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【興行収入】飢餓感煽る「隠す宣伝戦略」で大ヒット、「レジェンド漫画」の強さを見せつけた『THE FIRST SLAM DUNK』

【映画パンフレット】 THE FIRST SLAM DUNK 監督:井上雄彦 声の出演:仲村宗悟、笠間淳、神尾晋一郎、木村昴、三宅健太 スラムダンク

「声優交代」発表で大炎上して以降、「叩いていい作品」認定されていた『THE FIRST SLAM DUNK』が公開され、オープニング週末で12.96億円を記録する大ヒットスタートを切った。

 

 

  • 飢餓感煽る「隠す宣伝戦略」

本作は公開初日まで「あらすじ」すら公表しない徹底した秘密主義の宣伝が行われていた。「人間は未完成な情報や一部が隠された情報に注意が向かう」といい、実際今年公開されたMCU『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』も「サプライズがある」ということを匂わせ、観客の興味を煽っていた。これは近年のMCU作品全般や『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ウルトラマン』など庵野秀明監督が関係する『シン・〜』シリーズにも同様のことが指摘できるだろう。『THE FIRST SLAM DUNK』の場合、対戦相手などを伏せることは「これまでアニメ化されていなかった山王戦が見れるのではないか」「編集部と作者が喧嘩別れたしたという噂が浮上するほど中途半端な形とも取れる終わり方をした物語の続き、つまりは第二部が描かれるのではないか」といった期待を煽った。そして「隠す宣伝戦略」を施された場合、熱心なファンほど何かサプライズがあると疑い、それがネタバレされることを避けたい一心で初日に劇場に向かう。それ故に爆発的なオープニング興行を期待出来る訳だ。ただこの「隠す宣伝戦略」が有効に作用するのは、そのコンテンツに対して最初から多くの人が熱い視線が向けている場合に限る。そもそもの注目度の低い作品が同様の戦略を採れば、作品そのものが認知されないリスクも孕む。

 

 

  • 26年前に完結、不安も…

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そういう意味では『スラムダンク』は発行部数黄金期のジャンプで看板漫画だったレジェンド作品といえど、完結は26年も前で同時期連載の『ドラゴンボール』のように商業展開を継続していたわけではない。そのため連載当時の熱量を持ったファンはどの程度残っているのか、新たな世代のファン層を獲得できているのか、など「隠す宣伝戦略」をするだけのブランド価値が今の『スラムダンク』にもあるのか、という疑問があった。正直、リアルタイム世代ではない自分からしたら、日本映画界初となる1ヶ月前から予約受付を開始するなど、絞りに絞った宣伝含める配給側の強気な姿勢に「一体、その自信はどこから湧いてくるのか…」と恐怖すら感じた。しかしそんな素人の予想を他所に『THE FIRST SLAM DUNK』は公開1週間前には予約は結構埋まり、公開前日には満席の劇場も確認されるほどの大ヒットスタート。しかも劇場に集まったのは熱心な『スラムダンク』ファンだけでなく、老若男女問わない幅広い層だったというから驚きだ。

 

 

  • 最後に…

『スラムダンク』はこの手の人気漫画では珍しく電子版が出ていない。そのため「ちょっと気になるから…」と気楽に「試し読み」をすることすらハードルが高い。それにも関わらず若い層にも浸透しているというのはやはり親の影響か、それとも学校に置いてある率が高いのか、その理由は定かではないが、2018年の新装版発売時の週間ランキング歴代記録更新に続いてレジェンド漫画故の圧倒的な強さを見せつけられた気分だ。

 

 

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