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魅力の反面、ノイズにも…/金曜ドラマ『最愛』で吉高由里子が女子高生と実業家を演じ分け

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TBSテレビの金曜ドラマ『最愛』の初回を観た。連続殺人事件の重要参考人となった実業家は、その事件を追う刑事の初恋の相手だったという完全オリジナルのサスペンスラブストーリードラマだ。

 

  • 高校生役に違和感

このドラマで実業家役を演じるのは昨年放送された『危険なビーナス』でも「謎多き女」を演じた吉高由里子だが、本作では15年前の女子高生時代も演じている。そのためネットでは放送中から「吉高由里子が高校生に見えるかどうか」の意見が多く見られた。同年代だと2016年放送の『逃げるは恥だが役に立つ』で新垣結衣、2020年公開の『コンフィデンスマンJP プリンセス編』で長澤まさみが制服姿を披露しているが、両作品ともリアルな女子高生を演じた訳ではなく、コスプレ的なノリだった。その一方で今回の吉高由里子が演じるのは等身大の高校生役。そのため制服を着て、陸上の応援に行ったり、部屋には大学受験のための赤本なんかが置いている訳だが、個人的には結構違和感を覚えた。単体のシーンでもそれなりに違和感があるのだから、おそらく高校生と近い年齢の役者がキャスティングされているであろう同級生と絡むシーンや推薦入試のシーンでは、「大人が混じってる感」が半端なかった。

 

 

  • 演じ分けの魅力

そんな訳でドラマのノイズになっているようにしか思えない吉高由里子の高校生役だが、製作側が高校生時代を別の役者に演じてもらうのではなく、同じ吉高由里子に演じて貰った意図は理解できる。それは、吉高由里子に「笑顔が絶えなかった女子高生時代」と「殺人事件の重要参考人となった謎多き実業家」の演じ分けのギャップに期待したからだろう。実際、初回ラストの実業家として登場シーンで「さっきまでの高校生と同じ人のはずなのに、雰囲気が全然違う」と思わせたのは同一人物が演じてこその演出だろう。また高校生時代を切り取っても、部屋で見つけた血のついた服を燃やす炎を見ながら、涙を流すシーンとか、「彼女の中で何かが失われてしまったんだな…」と思わせる切ない場面になっていて、とにかく良かった。という訳で、吉高由里子の演技は全体的に良いのだが、どうしても時折「でも、これ高校生なんだよな」と確認しながらの視聴になってしまったので、その点がノイズになってしまった。

 

 

  • 最後に…

物語の内容的に今後も高校生時代の回想はあるのだろうが、そのシーンが実業家時代と同一人物が演じてこその魅力となるか、ノイズとなるか、今から不安と期待が入り混じっている。