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『AI崩壊』の犯人が唐突に××し始めたけど、あれ何なの?

映画「AI崩壊」オリジナル・サウンドトラック

<注意> 『AI崩壊』のネタバレ

『AI崩壊』を観た。漫画や小説の実写映画版ではなく、オリジナル脚本のSF映画を人気俳優を使い、それなりの予算を使って製作したことには敬意を表したい。AI「のぞみ」のデザインは近未来感に溢れ、カーアクションも中々見応えのあるシーンに仕上がっている。ストーリーラインもありがちといえば、ありがちだが結構面白かった。「AIは人を幸せに出来るのか?」という問いに対する答えも「親と子の関係に似ている」と「互いに成長していく存在」としたのも良かった。

 

ただ鑑賞中についついツッコミを入れたくなるシーンも多かった。その中でも最大のツッコミポイントはラストにおける犯人の行動だ。本作の犯人は岩田剛典演じる警察庁警備局の理事官。初登場時から「腹に一物ある」という雰囲気を漂わせていたが、そのイメージのまま悪役だった。それは別に良い。ラストの展開ではAIを暴走させた容疑をかけられている主人公の大沢たかおが理事官が真犯人の証拠として「窓ガラスに映った理事官の映像」を突きつける。しかし証拠を突きつけているのはAI「のぞみ」を開発した科学者。理事官は冷静に「合成映像の可能性」を指摘し、潔白だと主張する。

しかし何故か理事官は唐突に無線を切り、大人数の警察関係者がいる状況にも関わらず、自分が本当の犯人だと自白して、「弱者切り捨てが如何に日本を救うのか」ということを説き始める。

 

 

いや、何でだよ。普通にそのまま大沢たかおを逮捕すれば良かっただろう。というか、その前の流れ的にあの世界のCITEとかいう特殊部隊、結構簡単に人を撃ち殺す感じだっただろ。重要参考人レベルだった賀来賢人を平気で撃ち殺してたじゃん。その流れのまま殺せよ。そういう指示を出せよ。何で黙って大沢たかおの話聞いてるんだよ。百歩譲って話聞いたとしても、「合成」の線で押し進めれば良かっただろ。あの状況なら「犯人の大沢たかおが合成映像を作って、混乱させようとした」という線で押し倒せたよ。仮に多少の疑惑が残ったとしても、お前の立場ならいくらでも隠蔽できただろう。全然追い込まれてる感もなかったし、そのまま黙っとけよ。あそこで自白したら無線切ってても、周囲にいる警察関係者は誤魔化せないだろ。どういうつもりなんだよ。普通あの手の独白は主人公と犯人が2人っきりとか、そういうクローズな場所で犯人が油断しきった状況でやるもんだろ。あんな状況で自白し始める奴初めて観たよ。

 

すると次のシーンでは案の定小型ドローンがその自白している様子を撮影していて、世界中に配信されて悪事がバレて終わり。いやいや、このパターン何回目だよ。つい最近、同じ日テレ製作の『カイジ ファイナルゲーム』でも似たような展開観たよ。しかも悪役が「弱者切り捨て思考」なのまで同じだよ。それでも向こうはお前より遥かに上手くやってたよ?何でキメ顔で自白しちゃうんだよ。というか、お前はそんな良いポジションまで上り詰めてたはずなのに、よくあんな「詰めが甘い」とかそういうレベルではないミスしたよな。お前みたいな無能と組んだ岸総理に同情するレベルだよ。夜神月だって、デスノートで心臓麻痺になると勘違いした1秒前まで自白しない程度の堪え性はあったよ。

 

 

そもそも冒頭から大沢たかおが凄い勢いで警察から「テロリスト認定」されて、冤罪かけられているのも雑な感じがした。もう少し何とかなんなかったの?別に悪い映画だと思わないし、良かったシーンも多かったけど、犯人の自白シーンだけはもう少し練って欲しかった。どうしても「上映時間の関係で自白させました」という脚本上の都合が見えて仕方なかった。