ネタバレ感想
新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』の不満。
本作を観終わった後「この世界では扉を閉めないとミミズが落ちてきて地震が起きる、みたいになってるけど、それじゃあ鈴芽が被災した東日本大震災もミミズによって起きたってこと?」「だとしたら東日本大震災って閉じ師たちによって止めれなかったの?」「というか、この世界って閉じ師が扉を閉め続けて、要石さえ刺してれば今後関東大震災の可能性はないってこと?」なんてことを思った。とはいっても、そんな疑問を新海誠監督に直接聞ける訳ではないし、もしかしたらこの世界はミミズの地震とプレートの地震の2種類があって、東日本大震災は後者、今後関東大震災も後者で起きる可能性は否定できない、みたいな感じなのかな、と勝手に自己解決しようと思った。
しかしパンフレットを読むと新海誠監督は「現実世界のプレート運動による地震はなく、ミミズによって起きる地震しかない」と明言。つまりあの世界の東日本大震災もミミズによって起きたということだが、劇中ではあの日どうして震災を止めれなかったのか、については一切触れられない。「鈴芽はミミズの話を聞いて、あの日何があったのかは全く気にならないのか?」「当時10歳程度だと思われる閉じ師の草太はあの日についてどう認識しているのか?」など新たに気になることも出てくる。
ただそれよりも東日本大震災を「鈴芽が要石を刺して止めた関東大震災同様に場合によっては食い止めれたもの」として描くのは如何なものか、という気がしなくもない。またいつ起きるか分からないからこその恐怖がある地震が事前に可視化されているというのもちょっと引っかかるところだ。
と、観ている最中も薄っすら思いながら鑑賞していた自分だったが、クライマックスの「私は鈴芽の明日」というメッセージがメチャクチャ刺さったので基本的に細かいところにグチグチ言いながらも絶賛ムード。ただ人によってはここに書いたことなどのノイズの方が大きくなってノリきれなかった、という気持ちも分かる。
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