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中学生マインドが蘇る菅田将暉主演『キャラクター』のエンディング後の「刃物の音」の意味

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2021年6月11日(金)、菅田将暉主演『キャラクター』が公開された。

 

  • マンガ原作者が脚本のオリジナルスリラー

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日本ではオリジナル脚本の実写邦画が興行収入10億円以上ヒット作品になるケースは殆どなく、コンスタントにオリジナル脚本でヒットを出し続けているのは本人らの才能が溢れ、尚且つフジテレビが資金面と宣伝面で上手くブランド化することに成功した『古畑任三郎』シリーズの三谷幸喜監督作品や『コンフィデンスマンJP』シリーズの古沢良太脚本作品、『万引き家族』の是枝裕和監督作品くらいだ。そんなフジテレビが今回は浦沢直樹の『MASTERキートン』や『20世紀少年』の共同原作者でもある長崎尚志脚本の完全オリジナル作品を公開した。日本では漫画の実写映画化作品が山ほど作られているが、その背景には「スポンサーも観客も初めからある程度知名度のあるヒット原作の企画ではないとお金を出しにくい」みたいのがある。しかし今回は「あのヒット漫画の共同原作者の脚本」というブランディングの仕方をすることでその壁を乗り越え、オリジナル脚本にも関わらず興行収入15億円超えのヒット作品となった。そのため、これからも読み切り感覚で漫画原作者のオリジナル脚本映画みたいなのは金脈だと思うし、個人的な興味のためにも作られて欲しいと思う。

 

 

以下ネタバレ

 

  • エンディング後の「刃物の音」の意味

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本作のストーリーは「一家殺人事件とその犯人を目撃してしまった漫画家志望が、自分だけが知っている犯人をキャラクターにサスペンス漫画『34』を描くと、劇中で描かれた物語を模した事件が次々と発生する」という『20世紀少年』の共同原作者らしい内容。『バクマン。』の亜城木夢叶が好きそうな邪道な設定には自分の中に眠っていた中学生マインドが蘇る。そのため「菅田将暉演じる漫画家の実家での家族との会話のぎこちなさ」や「主人公のパートナーが生まれてくる赤ちゃんの性別をぼかす」などの違和感がその後伏線として回収されるシーンは心地良かったし、エンディング後に流れた刃物の音には「ここにいる大体の観客には分かっていないかもしれないが、菅田将暉演じる漫画家が描いた漫画内ではFukase演じる殺人鬼が菅田将暉の上になっていたが、現実では菅田将暉が上でFukaseに笑顔で包丁を振り下ろしていた。つまりあの段階で菅田将暉とFukaseの殺人鬼としてのキャラクターが入れ替わり、あのラストの包丁の音は菅田将暉が新たな殺人を犯すために奏でている音でとても怖いオチ。それなのにヘラヘラしてる観客は…」と思わせてくれる「大多数の観客は意味も分からず劇場の外に出るけど、分かった人は背筋が凍る『全員に伝わる必要はない、この意味が分かる人にだけ分かればいい』的塩梅の演出」も「自分だけが分かってる感」があって中学生マインドを擽るものがあった。

 

 

  • 最後に…

というわけで、中学生の頃に見たら心の底からハマって楽しんだのではないかな、という映画だった。

 

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