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【川口春奈×目黒蓮×夏帆】想の夢の中で完成した奈々が憧れた「両手が塞がれた状態での会話」、ドラマ『silent』ネタバレ感想

『silent』の奈々の失恋が切なくもロマンチックだった。

 

  • 自分のために覚えてくれた手話が…

想の友達である奈々は生まれながらの聴覚障害者。生まれつき聴者の自分はかつてろう者のことを「生まれつき耳が聞こえないなんて可哀想…」と思っていたが、生まれつきのろう者による「生まれつき耳が聞こえない人は同じ人たちでコミュニティを作って楽しく生きているし、手話などのろう文化にも誇りを持っている」という趣旨の話を聞いてから「自分はなんて失礼なことを思っていたのだろうか…」と反省した。一方で本作の想のような中途聴覚障害者は「耳が聞こえることが前提のコミュニティに参加し、アイデンティティを作って生きてきた故に聴覚を失うことのショックが大きい」のだという。劇中の想も大好きない音楽という趣味を手放さざるを得なくなり悲しみを覚えていた。

そんな人生に対してのポジティブさを失った想の話を聞いてあげたのが奈々だった。彼女は想に手話を教えてあげ、互いに仲を深めていった。更に想は手話を「奈々と手話だけで話せるようになるのを目標にして手話覚えた、奈々にだけ伝わればいいから…」といってくれた。奈々にとってこれはとても嬉しいことだったに違いない。しかし時が経ち、想は元カノの紬と再開した。そして紬は想のために手話を覚え、想は奈々から教わった手話を紬にレクチャーした。

 

 

  • 主題歌とマッチする奈々の心情

その事実に対して奈々は紬に「プレゼントを使い回された気持ち」と自身の想いを伝えた。奈々は想のことが好きだった。私は耳が聞こえなくなり人生に絶望している想に手話を教えてあげて救ってあげた、想は私のためだけに手話を覚えてくれた、私は想にとって唯一の話し相手で特別な存在、「『凍りついた心には太陽を』 そして『僕が君にとってそのポジションを』 そんなだいぶ傲慢な思い込みを拗らせてたんだよ ごめんね 笑ってやって」、そんな本作の主題歌『Subtitle』にピッタリ合う心情を奈々は持っていたのだろう。実際奈々の視点に立つと自分が一生聴くことができない好きな人の声を知ってる元カノの紬が、自分が教えてあげて、自分のために覚えてくれた手話を想レクチャーでドンドン上手くなっていって関係が深まっていくとか嫉妬で頭おかしくなりそうだ。

 

 

  • 奈々の夢は想の夢の中で…

奈々は中途聴覚者の想と関わることで「電話で集合場所を確認し、ハンドバックを片手に好きな人(想)と手を繋ぎながら楽しく会話しながらデートすること」に憧れを持ち、夢に見てきた。しかし奈々は大人ある世界を体験したことがないので、その夢に音はない。想の声も分からない。でも想への恋愛感情にケリを付ける際に彼は自分への恋愛感情はないも友人として「奈々と自分がお互い耳が聞こえる状態で出会って、互いに両手に荷物を持ちながら楽しく喋りながら歩くこと」を夢に見ていたことを知る。しかも想は中途聴覚者故に音のある世界を知っていることから、彼女が一生聞くことが出来ない彼の声込みの音のある世界でその夢を見ていてくれていた。つまり奈々の夢は想の夢の中で完成していたのだ。彼女にとっては切なくもロマンチックな落とし所だったのではないか、と感じる。

 

※奈々の「プレゼントを使いまわされた気持ち」と表現した想いは「おすそ分けしたって気持ち」と変化していたのが、想のコミュニティを広げたことをポジティブに受け止めてるようで良かった

 

 

  • 最後に…

図書館で2人、夢の話を手話でしながら笑い合い子供に「しっー」と叱られる様子は、かつて同じ場所で「自分たちは手話で会話をしているから注意されないね」とやり取りしていた頃との対比になっているのも好き。

 

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