタバレがない宣伝は劇場での驚きを大きいものするから、他の映画でも実践して欲しいと思いました。3作目も楽しみ!でもMJがスパイダーマンの正体に気付いてたというシーンは予告編でカットして欲しかった