2020年1月31日より全国346スクリーンで公開された『AI崩壊』は、公開当初こそ最終興行15億円以上も見込めるヒットスタートを切ったとされていたが、公開終了直前の現段階では最終興行10億円に届くか怪しいラインまで失速したという。
本作は『22年目の告白 -私が殺人犯です-』で興行収入24.1億円からヒットを記録した入江悠監督がオリジナル脚本で挑んだSFサスペンス映画。日本で漫画や小説などの実写映画という形ではなく、オリジナル脚本のSF映画で有名俳優を集めて、それなりの予算を投下して商業映画とした全国規模で封切ることは珍しい。本作の製作は日本テレビ、配給はワーナー・ブラザースと『22年目の告白』と同じ座組みであることから、『22年目の告白』での実績が評価されたことから実現した企画ではないかと考えられる。
本作のストーリーはまるで「AIが暴走するタイプの物語を学習させた『AI』に、脚本を執筆させた」かのような「どこかで観たことあるような展開」ばかりが続く。また「思わずツッコミを入れたくなるような描写」も複数存在する。しかし「AIは人を幸せにできるのか?」という問いには、本作ならではの「答え」を提示するし、劇中に登場する「AIのぞみ」などの美術も近未来感を漂わせていてワクワクした。また一般道路を封鎖して撮影されたカークラッシュシーンも迫力があって見応えがあった。主題歌を担当したのが「AIの書き下ろし」というのはギャグぽかったが、全体として「悪い作品」だとは思わなかったし、こうした「日本映画の挑戦」が興行的に厳しい結果に終わったというのは残念だ。
今回の興行結果にどの程度「新型コロナウイルス」の影響が関係しているかは不明だが、その翌週に公開された『ヲタクに恋は難しい』と『犬鳴村』が既に興行収入10億円突破していることを踏まえれば、やはり「物足りない結果に終わった」ということなのだろう。