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【原作との違いは?】ルーヴル美術館の「洋」と日本家屋の「和」の映像美、高橋一生主演映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』ネタバレ感想

映画ノベライズ 岸辺露伴 ルーヴルへ行く (集英社オレンジ文庫)

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を観た。

 

  • 年末恒例の人気ドラマ、ついに映画化

BD 岸辺露伴は動かない [Blu-ray]

本作は荒木飛呂彦原作の『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのスピンオフ漫画『岸辺露伴は動かない』シリーズをNHKが実写化したシリーズの劇場版。テレビドラマ版は2020年〜2021年の年末に短期集中放送されて「漫画の実写版にありがちなコスプレ的衣装ではなく特徴を掴んだ衣装デザイン」「1話完結形式の漫画とテレビドラマの相性の良さ」「本編ではなくスピンオフ短編を選ぶことでリアリティを担保」「原作ではゲストキャラの泉京子レギュラー化によるバディドラマとしての面白さ」などが評価されて好評だった。

 

 

  • ルーヴル美術館でロケを敢行

そんな人気を博したテレビドラマの劇場版、製作側も「映画にするからにはテレビサイズの作品ではなく映画用のスケールで作らなくては!」と気合を入れたのか、2009年にルーヴル美術館のBD(バンド・デシネ)プロジェクトに参加する形で発表されたフルカラー作品を原作にパリ及びルーヴル美術館でのロケを敢行。日本映画の海外ロケは観光映画になりがちだが、本作は渡辺一貴監督の「映画『暗殺の森』のような今にも落ちてきそうな厚くて重い雲に覆われ、凍てつく雨が降り続く、美しくも冷たいパリを撮りたい」という拘りから他の映画ではあまり見ないダークなパリを撮影。またルーヴル美術館内での撮影も、現地撮影だけで十分映画館映えするところを実相寺カット風に捉えることで『ジョジョの奇妙な冒険』らしい奇妙な世界観を再現。

更に過去編パートの日本家屋は「洋」のルーヴル美術館に対して思い切り「和」として撮影することで、子供時代の回想故の幻想的演出も相まって、こちらも何処か「外国から見た日本風の『ジョジョの奇妙な冒険』っぽい奇妙な雰囲気」を演出。映像に酔える作品だった。

 

 

  • 岸辺露伴の初恋、人物像を掘り下げ

映画用にスケールアップしたのは映像面だけでなく物語面でも福山雅治主演の『ガリレオ』シリーズよろしく、テレビドラマ版では狂言回しの側面が強い主人公・岸辺露伴個人を掘り下げ物語に深みを出した。またこれは製作側にとっては原作の心情説明をカットしただけで意図せぬ部分なのかもしれないが、岸辺露伴が奈々瀬に抱きつかれるシーンで彼女の顔が捲れかけそのまま閉じるシーンはこの経験をキッカケに初めて「ヘブンズ・ドアー」の能力に目覚めかけた、とも取れるような演出になっていて、岸辺露伴のウブな初恋要素のエモさが増していたような気がした。あと純粋に木村文乃さんがミステリアスかつ瑞々しさもあって魅惑的で好き。

 

  • 原作の付け足し要素も映画のプラスに

岸辺露伴 ルーヴルへ行く (ジャンプコミックスDIGITAL)

正直原作123ページに対して上映時間118分は「ダレるのではないか」と不安だったが、原作では岸辺露伴に付いて来てくれただけの消防士らに「まー、コイツらは『この世で最も黒い絵』の呪いで死ぬのは仕方ないよね」という「因果応報」感も出る美術館絡みの犯罪バックボーンを付け足して物語に厚みをもたらす改変も見事。また泉京子がルーヴル美術館に同伴したことで「ミーハー感覚でピラミッドの写真を撮ってるのかと思ったら、幼少期に亡くなった父親と同じ場所で写真が撮りたかった」というちょっと良い感じの話や「実は一眼見れば後悔に呪い殺される『この世で最も黒い絵』を見たにも関わらず、全然影響を受けてない強キャラ感」など終始緊張感のあるホラー展開の中の癒しになっていたのではないか、と感じた。

 

 

  • 最後に…

ただ「岸辺」性の奈々瀬と山村仁左右衛門の間に子供はいないぽかったけど、子孫の岸辺露伴はあんなに顔似るもんなの、感はあった。

 

 

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