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【アカデミー賞4部門ノミネート】『ドライブ・マイ・カー』が海外で評価された背景にある「村上春樹、広島、多言語劇、心の疲弊」

ドライブ・マイ・カー インターナショナル版

『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞に4部門ノミネートされた。

 

  • 「日本映画」トレンド入りから2年…

思い返せば2年前、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー最優秀作品賞を受賞した際にはTwitterで「日本映画」がトレンド入りして、多くの人が日本映画の現状に対しての想いを吐露していた記憶がある。あれから2年、昨年は中国人監督の『ノマドランド』が最優秀作品賞を受賞し、アジア系の躍進が続き、ついに今年は日本映画『ドライブ・マイ・カー』がノミネートされるに至った訳だ。事前予想によると残念ながら本作が作品賞を取ることは難しいらしいが、それでも日本映画がアカデミー賞にノミネートされた事実は大きい。

また本作は他作品と違って殆どキャンペーンを行っておらず、映画批評家が高く評価したことから、ノミネートが実現したという。これも中々凄いことらしく、今後の映画文化をゼロから考え直させる出来事らしい。

 

 

  • 映画批評家から高評価の背景

本作が映画批評家から注目を集めた背景には映画評論家の町山智浩さんによると「アメリカでも有名な村上春樹原作の大胆なアレンジ作品」であることと「公開時期と投票時期が重なっていた」ことがあるという。前者に関してはノーベル文学賞を取りそうで毎回取れないことでお馴染みだが、最近借金が返し終えたというニコラス・ケイジも時間があったら読んでるみたいなインタビュー記事を読んだばかりなので、やっぱり世界的に有名なんだな、と再認識。後者は日本アカデミー賞で本作が無双してたのも海外の評価に後押しされた形だろうし、それと同じでやっぱり「勢い」的なのも大事なんだろうな、とこちらも再認識。

また『産経ニュース』によると「世界的に評価されている村上春樹原作を発展させる形の脚本」「広島を舞台に現代の物語を紡いでいる」「手話を含む多言語劇」の3点がアメリカで評価されているらしい。「手話を含む多言語劇」は「多様性を認める社会」が求められる現在及びアカデミー賞において重要な評価点なのだろう。

ところでアメリカでの評価点の一つ「広島」は当初韓国ロケの予定を新型コロナ感染拡大の影響で広島に変更した経緯がある。この事実を踏まえるとコロナがなければ本作のアメリカでの評価はまた違った形になったかもしれない。また本来「韓国ロケ断念」というネガティブな要素だった点が、結果的に物語の「仮死状態からの再生」と広島の復興が重なり、作品にとっての強みに変えてしまったというのは凄い話だ。

 

 

  • コロナ禍での心の疲弊

一方で本作プロデューサーはコロナ禍などの結果、人々の心が疲弊していることから、本作の「仮死状態からの再生」の物語が響いたのではないかと指摘している。

この指摘は米国人記者他、複数のメディアで同様の見解が並べてられており、最も重要な評価ポイントだと見ることができる。

 

 

  • 最後に…

最後に製作費1.5億円+αの本作は今回のノミネート作品で唯一の黒字作品だという。

 

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