マイケル・ベイ監督作品『アンビュランス』を観た。
- 『ダーク・サイド・ムーン』で極に達した作風
マイケル・ベイ監督作品といえば兎に角ド派手で悪趣味な作品を作る人というイメージ。その傾向は『バッドボーイズ2バッド』の「死体カーチェイス」から強くなり、「3D」が足された『トランスフォーマー ダーク・サイド・ムーン』で極に達した印象がある。そんな「足し算」でインフレしていくイメージのマイケル・ベイ監督だが、近年は足すものが段々となくなっている感じがあった。というのも、『トランスフォーマー』シリーズでオートボットたちのガッチャンガッチャンしたド派手なアクションを見せられた後だと、他の作品はどうしても「オートボット」たちを引いた作品になってしまうため、いくら派手な「銃撃戦」や「カーチェイス」を見せられても、なんか物足りなく感じてしまっていた。
- ドローンを駆使した撮影
マイケル・ベイ、インタビュー ─『アンビュランス』爆裂トーク– THE RIVER
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2022年3月27日
→これまでの映画では観たことがなかったような、新しいことを試したかったんです。19歳のドローン操縦士が見つかってね。ドローンを飛ばしてもらえたから、クレイジーなことをやってもらったんです https://t.co/Go9ipD1Urz
それでも新作を見続けるのは常にフレッシュな視点のアクションを提示しようという姿勢が見えるからだ。Netflix独占配信だった前作『6アンダーグラウンド』では悪趣味なマグネットアクションを見せたが、最新作『アンビュランス』ではドローンを駆使した撮影方法でこれまでに観たことのない迫力のカーチェイスを実現している。空中で一回転した後に、そのまま下降してカーチェイスシーンに突入するみたいなフレッシュなアクションシーンがてんこ盛りだ。欲を言えば空中から地上へのドローン撮影ではもっと長回しのワンショットが欲しかったが、細かくカットを割るのがベイ流かつ撮影的にも色々難しかったのかもしれない。兎にも角にも良くも悪くも映画館で観て欲しい作品だが、ドローン撮影が凄すぎるので、体調が悪い日とかには無理して行かない方がいいとは思う。カメラが無駄にぐるぐる回って細い隙間を凄い勢いで通ったり、下降したりするから歴代ベイ映画の中でも最も酔う可能性が高い作品であることも間違いない。
- 最後に…
最後にラストで美談的になるのがおかしい的な指摘もみたが、マイケル・ベイ監督は製作総指揮のスピルバーグ監督への発言で『トランスフォーマー』を降板させられたミーガン・フォックスを『ミュータント・タートルズ』でヒロイン役に起用した人。そのため良くも悪くも性善説に基づいた「良い人」「心の広い人」っぽいので、別にこの着地点でもいいのではないかと思った。