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学校で起きる事件も真相も主人公も想像の斜め上を行く藤原竜也主演ドラマ『青のSP―学校内警察・嶋田隆平―』感想

日本初のスクールポリスが学校悪を裁く!最恐の救世主誕生

フジテレビ系列で放送されていた藤原竜也主演の連続ドラマ『青のSP』の最終回が放送された。

 

  • 学校で起きる事件も真相も斜め上

本作は学校内に警察官が常駐し、トラブル対応や予防活動を行う「学校内警察(スクールポリス)」制度を検討する世界。その世界で試験的な導入先となった公立中学にスクールポリスとして配属されたのが、藤原竜也演じる捜査一課の刑事だった。本作では現代社会におけるSNS、薬物、盗撮、セクハラ、LGBT、黒人差別、モンスターペアレント、パワハラ、毒親など様々な問題に焦点を当てる。

ただ本作ではその社会問題の描き方がかなり斜め上だ。例えばSNSの誹謗中傷問題。中学校が舞台であるということを考えれば、普通なら「LINEでのイジメ」や「Twitterにクラスメイトの悪口や個人情報を流す」とか、そういうレベルの問題が正じ、その犯行に及んでしまった生徒を刑事事件として裁くか、それとも学校という教育の場で教師が指導するのが適切かと視聴者に問いかける…、みたいな感じの物語になるだろう。でも本作はそんなレベルではない。本作では自殺した親友のために、原因となったネットリンチの犯人を特定して個人情報を拡散することで社会的制裁を与えていた、という思いの外ハードかつ事実上学校外の問題を初回からぶち込んでくる。

また「えっ、このご時世この描き方大丈夫なの?」という此方を不安にさせる演出も多い。例えば薬物問題を扱った回では、水筒に薬物を入れられたことで強制摂取させられてしまった生徒が急にパンツ一丁になり、飛び降り自殺を図ろうとしたり、校庭で騒ぎ始めたりした挙句に白い泡を口から出して気絶するというとんでも演出が施されている。しかもこの回、薬物を水筒に入れた女子生徒は好きな男子生徒への告白が失敗したにも関わらず、成功したという前提で行動をしている頭のおかしいストーカーのお嬢様で、物語の後半は薬物問題の件はかなり有耶無耶になる。というより、薬物を摂取した生徒が大会を控えた運動部の選手だからという理由で当たり前のように隠蔽される。ちなみにこの回、学校備品が盗まれネットに転売されている事件も生じていたことから「このお金で薬物を購入している生徒が…」というミスリードまで入る。

そんなこんで本作はテーマとする社会問題に対して生じる事件の内容が「斜め上」かつ「過剰演出」な上に、その後の明かされる真相に別の社会問題をより強いインパクトで被せてくることで、初めに問題提起した社会問題の内容は結構有耶無耶になるという構造を抱えた作品となっている。更に毎回藤原竜也がイマイチ本質からズレたセリフを放ち、エンディングとなるから主題歌のイントロを聞くたびに「また何かを誤魔化された」という感じが半端ない。

最終回の「実は女子生徒の方が美術教師の岡部をハメていた!」という展開も、最初に女子生徒の体を触るセクハラをしてたのは岡部の方だったりして、物凄く飲み込み辛かった。

 

 

  • 藤原竜也演じるスクポリがどう考えてもおかしい

本作の主人公である藤原竜也は、生徒相手であったとしても法を犯せば容赦なく逮捕する刑事。学校教育の場で指導をして生徒を正しい方向に導くべきだという教師と対立する役所だ。ただ実は藤原竜也がこの現場に配属されたのは、自らの志願で、その背景にはかつてこの中学で教員していた恋人の死の真相に迫るためという設定がある。

ここまではいい。こいうドラマならよくある設定だ。ただこの刑事、事件の真相に辿り着くためなら盗聴とか普通にするし、事件の解決パートで身勝手な主張をする犯人の生徒の頭に拳銃を突き付けたり、キレ散らかして近くにある看板をバットでメッタメッタに叩き壊したり、とても刑事とは思えない行為を繰り返す。

また藤原竜也はかねてより恋人を死に追いやった犯人を見つけたら「殺す」と主張していたが、高橋克己演じる校長が犯人(正確には教唆犯)だと分かるとその場で本当にボコボコにし始めて、近くにあるハサミを心臓めがけて力任せに振り下ろし、その後全力で首を閉めに行くから驚かされる。しかもその後、校長が拳銃で撃たれて入院すると、病室に入っていき、事件の真相にたどり着くための証言を得ようと傷口を力任せに掴み、流血させる。

百歩譲って恋人の死の真相を知るために過剰な手段に出ているという解釈も出来るが、それとは関係のない犯人に対しても同じようなことをしているので、やっぱり普通におかしいとしか思えない役所だった。

 

 

  • 最後に…

そんなこんなでツッコミ所が満載のドラマではあったが、個人的には普通に楽しめた。特に藤原竜也と初回で誹謗中傷で逮捕された女子生徒の関係性は、最後に主人公から貰ったアイテムで主人公をアシストするという展開含めて好きだった。

 

 

参考記事

青のSP | 関西テレビ放送 カンテレ