世の中「アレ?この映画、前の作品でも完結とか言ってなかったっけ?」みたいな映画が結構ある。今回は2021年公開の「これ前に終わってなかったっけ?」的な映画4本を振り返る。
- 銀魂 THE FINAL
「終わる終わる詐欺」で有名な空知英秋先生の大ヒットコミックスのアニメ版最終作『銀魂 THE FINAL』が1月に公開。当時記録的な大ヒットとなっていた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』に便乗する特典を付けて同作品の連続首位を食い止め、尚且つ翌週に首位を奪われたことまでがセットで話題になったが、興行収入は19億円を超えてシリーズ最高を記録。
テレビアニメシリーズの中でも何度も「終わる終わる詐欺」を繰り返し、それをネタにしてきた本シリーズだが、2013年には『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』が公開されており、エンディングではこれまでの思い出をフィルム形式で振り返りながら第一期のオープニングテーマ『Pray』が流れ、最後は銀さんたちの日常を軽く見せて「完」と大きく表示されて、「原作はまだまだ続くっぽいが、アニメ版は本当に終わった感」が漂っていた。しかしその2年後の2015年からテレビアニメの新シリーズが放送開始。ただし新シーズンはサンライズからバンダイナムコピクチャーズへと制作会社が変わったことから、作画やギャグのノリもやや異なるテイストとなり「アニメ『銀魂』は『完結編』で終わった」という声も少なからずある。
- シン・エヴァンゲリオン劇場版
庵野秀明総監督の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が3月に公開。興行収入は100億円の大台を超えて、本年度年間No. 1ヒット作品となっている。
本シリーズは1997年に『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air / まごころを、君に』で完結した『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの「リビルド(再構築)」として2006年から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のタイトルで始まったシリーズだが、完結編となる4作目のタイトルは上述した通り『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と元タイトルから変わっていた「ヱがエ」、「ヲがオ」に戻り、テレビアニメシリーズをも総括するシリーズ完結編として公開。一方で本シリーズにも『銀魂』同様に「自分にとっての『エヴァ』は1997年の夏に終わった」という人が存在する。
- るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning
和月伸宏先生の大ヒットコミックスを大友啓史監督が実写映画化した『るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning』が4月と6月に公開。
本シリーズも2014年に原作における『京都編』を実写映画化した『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』公開の際に「るろうに剣心 完結」「遂に完結」と「完結作」であることを強調してた一方で、物語内で「十字傷」の謎は明かされず、製作陣のインタビューでは原作で『京都編』の次の最終エピソードを「やりたい」と公言しているなど、割と確信犯的な宣伝。
そのため『The Final』は「るろうに剣心シリーズがついに完結」と「前回のはあくまでも『京都編』の完結で、今回はシリーズの完結です」と言わんばかりの宣伝。しかもその2ヶ月後に公開された『The Beginning』でも「すべての戦いの始まりの物語 ついに完結」「これで最後 見逃すな」とまたもや「完結」を強調する宣伝。実際、映画の構成的に『The Final』は剣心の物語の最後、『The Beginning』は剣心の物語の始まりを描いたシリーズ最終作と、どちらも「完結」という宣伝で間違ってないのだが、ネタにしてない分『銀魂』以上に「なんか毎回完結してるな感」があるシリーズとなった。
- マトリックス
ラナ・ウォシャウスキー監督の『マトリックス レザレクションズ』が12月に公開。
『マトリックス』シリーズは2003年公開に「始まりが あるものには すべて 終わりがある」という、今思えば小泉進次郎構文チックなキャッチコピーで公開された『マトリックス レボリューションズ』で完結していたが、その後も続編の噂が立っては消えを繰り返し、ついに実現。日本でのキャッチコピーは「真実の先を 知りたくないか」で、「1作目の続編」「前3作の続編ではない」「前3作と関連している」と様々な情報が飛び交い期待感が高まる一方で、「何となくダメそう」と感じている人もチラホラ。どういう評価になったかは公開後追記予定。
- 最後に…
最新作で完結を宣言してた作品の中でも『エヴァンゲリオン』シリーズは『新劇場版:破』と『新劇場版:Q』の間を作るという話があるし、『るろうに剣心』も原作では『北海道編』が開幕していて、今後も新たな続編が作られるかもしれない…