『名探偵コナン 黒鉄の魚影』のある展開に対して一部の過激なファンがブチギレて酷い状況だ、という情報をSNSで目にした。
以下ネタバレ
「名探偵コナン」を応援してくださっている皆様へ。 pic.twitter.com/VNtHcYLYgO
— 劇場版名探偵コナン【公式】 (@conan_movie) 2023年4月7日
自身がこの件を知るキッカケとなったのは『劇場版名探偵コナン』の公式Twitterによる「完全披露試写会以降のリプライに色々な意見があり、リプ欄の閉鎖も検討したが、現状は閉鎖せずに続けるので、配慮ある投稿をお願いします」という趣旨の投稿。初めは「毎年恒例のタチの悪いネタバレ野郎の話かな?」と思ったが、その後SNSを眺めているとどうやら例年とはちょっとレベルが違うらしい。試しに話題になっている投稿のリプ欄を確認していると、外国人らしき複数のアカウントがゲボを吐いている顔文字やら青山剛昌先生への誹謗中傷、更には「青山剛昌、コナン公式 公式カップルを尊重しなさい 新蘭のキャラ設定を尊重しなさい 毛利蘭と工藤新一の人格を尊重しなさい!」との赤背景に白文字の画像が大量に送り付けられている。そして自分はそこで「最新作でコナンと灰原がキスをしているらしい」とのネタバレを見てしまった。
「不覚…」とも思ったが、原作の展開を読んでいる限りコナンと灰原が恋愛の意味でキスをするとは到底思えなかった。そのため仮にキスシーンが事実でも、それはアクシデントなどの類でそんな怒るような内容ではないのではないか、そんな気持ちを胸に劇場に向かった。そして結果的に大方予想通りではあったが、想像以上に踏み込んだ展開でもあった。
まずキスシーンに関しては「灰原がコナンに人工呼吸をする形での口づけ」で完全に肩透かし。「やれやれ、この程度をキスだと騒いでいたのか」と村上春樹の主人公のような心境で眺めていた自分だったが、その後博士が開発した一つの呼吸装置みたいのを海中でヤケに生々しく交互に使用しながら海面へと向かっていく。「いや〜、含みが凄いな」と思っていると、灰原はこれまでのコナンの自信に満ち溢れる顔を思い返しながら「どうしてあなたはいつもそんな顔ができるの…」「分かっている?私たちキスしたのよ」とメチャクチャロマンチックな絵柄の演出で脳内ナレーション。かねてより「殺人ラブコメ漫画」として灰原がコナンに気があることは原作でも匂わされていたが、こんなにハッキリと恋愛モードを見せてきたことにビックリ。これまでの灰原哀の人生と本人に勝ち目がないと自覚しているタイプの負けヒロイン要素満載の展開にちょっと泣きそうになった。
「とんでもない映画が来たな」と作品を見続けていると、海中が上がってきた灰原は目を覚まさない。「ヤバい」と思ったコナンは灰原に人工呼吸をしようとするが、意識を失っているはずの灰原は何故か手を使ってコナンを拒否。そして蘭姉ちゃんが灰原に人工呼吸をしようとすると自ら彼女の唇に近づきキス。場内ではおそらく「分かっている人たち」による楽しんでる意味での「失笑」があちらこちらで漏れてた。灰原曰く「工藤新一の口づけを返した」という認識らしい。そこら辺の価値観はよく分からないが、これまで描かれてきた本編の内容が全部どうでも良くなるレベルで個人的には興奮した。この手のちょっと一線を超えてくるタイプの作品は好き。
そんなこんなで展開的には完全に「新一と蘭が公式カップル」という内容だったので、SNSでの過激派・新蘭ファンによる攻撃的な投稿は全くの見当違い。ちなみに水中での人工呼吸による事実上のキスシーンは劇場版2作目の『14番目の標的(ターゲット)』でコナンと蘭もやっており、あちらも気を失ったコナンに対して蘭が人工呼吸をするという今回のシチュエーションと似ているが、人工呼吸中に目を覚ました『14番目の標的(ターゲット)』に対して、今回は事後に目を覚ましているためコナンは口づけしたことに気づいていない、という対比にもなっている。
何というか灰原の「負けヒロイン」っぷりが半端ないことになってるけど、幸せになって欲しい… 新一と蘭に対して「大人」感出してるけど、年齢あまり変わらないしね…
- 関連記事