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「原点回帰」で初代&原作リスペクト、4代目・山田涼介と川口春奈のアンサンブルが楽しいドラマ『金田一少年の事件簿N(neo)』

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ドラマ版『金田一少年の事件簿』の再放送が決まったので、堂本剛版から山田涼介版を振り返りたいと思う。今回は4代目・山田涼介版のドラマの話。

 

  • 「原点回帰」で初代&原作リスペクト

金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件 [レンタル落ち]

初代・堂本剛版がテレビドラマ界に革命を起こしたのに対して、それとは別の独自の世界を提示しようとした2代目・松本潤版と3代目・亀梨和也版は「悪くないけど…」という微妙な評価に終わった。こうした経緯が影響したのか、4代目・山田涼介版は「原点回帰」すべく初代と原作へのリスペクトに満ちた作品となった。まず音楽が初代のアレンジ版を使用。更に演出に堂本剛版の映画『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』の助監督の1人で、初代演出の堤幸彦監督と共に『トリック』シリーズなどを演出した木村ひさし監督を起用。カメラワークからカット割まで初代と同じテイストの作品となった。

金田一少年の事件簿 20周年記念シリーズ(3) (週刊少年マガジンコミックス)

また連ドラ版の前に放送されたスペシャルドラマ『香港九龍財宝殺人事件』と『獄門塾殺人事件』は脚本を原作者の天樹征丸氏が執筆。特に前者はドラマのための書き下ろし(ドラマ放送前に漫画化)であり、またスペシャルドラマ2本は正月特番といえど前者が香港、後者がマーレシアでロケをするなど、かなりの力の入りようで、日テレ側の「今度こそ初代に次ぐ成功作にするぞ」という意気込みを感じさせた。

 

 

  • 連ドラ版の事件

連ドラ版の事件のチョイスも良かった。初回は堂本剛版の初エピソード『学園七不思議殺人事件』を連想させる学校が舞台の『銀幕の殺人鬼』を実写化。冒頭を初代と同じ演出にする一方で、有名映画監督を祖父に持つ映画研究会部長に対して「じっちゃんとオレは別だから」とコンプレックスなく言い放つなど亀梨和也版とは違い原作リスペクトをしていることを強調してるのかと邪推したくなるようなセリフもあった。更に初回ゲストは『金田一〜』の原作・作画コンビの『探偵学園Q』で山田涼介と共演していた神木隆之介と作者ファンにも役者ファンにも嬉しいキャスト。初回から2時間スペシャルと他のドラマとは違う「特別感」を出してきた。

また松潤版では連ドラ前のスペシャルドラマと連ドラ最終回のみの登場で消化不良感のあった「地獄の傀儡師」こと高遠遙一だったが、山田涼介版ではスペシャルドラマ『獄門塾殺人事件』で初登場して、連ドラ版でも中盤の『金田一少年の決死行』と最終エピソード『薔薇十字館殺人事件』に登場して連ドラの縦軸として機能。松潤版ではキャラクターとしても何処か「コレジャナイ感」のあった高遠だが、山田涼介版では成宮寛貴が原作のイメージに沿ったカリスマ的犯罪プロデューサーを演じた。更に『薔薇十字館殺人事件』の一つ前のエピソードを原作でも珍しい美雪が登場しない『雪影村殺人事件』を置き、尚且つ美雪が金田一とケンカしたことで同行しなかったという設定に変更したことで、最終エピソードで高遠からの要請がない美雪が「はじめちゃんを一人で行かせてヤキモキ帰りを待ってる方があたしはよっぽどヤなの!」と態々事件が起きる舞台に向かう金田一に付いてくる理由の意味合いが原作より強化。基本的に連続性のない原作に対して、繋がりのある連ドラ版だからこその再構成だと感じた。

 

 

  • 山田涼介・金田一と川口春奈・美雪のアンサンブル

本作最大の魅力は原作と堂本剛版にあるも松潤版・亀梨和也版で失われていた、「金田一がバカなことをして優等生の美雪が『はじめちゃん!』と怒るやり取り」が山田涼介演じる金田一と川口春奈演じる美雪によって復活したこと。特に最終回のラストで金田一の言葉を受けた美雪の動揺した目の泳がせ方とその後に続くあまりにバカバカしい金田一の行動とそれに怒る美雪の描写は「この関係性がいつまでも続いて欲しいし、それを見ていたい」という気持ちにさせてくれた全シリーズの中でもトップレベルで好きなシーンになった。

金田一少年の事件簿 20周年記念シリーズ(5) (週刊少年マガジンコミックス)

また金田一のキャラクターは堂本剛版でも再現されなかった原作の「美雪と一線を越えたい欲求」、つまりは『犯人たちの事件簿』で千家が指摘した「シャバにいられるギリギリの性欲」をも取り入れ、『香港九龍財宝殺人事件』に限れば歴代金田一で初めて髪を後ろで結ぶ原作のビジュアルを再現するなど、徹底的な原作リスペクトぶりをみせた。可愛こぶるシーンは原作に対してストレートに可愛すぎるような気もしたが、それでも「ウザさ」も丁度いい塩梅で再現できていたように思う。

 

 

  • 最後に…

自分は前シリーズの中で山田涼介版が1番好きだが、「原点回帰」というコンセプトは初代・堂本剛版から20年近い時間が経過していたことや同時期にテレビアニメが放送されていたこともプラスに働いたように感じる。最後に山田涼介版は地味に真壁役を演じた浅利陽介の存在が大きかったように思う。Hey!Say!JUMPの主題歌『ウィークエンダー』の歌詞も良かった。

 

次回は5代目・道枝駿佑版のドラマの話

 

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