最近海外で「日本のアニメ映画が大ヒットしている!」的な話題をよく見る。
- 『すずめ』『スラダン』、中国・韓国で大ヒット
韓国でも「すずめの戸締まり」大ヒット 歴代邦画1位に スラムダンク超す - 産経ニュース
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2023年4月17日
→ 韓国での今年の映画の観客動員数は、1、2位ともに日本のアニメが独占。他の邦画も堅調で、韓国では空前の日本映画ブーム
2位は「THE FIRST SLAM DUNK」 https://t.co/bMYN6Fe20w
韓国では4月中旬の段階で今年公開の映画の観客動員数の1位が新海誠監督『すずめの戸締まり』、2位が『THE FIRST SLAM DUNK』と日本のアニメ映画がトップ2を独占しているのだという。
映画「すずめの戸締まり」、中国で日本超え 興収146億円、記録更新 | 共同通信
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2023年4月17日
→ 今月20日には中国で漫画「スラムダンク」の映画「THE FIRST SLAM DUNK」が公開予定。事前のチケット販売額は既に5千万元を上回っており、日本アニメの存在感はますます大きくなりそうだ https://t.co/lbxAaMn2kh
また中国では『すずめの戸締まり』の興行収入が146億円突破と日本での公開終了間際の累計興行収入144億円を超える大ヒットを記録した。更に今月20日に公開を控える『THE FIRST SLAM DUNK』も事前のチケット販売額的に大ヒット確実だという。
全米映画ランキング(2023年4月14日~2023年4月16日) - 映画.com
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2023年4月17日
→ 7位は新海誠監督作「すずめの戸締まり」。日本語版と英語版の両方が上映され、IMAXでの上映も行われています。週末3日間で、興収500万ドルを記録
アメリカではオープニング500万ドル#すずめの戸締まり https://t.co/aHqZNPQr78
アメリカでは韓国・中国程のヒットには至っていないみたいだが、それでもオープニング3日間で500万ドルを稼ぎ、週末ランキング初登場7位とトップ10に入った。
- 新海誠監督「別のフェーズに入ったと実感」
国内で興収100億を超えた作品で、海外一国がそれをさらに上回るというのは史上初です。また『すずめ』は、全ての日本映画の中で海外興収一位となりました。
— 新海誠 (@shinkaimakoto) 2023年4月17日
個人的には、日本のアニメーションの世界興行が別のフェーズに入ったと実感しています。これまで他の様々な作品が積み上げてきたことの成果でも https://t.co/eAhymLonIC
ありますから、『すずめ』の記録も遠からず上書きされるだろうとも思います。
— 新海誠 (@shinkaimakoto) 2023年4月17日
ともあれ、異国の作品を劇場で観てくれた海外の観客の皆さまに感謝します。日本での興行も続きますが(近いうちにイベントの発表もします!)、僕は明日からはインドでのプレミアに行ってきます。楽しんでもらますように!
新海誠監督はTwitterで国内の興行収入を中国が超えた件について「日本のアニメーションの世界興行が別のフェーズに入ったと実感」と投稿している。実際、昔からスタジオジブリの宮崎駿監督らの功績もあってか何となく「日本のアニメは世界から見ても凄い!」みたいなイメージはあるものの、映画の興行面での具体的成功例は「『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』がボックスオフィス初登場1位を記録!」とか「『STAND BY ME ドラえもん』が中国で100億円超えの大ヒット!」みたいな一部に限られ、ヒットの再現性を感じられず「世界興行を視野に入れたビジネスモデルを構築していく」的な話には現実味をあまり感じれなかった。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が先週末、公開初週の北米週末興行収入で外国語映画として過去最高となる1950万ドル(約21億円)を記録し、ランキングでも初登場2位を獲得
日本のアニメーション映画『劇場版 呪術廻戦 0』が興行収入1,769万8,677ドル(約20億円)と予想を大幅に上回る大ヒットで初登場2位
北米で公開された「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」が、週末の興行ランキングで見事1位を獲得した。3日間の興行成績は2,000万ドル
「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」北米で首位デビュー。批評家の声は?(猿渡由紀) - 個人 - Yahoo!ニュース
現地時間日曜日午前中現在、3日間の売り上げは947万ドルと推定されており、公開3週目を迎えた「ブラック・アダム」の1,850万ドルに次いで2位デビュー
「ONE PIECE FILM RED」がアメリカで公開。観客評価は「A」、ファンは若い男性(猿渡由紀) - 個人 - Yahoo!ニュース
ただ近年、というかコロナ禍以降は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』『劇場版 呪術廻戦0』『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』『ONE PIECE FILM RED』がアメリカでそれぞれボックスオフィスのトップに食い込むヒットを記録。そこに『すずめの戸締まり』と『THE FIRST SLAM DUNK』のアジアでのヒットも加わり、この流れが続くのであれば、10年後、20年後は本当に日本のアニメが世界興行を視野に作品を制作できる時が来るのではないか、と期待が高まる。特にジャンプ作品が強いのが頼もしい。
- 日本のアニメ映画、強みは「手描き」か
米の辛口アニメ評論家「米国のティーンエージャーや大学生が『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』などの日本アニメを熱心に見ているのは手描きの魅力に惹かれるから/CGが主流の米でも、日本の手描きアニメ、または、手描きとCGを融合させたスタイルから学ぶところは大きい」 https://t.co/thjGnDeUbp
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2023年4月18日
日本のアニメがアメリカでウケていることについてアメリカのアニメーション歴史家兼評論家のチャールズ・ソロモンさんは「米国のティーンエージャーや大学生が『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』などの日本アニメを熱心に見ているのは手描きの魅力に惹かれるから」「CGが主流の米でも、日本の手描きアニメ、または、手描きとCGを融合させたスタイルから学ぶところは大きい」との分析をしているそうだ。アメリカでも手描きとCGの融合といえば『スパイダーマン:スパイダーバース』みたいなヒット作品もあるが、実際ディズニーもピクサーもイルミネーションもドリームワークスのアニメも「ザ・CG」みたいなCGのアニメ映画(「シェーディング」というらしい)ばかりの印象がある。
多くのライト層が他国の商品を手に取る時、それは自国で需要があるのに満足いく商品が手に入りにくい時なのではないか、と思う。その意味では日本の手描きまたは手描きとCGを融合させたスタイルの作品は世界からの「手描きアニメが観たい」という需要に合致しており、尚且つ世界視点でもスクリーンで見るに値するレベルのクオリティに達していたからではないか、と感じる。実際、新海誠監督の映像美も『THE FIRST SLAM DUNK』のスポーツ漫画の描写をアニメに置き換える表現は他では中々見れない唯一無二の表現だと思う。
また『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』は「和風テイスト」なのも良いのかもしれない。ナショナリズムは好きではないが、他国のモノを触れる時はやはり「その国っぽさ」みたいのを存分に味わいたい、と思うのが人間の心理だと感じる。そういう意味では海外で『ドラクエ』がイマイチヒットしないのは「日本人からするとメチャクチャ日本っぽいコンテンツ」な一方で、海外の人が求める「日本っぽさ」とは「乖離」しているからなのかもしれない。
「東映トップ3独占」「半年ぶりの実写映画1位」よりも重要な地殻変動|Real Sound
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2023年2月2日
→ 先週末まで動員ランキングのトップは半年間ずっと国内アニメ作品だった/それをもって日本の映画マーケットのガラパゴス化を揶揄するのはひと時代前の認識
ワンピもスラダンも世界でヒット https://t.co/7zNBFfHzWd
また昨年は週末動員ランキングの首位の大半が日本のアニメ映画がジャックしたことで「ガラパゴス(日本独自の進化によって海外で受け入れられない)」との揶揄もあったが、映画・音楽ジャーナリストの宇野維正さんも指摘しているように、それは最早ひと時代前の認識で、その揶揄を続けるのは「自分は今の世界での日本のアニメ映画の立ち位置を分かっていない」と無知を晒しているのに等しいのかもしれない。
- 最後に…
『すずめの戸締まり』中国大ヒットの裏側、「新海監督の人柄が多くの人の心を掴んだ」
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2023年4月18日
→市場のトレンドは構造的な要素によって決まっていくものなので、今回の作品が大成功を収めたとしても、これで一気に日本アニメブームがくるということは期待しすぎないほうがいいかも https://t.co/Guxo1Fsdnf
日本のアニメ映画が海外で大躍進していはのはめでたい話だが、中国で『すずめの戸締まり』の配給をしている会社の代表曰く「これで一気に日本アニメブームがくるということは期待しすぎないほうがいいかも」とのこと。とは言っても今年は宮崎駿監督の最新作もあるし、『鬼滅の刃』は暫くシリーズ展開を続けるし、新海誠監督もまた3年もすれば新作を作るので、何だかんだ期待しちゃっている自分がいる。
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