ネタバレ注意
諫山創先生の『進撃の巨人』が完結した。今回は最終回で疑問に思ったところをネタバレ全開でセルフアンサーしていくという悲しい記事。ここに書いてある見解はあくまでも最終回発売当時のものであり、明日は全く別の見解を持っている可能性を初めに記しておく。
- エレンが巨人を母親に向かわせた理由
最終回ではエレンが巨人を母親のもとへ向かわせたという事実が明かされる。その理由はあの段階でベルトルトが死んでは困るからというもの。確かにあの段階でベルトルトに死なれてしまっては、アルミンが超大型巨人を継承できなくなってしまうから、大問題ではあるのだけど、だからといってどうして態々母親のもとへ向かわせたのだろうかと疑問には思った。でも冷静に考えれば、幼いエレンが「巨人を駆逐してやる!」と決意に至った動機は、「自身の母親が目の前で巨人に喰われたから」だったから、母親を救うことで幼き日のエレンの巨人に対する憎しみの動機がなくなってしまっては困ると考えたからなのかな、と思った。
- エレンとミカサの山小屋での会話
最終回の前の回でエレンとミカサが山小屋で会話をしている回想シーンがあって「何だこれ?」「もしかしたらあったかもしれない世界線の話とか?」みたいに考えてたけど、最終回でアルミン他主要キャラクターは記憶を失っているだけで事前にエレンと精神世界みたいな場所で話してたみたいだから、ミカサの回想もそれを思い出したということなのかな、と思った。そう考えるとミカサの前では「オレのことは忘れてくれ」と言ってたエレンが、アルミンの前では「一生オレだけを思ってほしい!!」「オレが死んだ後もしばらく… 10年以上は引きずってほしい!」と惨めな本音を打ち明けてるシーンも熱い。まー、でもアルミンの前でも「幸せになって欲しい」とも言ってるから、どっちも本音ではあるけど、それでもやはり自分を引きずってミカサが幸せになれないことだけは避けたいという想いが強いのかなと思った。
- 最後のコマではなかった「お前は自由だ…」
結構前に放送されていた『情熱大陸』で諫山創先生は最後のコマは謎の人物が赤ちゃんを持って「お前は自由だ…」と言っているシーンだと紹介されていたけど、最終回を見ると最後のコマではなく途中のコマに差し込まれる形になっている。最終回では謎の人物はエレンの父親で、赤ちゃんは生まれたばかりのエレンだということが分かるけど、もしこれが最後のコマだったら、全然自由な人生を送れなかったエレン(特に勲章授与の式以降)が生まれて間もなくして言われた言葉が「お前は自由だ…」というエレンの人生とは真逆の言葉だったという、とてつもなく皮肉の効いたビターなエンドとなっていた。でも実際の最終回は割と爽やかな味わいの着地点だったから、放送当時から最終回発表までの期間に諫山創先生の中で色々と心境の変化などがあったのかもしれない。
- 始祖ユミルが解放された理由
最終回では始祖ユミルが初代フリッツ王を愛していたことが明かされる。そういえば、始祖ユミルが死ぬ描写は、フリッツ王を槍から庇ったにも関わらず「お前が槍ごときで死なぬことは分かっている」「奴隷として働け」という言葉を浴びせられることで、絶望して回復能力を使わずに死んでいったみたいな感じだった。まー、だからフリッツ王からの愛が欲しかったみたいのは分からなくもないのだけど、それがミカサとどう繋がってるのかはよく分からなかった。エレンの説明は「ミカサがもたらした選択の結果が、巨人の力をこの世から消し去ることになる」だったが、「ミカサの選択」というのは前話の「愛するエレンを自らの手で殺す」が該当するのだろうか?そうだとすると、始祖ユミルは「愛した男と望まぬ結果となったミカサ」に報われない恋をした者同士、何らかのシンパシーを感じて解放されたとか、そんな感じなのだろうか?ここら辺はイマイチピンと来てない。
- マフラーを巻いた鳥
進撃が発売前に是非ともエレン鳥説(生まれ変わりとか)を推していきたい。1枚目のとこでほかの記憶はエレンが見たものだけどファルコのやつだけエレンは見ていないはず。しかも上から見ていてこれは91話の最初のコマを見ると鳥目線であることが分かる。#進撃の巨人#進撃の巨人最終回 pic.twitter.com/JtwX9QZCC9
— フラグマン (@monst_7974okk) 2021年4月8日
そして3枚目の131話でエレンが空を飛んでいる描写が書かれていてこれも鳥を比喩しているのではないかと思う。鳥は自由の象徴でもある為、エレンが求めた自由を鳥で表現しているのではないかとも思う。あと4枚目は鳥籠って書いてあるから鳥じゃね?みたいなかんじです。(適当です) pic.twitter.com/0C8ndven6q
— フラグマン (@monst_7974okk) 2021年4月8日
最終回のラストはエレンを引きずっているミカサのもとに鳥が来て、マフラーを巻き、ミカサが「エレン… マフラーを巻いてくれて ありがとう…」という感謝の言葉を発する。ではあの鳥の正体はエレンだったのだろうか?と、考えようと思ったが、Twitterにほぼ答えみたいなツイートがあったから、それをそのまま埋め込んでおく。
本作におけるマフラーといえば、家族が殺されて帰る場所のなくなったミカサにエレンが自身の巻いていたマフラーをミカサの首に巻いてあげた思い出の品。その後もミカサのエレンへの想いを象徴するアイテムとして何度も登場するマフラーが、ラストにエレンと思われる鳥によって再び巻かれるというのは、爽やかな着地点。前述した『情熱大陸』のラストより個人的には好み。ただ捻くれた見方をすればエレンが「オレのことを忘れるな」とミカサに言ってるようにも見える。
- 最後に…
『進撃の巨人』、大ファンというわけではないし、完全なニワカではあるのだけど、一応3巻が発売された頃から読んでるから、それなりに思い入れのある作品。今年は『銀魂 THE FINAL』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』公開時にも同じことを思ったけど、リアルタイムで長寿作品完結の場に立ち会えるのは本当に幸せなことだと感じる。