ネタバレ注意
MCUフェーズ5の1作目『アントマン＆ワスプ:クアントマニア』を観た。
- 「MCU疲れ」囁かれる中でのフェーズ5開幕
MCUは『アベンジャーズ:エンドゲーム』でサノスという巨大な敵を倒し、アイアンマンとキャプテンアメリカがシリーズから引退し、その次の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でピーターがトニーらの意思を引き継ぐことで一区切りついた感があった。しかしシリーズはその後も続き、一息つくどころかフェーズ3までと異なりフェーズ4からは映画だけでなくドラマシリーズも同時展開。ほぼ1年中MCUの新作が供給される状況となったが、フェーズ3までみたいにサノス的な明確な倒すべき敵みたいのが分からないまま次々と新作がリリースされるので、何となく視聴モチベーションの維持が難しい。そんな気持ちの人が少なくなかったのかSNSでは「MCU疲れ」みたいなワードも頻繁に見るようになった。そんな惰性で見てることを隠さないような人が増えてきた中で、ついに「物語が前に進む」というフェーズ5が開幕した。
- 量子世界に突入も…
フェーズ5の1作目に選ばれたのは『アントマン』シリーズの3作目。本シリーズは主人公がアリンコサイズまで小さくなって、おもちゃの機関車トーマスに轢かれそうになったりする愉快な作品だったが、最新作の舞台は量子世界。そのため公開前から「量子世界だと比較対象がないから本作の魅力が半減では…」とネガティブな声も少なくなかった。実際、映画を鑑賞してみても量子世界のビジュアルは確かに楽しくはあるが、『スター・ウォーズ』シリーズなどを連想させる乗り物やクリーチャーとワチャワチャするスペースオペラ感はちょっとこれまでの『アントマン』っぽくはない。ただそれよりも個人的にはスペースオペラとしてのワチャワチャ感が結構退屈な上に、「今どういう状況？」みたいな説明に関しては登場人物から「後で話す」とキレ気味に言われたりで、虚無ってる時間が長い方がキツかった。また今後の共通の敵になっていくというカーンも割とアッサリと倒されてしまって「これが本当に今後の強い敵なの？」と肩透かし。エンドクレジット後の大量のカーンも「お、おう」という感じだった。ここら辺は原作からそういうものなのか、それとも映画の問題の部分なのかなど、アメコミファンの見解を知りたいところだ。
- どのマルチバースのスコットも…
何だか文句ばかりになってしまったが、悪いところばかりの映画ではない。例えばMCUはフェーズ4からマルチバーチ展開が始まり、他の宇宙には色々な可能性の自分がいるという設定だが、今回スコットが分裂して他の自分と出会うシーンでは当初は「自分が本物だ！」と喧嘩になりながらも最終的には「娘を救うために」という目的のためにアントマンになってない世界線のスコット含めて見解が一致して協力体制に入る、みたいなのは「どういう人生を歩んでいても娘への気持ちは変わらない」的なスコットという人間が分かる良いシーンだと思ったし、モードックの死に際の「死ぬ時は私もアベンジャーズだよな？」からのスコットの困り顔みたいなやり取りは初期MCUのギャグのノリみたいで楽しかった。また娘役のキャシーも魅惑的だった。ただ彼女の困ってる人を助けたいみたいな想いを量子世界で父親と共に成し遂げる的な展開にイマイチカタルシスを感じられなかったのが残念。
※キャシー役の人は「どっかで観たことのある可愛さだな」と思ったら『名探偵ピカチュウ』のヒロインを演じてた役者さんだった
※キャシーが「指パッチンで家を失ったホームレスを警察が追い出そうとしていた」みたいな話をしてた時は「コロナと同じで日常に戻ったようで色々なところで余波は残ってるんだよな…」と思う反面、その後のシーンでピザの値段をチョロまかしてるのを事実上容認してるようで「うん…」みたいな気持ちにもなった
※チョロいけど「ゴジラ」というワードが出てちょっと嬉しかった
- 最後に…
色々書いたけど簡単にまとめると「まー、こんなもんかな、悪くなかったと思うよ、中盤以降ダレてたし、ブリッジ感は凄いけど」みたいな感じ。ぶっちゃけ冒頭とラストのスコットの1人語りが一番楽しかった。最後に予告編を観て勝手に「スコットが娘との時間を取り戻すために時間を巻き戻すか迫られる話なのかな」と思ってたので本編を観て「全然違うじゃん」と思った。キャシーの「私キャンプとか行ったことない」とか前フリだと誤認した。
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