昨年公開され、早くもソフトの販売・配信が開始されたアンジェリーナ・ジョリー主演の『マレフィセント2』。本作は2014年に公開され興行収入65.4億円の大ヒットを記録した『マレフィセント』の続編だが、日本での興行収入は14.0億円と前作の2割程度という寂しい興行となった。
- 世界的に見ても驚異の「落ち幅」
本作は製作費1.85億ドルに対して全米興行1.12億ドル、世界興行4.84億ドルと世界的にもコケている。一方で前作比は全米興行が約半減、世界興行が約6割と日本の約2割は世界レベルでみても圧倒的な落ち幅となっている。
- 前作は空前の『アナ雪』ブームの波に乗った!?
ではなぜ日本ではここまで大きく興行収入が下がってしまったのか?考えられるのは前作が公開された2014年7月は日本が空前の『アナ雪』ブームの中にあったことにある。つまり多くの人はミュージカル要素の強い『アナ雪』を観て、「ディズニー映画」「ミュージカル映画」への熱が高まっていた。そのタイミングで公開されたのが『マレフィセント』だ。しかも本作は『アナ雪』と同じディズニー映画なため、『アナ雪』本編の前の予告編には毎回『マレフィセント』の予告編が流れていた。しかも『アナ雪』の「レリゴー」に便乗したのか、それとも最初からその予定だったのかまでは定かではないが、本編のミュージカルシーンを流す劇場も多かった。そのため『アナ雪』を観た人たちの間では「『アナ雪』の次は『マレフィセント』」という空気を作り出すことに成功した。また『マレフィセント』の公開日は7月上旬と夏休みの恩恵を受けやすい時期だったことに加えて、2014年の夏映画のライナップに同じようなジャンルの映画がなかったこともポジティブに働いた。
- 『マレフィセント2』の公開時期は中途半端
一方で『マレフィセント2』の公開時期は10月中旬と中途半端な時期だった。何故なら10月はシネコンでは「閑散期」とよばれる、お客さんが集まらない時期。前作は夏休み公開なので普段映画館に行かない層が家族・カップル・友人と劇場に訪れ「多くの人に何となく選ばれた映画」となったが、今回は「何となく集団で映画館に行く時期」ではなかった。そのためライトユーザーは集まりにくく、更に本作公開の1ヶ月後には『アナ雪2』の公開が始まったため同じディズニー映画として一気にスクリーンを持っていかれ、隅に追いやられてしまった。前作は『アナ雪』と公開時期の波に乗り大ヒットを記録したが、今回は『アナ雪2』と公開時期が完全に裏目に出た形だ。
- 最後に…
『マレフィセント』1作目の評判は日本でそこまで悪くなかったが、10月の閑散期に「続編を観に行こう!」と思えるほどの魅力もなかったということなのだろう。