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「エアリス生存の可能性」「ザックス××」「フィーラー=原作厨」「運命の壁」/ 様々な説飛び交う『FF7リメイク』

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新型コロナウイルス感染拡大の影響により所属組織がオンラインを使う方針を取り、「在宅」を命じられたことで時間を持て余した自分は、「PS4」との互換性を持ち合わせている「PS5」の年末発売が発表された段階で「PS4」を買ってしまった。自分でも「愚かだな」と思いながら、「でも、『生まれる前から伝説』を捩って『発売前から0円』と揶揄される『FF7リメイクパック(PS4同梱版)』で買ったから、中古より安いし…」と自分に言い聞かせながら購入した。そんな訳で『FF7 リメイク』をプレイしたレビューを前半は「ネタバレなし」、後半は「ネタバレ全開」で書いてく。

 

  • 映像進化

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本作は1997年にPlayStationソフトとした発売された作品のリメイク版。前作から23年経ってることもあり、映像面が大幅にアップデートされている。公式PVとして公開されているオープニング映像を観て貰えば理解して頂けると思うが、「土管から漏れるライフストーム」「エアリスの居る場所からミッドガルの全景へ移動するショット」「列車の上に乗っているクラウド」、「オリジナル版発売当時の最新技術」で描かれた世界が「現在の最新技術で蘇る」というのは心踊った。「光」や「線」など当時の技術では細かく描けなかった部分も、リメイク版ではきめ細やかに描かれている。オリジナル版にはオリジナル版の味があるのは事実だが、ビジュアル面においては「ようやく技術がミッドガルに追いついた」ような気にさえさせられて感動した。「技術面」でいえば、カメラの視点を変えられることからスラム街から空を見上げるとプレートの存在が確認できるのも嬉しい。リメイク版の誕生によって「ミッドガル」という「歪な格差社会」をよりリアルに感じることが出来た。

一方で本作に限った話ではないが映像面の進化によって生まれた「違和感」もある。まずはクラウドのバスターソードだが、あんなデカい刀を背負って梯子を降りていたり、電車の中や街中を走っているのを観ると「危ないな…」と感じてしまう。神羅ビルへの潜入ミッションでは「怪しまれないようにするシーン」みたいのがあったが、「こんなデカい刀背負ってる時点で怪しさ満点だよな…」なんて思ってしまった。ただここら辺は「お約束」と認識して、ツッコミを入れる方が野暮なのだろう。他にも技術面の進化によって生まれた違和感としては「オープニングのエアリスの服装が1人だけ浮世離れしすぎていて、本物の売春婦みたい(本作では新たな台詞が加えられて、より「花売り」が隠語っぽくなっている…)」「喋るバレットが頭おかしいテロリストそのもの(偶に見た目が山本太郎に見えるのがノイズ)」などが挙げられる。

 

  • 「アクションバトル」と「コマンドバトル」の融合

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バトルシステムは「アクションバトル」と「コマンドバトル」を融合したシステム。「攻撃」「ガード」「回避をしない状況を一定時間続ける」を成し遂げると「ATBゲージ」が溜まり「必殺技」「魔法」「アイテム」のコマンドを使うことができるようになる。リメイク版では『FF13』にもあったような「バースト状態」と呼ばれる「敵に一定量の攻撃を与えると、敵に与えるダメージの量が増える時間」が存在する。その「バースト状態」を狙って、貯めておいた「ATBゲージ」から必殺技やオリジナル版から受け継がれた「リミット技」を放つことで大ダメージを与えると物凄い快感を得ることが出来る。また瀕死状態で「回復」をしたい時も上述した3つの条件を成し遂げないと「ATBゲージ」が溜まらずコマンドから「回復」が選べないため緊張感を持ったバトルを繰り広げることができる。更にオリジナル版で多くの人の心を掴んだ「マテリア」も健在で、バトルを積み重ねることでマテリアが成長して使える魔法などが増えてキャラクターが強化されていく。本作のバトルシステムについて「中途半端だ」と感じる人もいるようだが、個人的には「ビジュアルの進化に合わせてアクションバトルの側面を見せながら、基本はオリジナル版同様のコマンドバトルの醍醐味を味わせてくれる優れたシステム」だと感じた。

ちなみに本作には「EASY」モードも存在しており、こちらはボタンを押しているだけで簡単に敵を倒すことができる。そのため「アクションゲームが苦手な人」「ストーリーを楽しみたいけど、バトルは面倒な人」「無双ゲームとして割り切れる人」などは「EASY」モードでプレイするのも「アリ」なのではないかと感じた。

 

 

  • 「ミッドガル脱出まで」のボリューム

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本作は発売前から「分作販売であること」「1作目ミッドガル脱出までしかプレイできないこと」が話題となっていた。オリジナル版における「ミッドガル脱出まで」は全体における1/5程度でしかない。『ドラクエV』で例えるなら「幼少期」だけをリメイクしたようなものだ。本作ではオリジナル版では序盤でしかないエピソードに新たなエピソードを追加することで、ストーリーだけを追っても30時間前後は遊べる内容に仕上がっている。その追加要素には「魔晄爆破によって被害を被った一般市民の困惑」や「クラウドの女装イベントの大幅強化(クラウドが真顔でキレッキレのダンスを披露し始めるイベントは笑った)」など優れたものも多い。またオリジナル版ではモブだったアバランチの構成員の掘り下げエピソードも悪くなかった。発売前に散々ネタにされてたオリジナルキャラ「ローチェ」とのバイクチェイスも迫力があって良かった。ただ「クラウドのアパートを借りにいく」など「人気漫画の実写映画版のオリジナル展開」を観ているような「同人感溢れるエピソード」や「土管の中に潜って同じ場所や似たような場所を行ったり来たりするような場面」も多く、「かったるさ」を感じてしまうことも少なくなかった。一方で全体としての満足感は高かったし、楽しいシーンが多かったので「オリジナル版はプレイしたけど、リメイク版を買うか迷っているような人」は買って損はないと感じる。

 

以下ネタバレ

オリジナル版から大きく変更されている箇所もあるので、「リメイク版」のネタバレを知りたくない人はここから下は読まないでください。

 

ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

  • 発売日: 2020/04/10
  • メディア: Video Game
 

 

ネタバレ注意

「リメイク版未プレイだけど、オリジナル版をプレイしてるから違いを知りたい」程度の軽い気持ちの人も読むことはオススメしません。『FF7 リメイク』には新世紀エヴァンゲリオン』シリーズのリメイク作品『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』をベースとした3DCGアニメ映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』レベルのネタバレが存在します。以下の記述ではその内容に触れています。

 

ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

  • 発売日: 2020/04/10
  • メディア: Video Game
 

 

  • 「エアリス生存」の可能性

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本作は昨年『27時間テレビ』内で放送された「7分間の特別長編CM」の中で「エアリス生存」の可能性が示唆されたことが話題となった。しかし1作目の内容は「ミッドガル脱出まで」のため、本作ではそこら辺の話は関係ないと思っていた。しかし、いざプレイしてみるとスラムの教会でクラウドがエアリスの髪飾りに隠されたマテリアを確認しようとすると、クラウドは「祈りを捧げるエアリス」「エアリスのマテリアが転がり落ちていくシーン」が頭をよぎる。これはオリジナル版でいうところの「エアリス死亡シーン」の一部だ。当然オリジナル版では、この時点でこのような描写はない。そしてエアリスが母親の想いと裏腹にクラウドを六番街スラムに送ろうとするシーンでは、クラウドは何故か涙を流す。恐らく多くのプレイヤーは、これらの演出を観て「クラウドがループしている可能性」を考えたはずだ。一方でその後の演出から「ループしているのはクラウドではなく、エアリスの方ではないか?」「ループではなく、未来が見えているという話ではないのか?」などネット上では様々な説が飛び交っている。ただこのような描写を入れた以上、「エアリス生存の可能性」も十分あり得るのではないかと感じた。一方でオリジナル版通り中盤でエアリスを殺すことで「結局運命には抗えなかった」と示すために用意した伏線の可能性もある。製作陣はプレイヤーに「オリジナル版をプレイしたときと同じような驚きを与えたい」という趣旨の発言しているので、「リメイク版でエアリスは死なない」と思わせときながら殺すことで驚きを与えたいと考えているのかもしれない。いずれにしても、続編への期待は高まった。

 

 

  • 「フィーラー」は原作厨!?

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匿名掲示板のまとめサイトを読んでいて面白かったのが、リメイク版にのみ登場する「フィーラー」は「原作厨を揶揄しているのではないか?」という説だ。「フィーラー」は本作の序盤から登場して、本作の事実上ラスボスの役割を果たす存在。細かい粒子が集合したオバケのようなビジュアルでクラウドたちの邪魔をしたり、手助けをしたりする。何度も倒しても消えることなく、現れるのも特徴。「ミッドガル脱出直前」にセフィロスが斬り開く「運命の壁」の前にも立ち塞がり、クラウドの進行の邪魔をする。そこでエアリスは「運命の分かれ道」「扉の向こうには自由があるが、自由は怖い」「この壁を越えたら、みんなも変わってしまう」という趣旨の意味深なセリフを吐く。そして壁の先でラスボス1つ手前のボスとなる「フィーラー」は戦闘の途中で「オリジナル版のエンディング後に流れる、レッドXIIIが走っている様子」などオリジナル版の展開をクラウドたちに見せてくる。バレットは「なんだよ いまの!?」と戸惑いを見せるが、レッドXIIIは「我々が捨てようとしている風景だ」と説く。「フィーラー」を倒した後も「真っ白な世界」に飛ばされたり、何かを思い出そうとするクラウドセフィロスが「気をつけろ そこからまだ先は存在していない」と説くなど、「オリジナル版とは違う展開になること」を示唆するような描写が続く。そういうメタ視点でみればオリジナル版と違う展開になりそうになると邪魔をしたり、いくら倒してもキリなく出現したりする「フィーラー」は「オリジナルの展開を変えて欲しくない原作厨」のメタファーとしてみるのが妥当なのかもしれない。

 

  • 「何部作になるか分からない」はおかしい

本作をプレイして改めて「おかしい」と感じたのは製作陣が「リメイクが何部作になるかは分からない」と発言していたことだ。特に今回のリメイクの場合、前述した内容に加えて「オリジナル版では死に至った戦闘で、勝ってしまったザックス」という完全なパラレルワールド展開に向かった。となればオリジナル版をそのままリメイクするよりも遥かにシリーズの全体像を考えて製作しなくてならないはずだ。それなのにインタビューで平然と「何部作になるかは分からない」などと言い放ってしまうのは、今後の展開に不安を覚える。何よりリメイク製作発表から5年が経ちようやく発売されて作品の内容が「ミッドガル脱出まで」というのが本来なら信じられない話だ。一体2作目はいつになるのだろうか心配だ。

 

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CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:©1997 YOSHITAKA AMANO

 

 

  • 最後に…

製作陣が「シリーズの全体像が見えていない」ような趣旨の発言をしているなど今後の展開に不安を覚えるような作品ではあったが、個人的に1作目はプレイしていた楽しかったし、満足度も高かった。オリジナル版と異なる展開になるのも今後の展開次第では「アリ」だと思うし、『リメイク』というサブタイトルが「物語の作り直し」と「クラウドたちによる運命の作り直し」のダブルミーニングになってるのも粋だと感じた。ただ『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』同様、オリジナル版未プレイが楽しめる内容になってるかと問われると微妙。正直壁の向こう側でセフィロスから「大人になれ」と説教されるのではないかと不安になった。最後にティファと約束を「クラウドが星空を見上げることで自ら思い出す」に改変されていたのに違和感を感じたが、やはりアレは「本シリーズのメインヒロインはティファではなく、エアリス」ということを示唆するための演出だったのだろうか…

 

The unknown journey will continue

 

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ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

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  • 発売日: 2020/04/10
  • メディア: Video Game
 
ファイナルファンタジーVII リメイク アルティマニア

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  • 発売日: 2020/04/28
  • メディア: ムック