木村拓哉と工藤静香の娘・Kōki,の初主演映画『牛首村』が公開される。トップスターの娘とあり、週刊誌やネット等では色々言われ、実際に色々あるのかもしれないが、予告編のサムネは若い頃のキムタクそっくりで驚かされた。
- コロナ禍で話題作が次々と公開延期になる中で…
本作は「実録!恐怖の村シリーズ」第3弾だが、本シリーズの始まりは2020年2月、「中国でコロナとかいう新型ウイルスが流行ってて、日本にもきたらヤバいらしいよ」とマスクを着けつつ「まー、そんな大事にはならないだろう」みたいな空気の方が強かった頃まで遡る。
本作は公開前から『呪怨』シリーズの清水崇監督が「日本最凶の心霊スポット・旧犬鳴トンネル」と「都市伝説・犬鳴村伝説」を織り交ぜたホラー映画を撮ったということに加えて、公開前にSNSでコミカルな加工を施した冒頭8分を限定公開したことで「純粋なホラー映画への期待」と「ネタ枠」で注目を集めていた。その一方で公開規模は全国210館と同日公開の『ヲタクに恋は難しい』の303館に対して100館近い差があり、オープニングの週末興行は後者の2.29億円に対して1.56億円とボチボチな感じだった。しかし、その後口コミだけでなくエンドロールに霊が映り込んでいる等の話題も広がり、尚且つ新型コロナウイルス感染拡大の影響で春休み興行を狙った3月公開の話題作品の公開延期が決まったことで上映回数の減少を抑えることが出来たことから、ロングランヒットを記録。最終的に前述した『ヲタクに恋は難しい』の最終興行13.4億円や全国345館で同時期公開された『AI崩壊』の最終興行10.0億円を超える14.1億円を記録。こうした結果をリアルタイムのCMでネタとして反映していった姿勢もメインターゲットとなる若者の心を掴んだのかもしれない。
更に本作はコロナにより新作映画の公開が軒並み延期となり、興行収入が大幅ダウンした2020年5月に公開前にネタとして公開した『恐怖回避バージョン』のフルバージョンを映画館で公開。1回目の緊急事態宣言発出からスタジオジブリ作品再上映までの厳しい期間を『パラサイト 半地下の家族』や『心霊喫茶「エクストラ」の秘密』と共に映画館を支えた象徴的作品の一つとなった。
国内映画ランキング(2020年2月8日~2020年2月9日) - 映画.com
- 緊急事態宣言発出中に公開した『樹海村』
そんな感じでヒットを記録した『犬鳴村』に続き、その1年後早くも「実録!恐怖の村シリーズ」第2弾『樹海村』が公開された。残念ながら前作ほどのヒットには至らず、興行収入10億円には届かなかったが、なんといってもこの「なんかウケたから、同じような作品作ってみました!」的なノリとスピード感がいい。
また2回目の緊急事態宣言発出により『シン・エヴァンゲリオン劇場版』や『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』などの話題作の公開延期が決まる中、「緊急事態宣言中でも2.5公開」というCMを流す宣伝も「別に何か悪いことをしてる訳でもないけど、なんかちょっと周りが躊躇ってやらないことをやっちゃう背徳感」的なのを刺激する絶妙な匙加減が、コロナ禍で鬱憤が溜まる若者層の気持ちを惹きつけたような気がしないでもない。まー、流石にそれは買い被り過ぎにしても、若者の心を掴む宣伝を展開するのが上手いシリーズだな、という感じはする。
- 最後に…
コロナ禍の若者の心を掴んだシリーズの最新作『牛首村』の先行上映含めたオープニング興行収入3日間は1.22億円と最終興行6億円ちょっとの『樹海村』をやや下回るスタート。製作側からするとキムタクの娘・Kōki,の起用で前作超えのスタートを切って欲しかったが、本音かもしれないが、評判も悪くないので今後どこまで伸びるか注目だ。
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