2020年度上半期公開「興行収入10億円突破作品」をランキング形式で紹介！トップ3は『SW』『パラサイト』『カイジ』

2020年度上半期(2019年12月〜2020年6月)公開作品の内、興行収入10億円突破作品をランキング形式で紹介！

第1位　スター・ウォーズ／スカイウォーカーの夜明け

興行収入:72.7億円

第1位は『スター・ウォーズ』9部作の完結編として公開された『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で興行収入72.7億円。悪くない数字だが、シークエル3部作で興行収入は右肩下がりと、盛り上がりきれなかった印象が拭えないシリーズ。世界興行に至っては『フォースの覚醒』から半減しており、今後もディズニーが構築し続ける「スター・ウォーズ帝国」の行く末に不安を感じざるを得ない結果となった。

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第2位　パラサイト 半地下の家族

興行収入:47〜48億円

第2位は第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルム・ドール、第92回アカデミー賞で史上初とねる非英語作品での作品賞を受賞したポン・ジュノ監督の『パラサイト　半地下の家族』で興行収入は47〜48億円見込み。公開初週は全国131スクリーン公開で週末動員ランキング初登場5位と最終興行10億円は厳しいスタートだったが、アカデミー長編作品賞を受賞した6週目には公開スクリーンを275まで伸ばし週末動員ランキング1位を獲得。その後も口コミで動員を伸ばし、日本で公開された韓国映画史上No. 1ヒット作品となった。同じくパルムドールを受賞した是枝裕和監督作品『万引き家族』同様、予告編では「貧困な家庭が裕福な家庭に寄生していく」という分かりやすいエンタメ要素で観客の興味を惹きつけながら、本編中盤で「予告編では明かされていない衝撃の事実」が明かされる構成だったのも、口コミが広がりやすい要因になったのではないかと感じる。6月にはモノクロバージョンである『パラサイト 半地下の家族 モノクロVer.』も公開された。

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第3位　カイジ ファイナルゲーム

興行収入:20〜21億円

第3位は藤原竜也主演の大ヒットシリーズ最終回『カイジ　ファイナルゲーム』で興行収入は20〜21億円見込み。前作『カイジ2 人生奪回ゲーム』の興行収入16.1億円を大きく上回り、シリーズ最高興行となった1作目『カイジ　人生逆転ゲーム』の最終興行22.5億円に迫る結果となった。前作から9年ぶりの新作となった本作がブランク知らずの悪魔的ヒットとなった要因には、藤原竜也のモノマネ芸人がカイジのモノマネなどをして世間にカイジのイメージを流布され続けていたことなどが、あげられる。本作は東京オリンピック後に急速に景気が悪化した日本が舞台に「弱者切り捨て政策」を実行する政府にカイジが立ち向かうという内容。現実世界では新型コロナウイルス感染拡大の影響により東京オリンピックは延期になり、日本だけでなく世界中の景気が急速に悪化したが、本作のクライマックスでカイジの放つ台詞は正に今の日本にこそ必要なメッセージだったのではないかと感じる。

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第4位　僕のヒーローアカデミア ＴＨＥ ＭＯＶＩＥ ヒーローズ：ライジング

興行収入:17〜18億円

第4位は『NARUTO』連載終了後の『週刊少年ジャンプ』の看板漫画になることを期待されつつも、最近は『鬼滅の刃』によって影が薄くなっていた人気ジャンプ漫画の劇場版『僕のヒーローアカデミア　THE MOVIE ヒーローズ：ライジング』で興行収入は17〜18億円見込み。原作者が想定していた最終回の構想の一つを使っており、原作ファンからの評判はとても高い。前作『僕のヒーローアカデミア　THE MOVIE 〜2人の英雄〜』も興行収入17.2億円のヒットを記録しており、今のジャンプを引っ張る漫画の一つであることは間違いない。

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第5位　犬鳴村

興行収入:14〜15億円

第5位は『呪怨』シリーズの清水崇監督の福岡県に実在する心霊スポットを舞台にした三吉彩花主演のホラー映画『犬鳴村』で興行収入は14〜15億円見込み。本作は全国211スクリーンという中規模公開にも関わらず、口コミで動員数を伸ばしいき興行収入10億円突破のヒット作品となった。また新型コロナウイルス感染拡大防止策として複数の春休み映画が公開延期となった影響からロングラン上映となったこともプラスに働いた。5月からはさまざまな工夫で恐怖を緩和する加工を施した『映画「犬鳴村」恐怖回避ばーじょん 劇場版』も公開された。

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第6位　男はつらいよ お帰り 寅さん

興行収入:13〜14億円

第6位は22年ぶりの新作となった山田洋次監督の『男はつらいよ　お帰り寅さん』で興行収入は13〜14億円見込み。客層は年配層が中心で地方での興行が強いという。山田洋次監督の「アイディア盗用疑惑」も話題になったが、客層的に影響もなかったようだ。ちなみに本作は中学生以下は鑑賞料金100円という破格のキャンペーンを実施していた。

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第7位　ヲタクに恋は難しい

興行収入:13〜14億円

第7位は隠れ腐女子のOLと重度のゲームオタクの幼なじみが繰り広げる不器用な恋模様を描いた人気漫画を福田雄一監督が実写映画化した『ヲタクに恋は難しい』で興行収入は13〜14億円見込み。原作にはない「ミュージカル要素」が追加されていることへの賛否が割れた。また「愛すべきヲタク達の悲哀と歓喜の協奏曲(ラ・ラ・ランド)」「本年度ヲタデミー賞大本命」という宣伝コピーも話題となった。ちなみに福田雄一監督作品は『銀魂』以降、全作品が興行収入10億円を超えるヒットを記録している。

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第8位　CATS キャッツ

興行収入:12〜13億円

第8位は世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔を映画化した『CATS キャッツ』で興行収入は12〜13億円見込み。全米では「ここ10年間で最低の作品」「未知のジャンルのポルノ」「なにかの間違い」などと酷評され、興行的にも大コケしたが、日本ではそこまでの惨事とはならなかった。

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第9位　スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼

興行収入:11〜12億円

第9位は志賀晃の同名ミステリー小説を映画化し、北川景子主演でヒットしたサスペンス映画の続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』で興行収入11〜12億円見込み。前作の興行収入19.6億円から大幅ダウンとなった背景には、続編であるが故にタイトルから前作ほどの魅力やインパクトをなかったこと、また新型コロナウイルス感染拡大の影響で全体に客足が鈍っていたダメージを受けてしまった可能性が考えられる。

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第10位　ルパン三世 ＴＨＥ ＦＩＲＳＴ

興行収入:11〜12億円

第10位は山崎貴監督がモンキー・パンチ原作の人気漫画を3DCGアニメ映画化した『ルパン三世　THE FIRST』で興行収入は11〜12億円見込み。山崎貴監督は世代を超えて愛される人気漫画『ドラえもん』を3DCGアニメ映画化した『STAND BY ME ドラえもん』が興行収入83.8億円の大ヒットを記録していたが、本作も同様のポテンシャルを持った原作でありながら興行的に伸び悩む結果となった。ストーリー自体も『カリオストロの城』と『天空の城ラピュタ』を掛け合わせたような内容で、良くも悪くもメッセージ性が強かった昨年公開の『アルキメデスの大戦』『ドラゴンクエスト　ユア・ストーリー』に対して、毒にも薬にもならないような作品になってしまったのは残念だ。ちなみに賛否割れた小栗旬主演実写映画版『ルパン三世』は最終興行24.5億円と本作に対してダブルスコアのヒットを記録していた。

ルパン三世 THE FIRST

第11位　午前０時、キスしに来てよ

興行収入:10〜11億円

第11位はみきもと凜の人気同名漫画を「GENERATIONS from EXILE TRIBE」の片寄涼と橋本環奈で実写映画化した『午前０時、キスしに来てよ』で興行収入は10〜11億円見込み。松竹は『男はつらいよ』シリーズのような年配層の作品が多いイメージがあるが、10代女子を狙ったスイーツ映画も多い。

午前0時、キスしに来てよ

第12位　屍人荘の殺人

興行収入:10〜11億円

第12位はミステリー賞4冠達成をした人気原作を神木隆之介・浜辺美波で実写映画化した『屍人荘の殺人』で興行収入は10〜11億円見込み。本作は予告編で「ネタバレ厳禁！」と謳っていることだけあって、予告編からは想像もつかないようなビックリする展開によって山奥のペンションに閉じ込められることになる。ただその辺りの驚きがもう少し口コミで広がれば良かったのだが、本作に関しては「苦笑い」で劇場を後にする人が多かったイメージ。

屍人荘の殺人

 

 

最後に…

新型コロナウイルス感染拡大の影響により3〜6月の公開作品に興行収入10億円突破作品はなく、昨年度上半期の興行収入10億円突破作品が39作品だったのに対して、本年度上半期は12作品に留まった。最後に「格差社会」を描いた『パラサイト　半地下の家族』と『カイジ　ファイナルゲーム』が本年度上半期トップにランクインしているのが興味深く思える。