青山剛昌先生の『名探偵コナン』のコミックス100巻が発売された。
- 歪みまくった時間と文明
「名探偵コナン100巻到達記念スペシャルコンテンツ」が面白い! 1. FILE.1 平成のホームズ #サンデーうぇぶり
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2021年10月19日
『名探偵コナン』第一話の雑誌掲載時の再現リンク 新連載当時のアオリとかも見られる ロゴが今のと大きく違うのが印象的https://t.co/ov0dlHMNqr
『名探偵コナン』は1994年から『週刊少年サンデー』で連載が開始された殺人ラブコメ漫画でコミックス累計発行部数が2億5000万部を超える人気コンテンツ。テレビアニメは放送25年を迎え、毎年4月に公開される劇場版も大ヒットを記録しており、本来後追いだったはずの『週刊少年マガジン』の『金田一少年の事件簿』とは異なり衰え知らずの人気を博している。
そんな本作は連載期間が28年を超えているのに対して、本編の時間は半年しか過ぎていないということになっている。そのため青山先生曰くバレンタインや文化祭などの季節ネタは一度しか使わない構成にしているらしいが、修学旅行編では紅葉が綺麗な秋なのにその前の巻では冬にラーメンを啜っているなど、明らかに四季がループしている。また文明の面でも連載初期は阿笠博士による弁当箱に市販のFAXをくっ付けただけの「弁当型携帯FAX」や「イヤリング型携帯電話」という少年漫画らしい探偵アイテムも登場していたが、携帯電話の普及により消滅。更に黒の組織のあの方のメールアドレスが携帯電話のプッシュ音で「七つの子」のメロディになっているというネタもスマホ時代の今となっては「お、おう」という感じ。それでいて、「工藤新一が生きている」という情報はSNSで拡散されるという現代的な演出となっており、長期連載にも関わらず本編では半年しか経っていない設定故に時間も文明も歪みまくっている。
一方で現代の技術の水準を考えれば「蝶ネクタイ型変声機」など嵩張るだけの邪魔な存在にも思えるが、作品のイメージ戦略なのか28年間アップデートはされておらず、ここにも歪みを感じさせる。
- 新キャラ続々投入も劇場版でカバー
長期連載作品の欠点は物語に関わる重要な新キャラクターが続々投入されることで、「昔は好きでよく読んでたんだけど、最近は知らないキャラクターばかりでついていけなくて…」と読者離れを起こしてしまう点にある。現にコナンも灰原哀の初登場が18巻、赤井秀一が29巻、世良真澄が73巻、安室透が75巻と中々エグい。人間関係が複雑になる程、ストーリーとしては深みが増してファンには堪らないが、ライト層からすれば近付きにくい作品となっていってしまう。しかし『名探偵コナン』は毎年公開する劇場版で新キャラクターに焦点を当てた作品を公開することで、映画くらいしか観ないライト層に対して新キャラクターを認知させて、原作への移行のハードルを下げている面がある。これは毎年コンスタントに映画が公開されて、大ヒットを記録するコナンだからこその現象だろう。
- リアル「えっ?コナンって新一なの?」体験
本作には「えっ?コナンって新一なの?」とネタにされがちだが、ここまでの長期連載となるとそれをリアル体験している人も少なくないと思う。現にテレビアニメでコナンを途中から観る子供たちには、ある程度認知した段階で実はコナンの正体は高校生探偵・工藤新一というのは中々衝撃なのではないだろうか。かくいう自分もコナンの設定を知らない時に映画のポスターを見て「工藤新一と蘭姉ちゃんの子供がコナンなのかな?」と頓珍漢なことを考えており、「体が縮んでいた!」という設定には中々の衝撃を受けた。この体験をする子供達は長期連載になればなるほど増えていくだろう。
- 最後に…
アニメの最終回は「物語の途中から始まって途中で終わる『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』」や「物語のラスト手前から始まり終わりまで駆け抜ける『銀魂 THE FINAL』」のヒットから劇場版でやって欲しいと願う。
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