もしかしたら関係者が「シュレッダーにかけて忘れたい!」と思ってるかもしれない2019年度に公開して興行的に失敗した映画。今回は邦画編の前編。選考基準は全国280館以上で公開されたが、興行収入10億円に届かなかった作品。
- 来る
興行収入:9.0億円
『告白』で興行収入38.5億円のヒットを記録した中島哲也監督が、岡田准一を主演に迎え、『第22回日本ホラー大賞』で大賞に輝いた澤村伊智の小説『ぼぎわんが、来る』を映画化した作品。ホラー映画といえば「夏公開」がセオリーだが、本作は冬休み興行を狙った12月公開。「PG-12」というレーティングに加え、予告編も「物語の全容が掴めないような攻めた内容」だったことから、映画関係者の間では『カメラを止めるな!』のような口コミで伸びるタイプの作品になると期待され、公開前は「『来る』が来る!」と期待が高かったという。しかし最終興行は9.0億円と東宝配給の全国331スクリーン公開作品として厳しい結果に終わった。ただ個人的にはかなり面白かった映画。
最終興行:3.0億円
あなしん原作の人気コミックを土屋太鳳主演で実写映画化した青春ラブストーリー。全国307館と全国公開したが、最終興行は3.0億円とかなり厳しい結果に終わった。一昔前は冬休み興行を狙った少女漫画の実写映画化作品は興行的に強かったが、最近はその傾向も弱まった。これは少女漫画の実写映画化作品が乱発された結果、飽きられてしまったのか、それともメインターゲットである女子高生の世代が変わったことが原因なのかは不明だ。
興行収入:5.3億円
『週刊少年ジャンプ』のラブコメ史上最長の連載期間を誇り、コミックス累計発行部数1200万部を超える人気漫画『ニセコイ』の実写映画版。テレビアニメ化もされたヒットコンテンツだったが、実写映画版の興行収入は5.3億円と惨敗。少年漫画をメインターゲットを女子高生においているスイーツ映画として製作した結果、原作ファンからもスイーツ映画ファンからも興味を持たれない作品になってしまったのではないかと感じる。
- PRINCE OF LEGEND
興行収入:5.0億円
『HiGH&LOW』シリーズをプロデュースした「TEAM HI-AX」が手掛ける新企画「プリンスバトルプロジェクト」の一環として公開された映画。公開半年前には日本テレビ系列でテレビドラマ版も放送されていたが、公開規模に対してかなり物足りない興行結果になっている。ただし同年にはプロジェクト第2段となるテレビドラマ版と劇場版である『貴族誕生 -PRINCE OF LEGEND-』が製作された。EXILEの力恐るべし!
- 居眠り磐音
興行収入:3.99億円
佐伯泰英の人気時代劇小説「居眠り磐音 決定版」シリーズを松坂桃李の時代劇初主演で映画化した作品。原作小説は2007年から2017年にかけて、山本耕史主演のテレビドラマ版がNHKで放送されていた。興行的にコケるだけでなく、麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたピエール瀧が出演していたことから、代役を立てて一部撮り直さなくてはいけない状況になるなど、色々な意味でついてない作品。
- 貞子
興行収入:7.2億円
Jホラーブームの火付け役となった『リング』の中田秀夫監督が鈴木光司原作の『タイド』を実写映画化した、「原点回帰」かつ「SNS時代」にも適応した令和初の『貞子』。気合の入った作品だったが、興行面では10億円に届かず。『貞子』関連の映画は『貞子3D』や『貞子VS伽倻子』など定期的に公開されているため、「またかよ」感が強かったのかもしれない。
- パラレルワールド・ラブストーリー
興行収入:6.14億円
2つの異なる世界を行き交う男女3人の恋愛を描いた東野圭吾の異色恋愛小説を、「Kis-My-Ft2」の玉森裕太主演、吉岡里帆と染谷将太の共演で実写映画化した作品。同年公開の東野圭吾原作の実写映画版『マスカレード・ホテル』は興行収入46.4億円の大ヒットだったが、こちらは10億円に届かない惨敗に終わった。
- きみと、波にのれたら
興行収入:未発表
『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し歩けよ乙女』で高い評価を受けた湯浅政明監督が、海辺の町を舞台に繰り広げられる青春ラブストーリーを描いたオリジナルの長編アニメーション映画。全国299館の大規模公開だったが、興行的にはあまり上手くいかなった様子。2019年は例年より多くのアニメ映画が全国300館前後の大規模公開された。その背景には2016年にメガヒットした『君の名は。』の影響が大きいとされている。しかし「オリジナルアニメが興行収入10億円突破のヒット!」という話は中々聞かない。やはりライト層からすれば未だにアニメ映画の敷居は高いのか… ただ実写でもオリジナル映画のヒットは難しいので、ジャンルに関係なくオリジナル映画でのヒットが難しいという話なのか。アニメ映画の興行についても考えていきたい。
<邦画編・後編>
シュレッダーにかけて忘れたい!?2019年度大コケ映画<邦画編・後編>
・東京喰種 トーキョーグール【S】
・ダンスウィズミー
・二ノ国
・蜜蜂と遠雷
・空の青さを知る人よ
・楽園
・マチネの終わり