映画界では春休み興行が始まったが、「新型コロナウイルス」の影響でかなり寂しい数字が並んでいる。以下は2020年3月初週の動員ランキングベスト3と土日2日間の興行収入。
2020年3月初週
1位 Fukushima 50 1億4300万円
2位 仮面病棟 1億0500万円
3位 パラサイト 半地下の家族 1億0300万円
次は過去3年の3月初週の動員ランキングベスト3と土日2日間の興行収入。
2019年3月初週
2位 翔んで埼玉 2億8055万8300円
3位 グリーンブック 2億円
2018年3月週週
2位 ブラックパンサー 3億1000万円
3位 グレイテスト・ショーマン 2億8100万円
2017年3月初週
1位 映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 6億9200万円
2位 ラ・ラ・ランド 3億9372万8900円
3位 劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール 2億1900万円
今年の3月初週の興行記録と過去3年の興行記録をその差は歴然だ。過去3年は春休み興行の幕開けの週だけあって、トップ3作品は土日2日間で2億円を超える興行結果を残していたが、今年はトップの作品ですら2億円を大きく下回る。そして何より今年の3月初週を寂しいものにしているのは、毎年3月初週に封切られる『映画ドラえもん』シリーズの最新作『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が「新型コロナウイルス」の感染拡大を防ぐために公開延期になったことだ。『映画ドラえもん』シリーズは毎年土日2日間で6億円以上のオープニング記録を叩き出すのが通例になっている。そのため今回の公開延期は劇場側にとっても大ダメージだ。また今年は「ドラえもん生誕50周年記念」と「映画ドラえもん40作目記念」と「記念」が重なっていることから、テーマを原点と通じる「恐竜」にし、脚本に東宝の人気プロデューサー・川村元気を起用、更にゲスト声優にはキムタクをキャスティングするなどかなり力を入れていた。そのため例年以上のオープニング興行も期待できたが、現段階ではいつ公開できるかも分からない状況に陥ってしまった。
『映画ドラえもん』が公開延期を決める中、同日公開予定だった『Fukushima 50』と『仮面病棟』は当初の予定通り公開に踏み切ったが、2作品とも土日オープニング興行は1億円前半に留まる厳しい結果に終わった。春休みを狙った話題作品の多くは公開延期がが決まっているため、今後この2作品がどのようなパフォーマンスを見せるかは未知数ではあるが、オープニング興行だけで判断するから10億円突破は絶望的なスタートだ。特に高額な予算が投下されている可能性が高い『Fukushima 50』への興行的ダメージは大きそうだ。
現在シネコンの多くは「新型コロナウイルス」の感染拡大を防ぐために、座席間隔を一席ずつ開けるなどの対策を取っている。つまり最初から売り上げの半分を捨てている状態だ。話題作品の多くは公開延期が決まった中で開幕した春休み興行は「新型コロナウイルス」によってかなりの苦戦を強いられることになりそうだ。