全世界での累計売上9.2億本を誇る日本生まれの大ヒットゲームを実写映画化した『ソニック・ザ・ムービー』がアメリカで公開された。本作は「何故ソニックはいつもパワー全開で、自信にみなぎり、勇気に満ち溢れているのか-?」という疑問を説く、ソニックの知られざる誕生秘話になっているという。
日本生まれの横スクロールアクションゲームでハリウッドによって実写映画化された作品といえば『スーパーマリオブラザーズ』を原作とした『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』が真っ先に連想される。本作は製作費4800万ドルと公開当時としては大作映画だったが、全米での興行は2100万ドルと製作費回収に失敗。日本での興行収入も3億円と大コケ。主演俳優が本作について黒歴史であることを公言するなど、とにかく残念な映画となってしまった。
一方で昨年は『ポケットモンスター』のスピンオフ作品を実写映画化した『名探偵ピカチュウ』が製作費1.5億ドルに対して全世界興行4.36億ドルのヒットを記録。日本でも30億円を超えるヒットになった。またミラ・ジョヴォヴィッチ主演の『バイオハザード』シリーズも有名だ。そのため「日本生まれのゲームをハリウッドが実写映画化する」という企画に、そこまで悪いイメージを持っている人はそこまで多くないことが予想される。
しかし本作に大きな不安要素があった。それは昨年5月に公開されたトレーラーに登場したソニックのデザインだ。そこには多くの人たちが思い描いていたソニックではない、他の何かが猛スピードが動き回っていた。おそらく実写映画用にリアル思考でアレンジした結果だったのだろうが、その姿はあまりにも気味が悪いデザインだった。実写映画版ソニックのデザインはファンを中心に批判を集め、製作陣はデザインを修正することを発表。それにともない公開日を昨年11月から今年の2月に延期することを余儀なくされた。その後公開されたデザインは多くのファンを納得させるものだったが、公開前から作品にネガティブなイメージ、というよりも「ネタにしていい作品」「バカにしていい作品」というイメージがついてしまった。
「こうなるとネガティブなイメージを覆すのは難しいし、興行的ヒットは厳しいか?」とも思われていたが、本作のオープニング興行は4日間で7000万ドルと業界予想を大きく上回るヒットスタートを記録。オープニング3日間の興行は5700万ドルとゲーム原作の映画として最高記録をマークしていた『名探偵ピカチュウ』の5436万ドルを超えて、歴代1位のヒットスタート作品として躍り出た。全世界興行は既に1億ドルを突破しており、製作費8500万ドルを軽々と回収した。
また大手批評サイト『ロッテントマト』では批評家支持率こそ63%とボチボチの結果であったが、観客支持率は95%と高評価。批評家ウケするタイプの映画ではなかったが、エンタメ映画としては高い評価を得た形だ。
ソニックのデザインが叩かれまくっていた頃には想像もつかないようなヒットスタートを決めた『ソニック・ザ・ムービー』。日本での公開は3月27日(金)!このスピードに日本がついていけることを願う。
参考文献
Sonic the Hedgehog - Box Office Mojo
Sonic the Hedgehog (2020) - Rotten Tomatoes