ディズニーが人気アニメの超実写版『ライオン・キング』はジョン・ファブロー監督曰く「100%コンピュータで作った」という。ここで生じる疑問は「本作は実写映画と呼べるのか?」であり、「実写映画と3DCGアニメ映画の境界線はどこなのか?」である。
- 「100%コンピューターで作った」
『ライオン・キング』ジョン・ファヴロー監督「100%コンピュータで作った」 | ORICON NEWS
→ 「登場する生き物たち、背景はすべて本物に見えるかもしれないが、100%コンピュータで作られたものです」
実写映画と3DCGアニメーション映画の境界線とは… https://t.co/h3JInDsB6X
本作の監督をつとめるジョン・ファヴロー監督は来日イベント時に 「登場する生き物たち、背景はすべて本物に見えるかもしれないが、100%コンピュータで作られたものです」と語った。つまり我々が予告編かどで観ている「動物たちの描写」はもちろん、「動物たちの風でなびく毛の動き」も「砂埃がスクリーンを覆う描写」も「水の動き」も「天候」も「木々生い茂る背景」も全てがコンピューターで計算され尽くして制作されたCGだということになる。
同監督が2016年に公開した『ジャングル・ブック』は「少年以外全部CG」というキャッチコピーが表すように、主人公の少年以外の動物や背景描写を全てCGで描いたことが話題になったが、本作は「少年」がいなくなり「全部CG」の映画になっている。果たしてこの映画は「実写映画なのか?」という疑問が浮かび上がってしまうのは当然のことだろう。
- 監督の見解は!?
「ライオン・キング」は実写?アニメ? J・ファブロー監督も答えられず… #ライオンキング #ジョンファブロー https://t.co/jvHK9WLE3Q
— 映画.com (@eigacom) 2019年6月5日
では本作について監督自身は「実写映画」として認識しているのか、「3DCGアニメ映画」として認識しているのか?その答えは「正直、これを何と呼べばいいのか自分でも分からない」だったそうだ。つまり監督自身も本作が実写かアニメかの判断がつけられていないようだ。
- 純粋な疑問として…
この「『ライオン・キング』は実写なのか、アニメなのか?」論争をみていて個人的に純粋に疑問に感じたのは、例えば「他の人間が登場しないディズニーやピクサーの3DCGアニメをリアル路線のCGで作り直したら「実写映画扱い」されるのか?」ということ。例えば『ズートピア』をメチャクチャリアル路線でやったら、どういう扱いなのか?それとも『ライオン・キング』と違って「リアルな自然が舞台でリアルな動物が喋る映画」ではなく、「ファンタジー世界の擬人化された動物が喋る映画」だから実写映画として該当しないのか?
ならば「『バグズ・ライフ』をメチャクチャリアル路線のCGで虫たちを再現したら実写映画なのか?」、「仮に実写映画扱いされるなら、同じフルCGで描かれているオリジナル版との線引きはどこなのか?」など色々な疑問が浮かび上がってしまう。
ただ『ズートピア』をリアル路線のCGで「実写映画扱い」になるなら、『BEASTARS』とかも実写映画化の可能性が生まれてきて少し夢が広がる。日本映画の製作費じゃ絶対出来ないけど…
- 実は「100%CG」ではない『ライオン・キング』
あれ?フルCG作品のはずでは…? 超実写版『ライオン・キング』の1ショットだけ実写という事実が明らかに https://t.co/ma4xZsYVc2 pic.twitter.com/sZf6NmTrUv
— ギズモード・ジャパン (@gizmodojapan) 2019年7月30日
ここまで読んでくれた人に対してちゃぶ台をひっくり返すような事実を書くと、実は本作は「フルCG」ではなく、1ショットだけは実写映像だという…
ちなみにその1ショットは映画冒頭にある『サークル・オブ・ライフ』の最初のショット。自分はこのシーンを予告編で観て「この太陽が昇るシーンもCGなのか!まるで実写みたいだ!」と思ってたので、「本当に実写だった」と知って半分ガッカリ…
- 最後に…
最後に個人的な見解を書くと本作はリアル路線の「3DCGアニメ映画」だと思ってるけど、「実写映画」だと思って観た方がディズニーに魔法をかけられた気分になって幸せなのではないかと思った。ただ本編映像を観るとやっぱりリアルな動物たちが喋ってるのは物凄い違和感がある…
<追記>
オリジナルの『ライオン・キング』のアニメーターたちがディズニーのリメイクへの“憤り”
→2Dアニメのクルーは3Dリメイクに強い憤り、原作クルーの1人は「ディスニーはまるで隠すのをやめたみたいです。『そうさ、ただお金もうけがしたいだけなんだよ』ってね」と語る https://t.co/u8zpqTMzdr