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【ホラーコメディ】「withコロナ時代」に相応しいシリーズ最新作、小芝風花主演・木村ひさし監督映画『貞子DX』ネタバレ感想

映画チラシ『貞子DX』5枚+おまけ最新映画チラシ3枚  

木村ひさし監督最新作『貞子DX』を観た。

 

  • 死ぬまでの期間が1週間から24時間へ

youtu.be

本作は過去作の「呪いのビデオを見た人は1週間後に死ぬ」という設定をTikTok時代らしく「24時間」に短縮した『貞子』シリーズの最新作。メガホンを取ったのは『屍人荘の殺人』『仮面病棟』『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』などの木村ひさし監督。

 

 

  • ホラー映画なのにポップなテイスト

木村ひさし監督は堤幸彦監督と共に『トリック』シリーズの演出をしていたことも有名だが、その頃から現在に至るまで一貫して登場人物に特徴的な仕草を与えることでキャラクター性を増す演出を好む傾向にある。そのため本作では小芝風花演じるIQ200の天才大学院生・文華は両耳の後ろに親指を当てるポーズを繰り返し、川村壱馬演じる相棒役の王司は良い感じのセリフを鼻を擦りながら発する行為を繰り返す。また『トリック』といえば男女ペアの掛け合いが魅力の作品だったが、本作でも女性への距離感がバグっているナルシストの王司に対して文華が徹底的に塩対応をし続けるという掛け合いが面白く、ホラー映画にも関わらず全体的にポップなテイストの作品に仕上がっている。この2人の掛け合いやキャラクターにハマれば本作は楽しめる一方で、ここにハマれなかった場合、かなり苦痛な時間を過ごすことになり、結構人を選ぶ作品となっている。

 

※2人のインタビュー等に確認すると、両者共に木村ひさし監督の演出に困惑して「これホラーとして成り立ってるのかな…」と心配してる様子が面白い

 

 

以下ネタバレ

 

  • 「withコロナ時代」の貞子

S.H.フィギュアーツ 山村貞子

本作はSNSで「ホラーというよりコメディ」と話題になっている。勿論、ちゃんとホラーをしているところはホラーをしているのだが、今回の貞子は見た目が呪われた対象者の知り合いという設定故に髪の薄いおじさんから死の時間が近づくと髪がボーボーと生えてくるなど「これ笑わせようとしてるのか…」みたいな困惑する演出も多い。またクライマックスは貞子の呪いの空間に取り込まれて殺されそうになり必死に耐えてる4人の姿を、その段階では呪われていない現実世界にいる人物によって客観的に見せることでシュールな笑いが生み出されている。そして極め付けはエンドロール。本作の貞子の対処法は「これから一生、最後に観てから24時間以内に呪いのビデオを再視聴し続けて免疫を付ける」という「ゼロ貞子」ではなく「withコロナ時代」に相応しい「with貞子」、つまりは「科学的根拠によって貞子との共存を目指す」エンドだが、エンドロールでは呪われた主人公の母親が亡き夫の姿の貞子に「これからはずっと一緒にいられるね〜」と笑顔でお茶を出してたり、王司が呪いのビデオを巻き戻し忘れていて代わりにSNSにアップされてた動画を見ようとするもスマホの充電が切れて貞子に殺されそうになったり、なだぎ武演じる貞子が主人公家族の座るソファの後ろで髪をなびかせていたりと主人公の笑顔と共に終始楽しい雰囲気のホームパーティーノリの「呪いのビデオ鑑賞会」が明るめの主題歌と共に延々と流されていて「一体何も見せられているんだ…」と笑いを堪えるのに大変な楽しい時間を過ごせた。

 

※ホラー映画は静かなシーンで緊張感を高めてから大きな音で観客を脅かすのが定番だが、本作は王司の声がやたらデカい、主人公のスマホの着信音がやたらデカい、パトカーのサイレンの音がやたらデカいと、ホラー以外の場面でやたらと大きな音が出る映画になっていた

 

※シリーズ1作目『リング』とは真逆の優しい結末、というのも好き

 

 

  • 最後に…

本作の「呪いのビデオ」は井戸から這い上がってきた貞子が自分の今居る場所を見ている、という設定だったが、映画のクライマックスで劇場で本作を鑑賞している観客の姿を映し出すことで「あなたも呪われた」とメタ的にみせる大オチは後ろにいる女子たちが「キャ〜、怖〜い!」とキャッキャしてたので劇場体験としても良かった。その一方で映し出されていた劇場の映像は満席だったのに対して、自分の観ていた劇場はガラガラだったのは悲しかった。

 

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