小栗旬主演の日曜劇場『日本沈没-希望のひと-』は初回放送以降、視聴率15%以上の高い水準で推移はしており、今クールの首位争いをする人気だという。
- 繰り返しリメイク、「時代映す鏡」に…
小松左京の小説『日本沈没』は1973年公開の映画、1974年のテレビドラマ、2006年公開の樋口真嗣監督版の映画、2020年のNetflix配信のアニメ、そして2021年放送の小栗旬主演の『日曜劇場』版とラジオドラマや漫画を含めて様々な時代に様々な媒体で繰り返し語られている作品だ。映画や漫画、ドラマといった作品は時に「時代を映す鏡」と言われるが、本作のように同一作品が繰り返し様々な時代に語り直されることは、常に製作側が「もし今、日本沈没が起きるならどうなるのか」と過去作を踏まえた上で意識的に時代を考えて作られた作品ということになるため、リメイク版の『日本沈没』は他の作品より時代を考えやすい作品となっている。
- 小栗旬主演『日曜劇場』版に映し出された時代
そのため小栗旬主演の『日曜劇場』版でも、前半では敢えて「日本沈没」ではなく「関東沈没」とすることで、『シン・ゴジラ』でも台詞では触れられた「東京一極化集中問題」や主人公が環境省の代表で総理大臣が環境を重視していることから「持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs」を意識させるような設定になっている。その意味では國村隼演じる世良教授が「国民の混乱を避けるため」とデータを改竄したのは森友学園問題の公文書改竄問題等を意識したのだろうが、1973年でも十分起こりえることが「今の問題」としてリアリティを持って描かれ、それを視聴者も「時事ネタ」として受け取れてしまう現状には残念さもあるが、「インターネット上での転売問題」や「東日本大地震が与えた心理的影響」なども含めて「2020年前後」の時代を映し出した作品となっている。
※余談だが本作は「SDGs」のCMが多い
- 「時代を映す鏡」として作り続けて欲しい
そして「日本沈没」という現象を軸に「その時代を描いた作品」だからこそ、長いスパンで見た時に過去作と比較して、「1973年公開版の映画は女性は置物的役割でしかなかったのに、2006年版は女性の社会進出が見える」とか「これまでの作品は政府の発表をメディアを通じて受け取ってるだけだった国民が、Netflix配信の『2020』では子供がインターネットを通じて海外の人から情報収集をしている」といった「今の時代の特徴や問題点、過去からの変化」も見えやすくさせる。小栗旬主演の『日曜劇場』では「海が汚れる」とボカした表現が後世でどういう見方をされるのかも気になるところだ。またこれは社会的な話だけでなく特撮映像史としても価値が高いと感じる。そのため『日本沈没』は歴史的史料としても定期的に「その時代を映す鏡」としてリメイクされ続けて欲しいと願う。
※比較は当然だが「違い」だけでなく「何が同じなのか」も重要
- 最後に…
個人的な激甘評価を記せば、小栗旬主演の『日曜劇場』版は2006年公開の樋口真嗣監督作品版公開時にはなかった東京スカイツリーの周辺が水没しているという画を見せてくれただけで「OK」みたいなところはある。
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小栗旬主演・日曜劇場『日本沈没-希望のひと』、初回視聴率15.8%スタートも賛否割れた理由
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2021年10月11日
→賛否の背景には「普段日本のドラマを観ない層」と『シン・ゴジラ』と『ドラゴン桜』か、みたいな話
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