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キングダム、ピクサー、ラストマイル、ミニオン、ヒロアカ、しんちゃん、デップー、ルックバック、家康/夏休み映画興行収入2024

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夏休み映画でヒットした作品の興行収入を軸とした雑語り。

 

  • キングダム 大将軍の帰還

キングダム 大将軍の帰還 映画ノベライズ (ダッシュエックス文庫)

この夏最大のヒットは累計発行部数1億部超えの原泰久の同名人気漫画を山﨑賢人主演、佐藤信介監督で実写映画化した大ヒットシリーズ第4弾『キングダム 大将軍の帰還』。オープニング4日間の興行収入は22.03億円と昨年同時期公開の宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』の21.49億円を超えるメガヒットで、実写邦画歴代No. 1ヒットスタートを記録。当初、東宝サイドが景気付けの意味も込めて発表したであろう「興行収入100億円」には及ばなそうな見込みだが、既に興行収入は70億円を超えて、80億円も見込める推移。これまでの『キングダム』シリーズは1作目が57.3億円、2作目が51.6億円、3作目が56.0億円と50億円台で推移していたので、4作目で一気に伸びた形。原作の消化率や関係者の発言を総合すると、今後もシリーズは続きそうだが、宣伝では「最終章」と銘打っていることから、これまでの実績も合わせて「最後なら大きなスクリーンで観たい」と多くの観客に思わせることに成功したからこその伸び率なのだろう。『キングダム』シリーズは4作連続興行収入50億円超えを記録して、2000年以降の実写邦画のシリーズとして「初」の快挙も達成。主演の山﨑賢人も一昔前は少女漫画の実写映画への出演が続き、ネットでは揶揄の対象にもなっていたが、今年公開の『ゴールデンカムイ』の好評もあって、最早「全部の漫画実写を山﨑賢人に演じさせろ!」という極論が出る程の誰もが認める「漫画実写の請負人」。佐藤信介監督もこれまでの作品は「手堅い」反面「地味」という印象も否めなかったが、スケール感の大きい作品をヒットに導き、ハリウッドでの『ヒロアカ』の監督を任されるなど、『シン・ゴジラ』『ゴジラ−1.0』でハードルの上がりまくっている次の新作ゴジラの最有力候補監督なのではないか、と個人的には期待している。

 

  • インサイド・ヘッド2

映画パンフレット インサイドヘッド2

この夏2番目のヒット候補の一つ目がディズニー・ピクサー最新作『インサイド・ヘッド2』。最終興行は前作の40.4億円を超えて50億円に迫る見通し。ピクサー作品はコロナ禍初期に劇場公開スルーの配信オンリーが続いたことで、コロナ禍が落ち着き始めて劇場公開を再開しても配信鑑賞に慣れきった観客の間では「映画館に観に行かなくても、どうせすぐに配信される」との風潮が出来上がり、客足が鈍る事態に陥った。そのため昨年公開の『マイ・エレメント』のオープニングはまさかのピクサー史上実質ワーストのスタートとなり、一部では「ピクサーの時代は終わった」との指摘もあったが、その後口コミを伸ばして黒字化に成功。「ピクサーの底力」を見せた前作に続いて、本作では「『アナの雪の女王2』を超えてアニメーション映画史上歴代No. 1ヒット」「『トップガン マーヴェリック』を超えて実写も含めた世界興行収入ランキング歴代トップ10入り」など記録的なヒットを更新。「ピクサーブランドの完全復活」を成し遂げだ。前作の監督兼本作の製作総指揮であり、自身の監督作『ソウルフル・ワールド』が配信スルーとなってしまっていたピート・ドクター監督は『アトロク』のインタビューで「私たちは映画館で観て欲しいと思って作品を作っている」と述べ、『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』でも宮﨑駿監督に「今の時代は配信含めてスマホなどで作品を観られたりするが、それは私たちにとって健康的なことなのだろうか」という趣旨の悩みを吐露するなど、劇場スルーの配信オンリーに対しては相当懐疑的な様子。その意味では今回のメガヒットは「やっぱり映画は映画館で観なくちゃ」と改めて認識させるとても意義深い記録だったのかもしれない。

 

「インサイドヘッド2」公開直前!!映画監督「ピート・ドクター」インタビュー! - アフター6ジャンクション 2 | Podcast on Spotify

出演:宮﨑駿さん、ピート・ドクターさん、ケルシー・マンさん、マーク・ニールセンさん、通訳:大倉美子さん ピクサースタジオのCCOピート・ドクターさんが二馬力にやってきた(前編) - 鈴木敏夫のジブリ汗まみれ | Podcast on Spotify

 

  • ラストマイル

【チラシ付き、映画パンフレット】 ラストマイル 満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ、大倉孝二

この夏2番目のヒット候補の二つ目はTBSテレビの人気ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』 と世界観を共有するシェアード・ユニバース作品『ラストマイル』。オープニング興行は9.7億円を超えて最終興行50億円超えが見込める大ヒットスタートを記録。本作はテレビドラマの劇場版ではなく、テレビドラマの世界観を共有しているオリジナル作品だが、昨年の『ミステリと言う勿れ』(最終48.0億円)、『劇場版TOKYO MER 〜走る緊急救命室〜』(最終45.3億円)に続いてテレビドラマベースの作品は依然強い傾向。とは言っても、「『犬神家の一族』風の骨肉の争いミステリー」「横浜のランドマークタワーを舞台にしたレスキュー」「巨大流通センターを舞台にした無差別爆弾テロ」とそれぞれ「一本の映画としてのパッケージ」がシッカリとあるのも特徴。その中でも今回はオリジナル作品かつ野木亜紀子脚本による社会派エンタメとしての作品評価が高いので、テレビドラマのファンの枠を超えて、これまで『逃げ恥』含めて野木亜紀子脚本作品に触れてこなかった映画ファンにも届くヒットになる可能性も。この手のオリジナルの商業大作で女性プロデューサー(新井順子)、女性監督(塚原あゆ子)、女性脚本家(野木亜紀子)、女性主演(満島ひかり)も「画期的」と評価されており、実写邦画の女性監督史上最大のヒット更新にも期待がかかる。余談だが、同制作チームは10月クールの日曜劇場枠で神木隆之介主演『海に眠るダイヤモンド』を放送予定。

 

 

  • 怪盗グルーのミニオン超変身

【映画パンフレット】怪盗グルーのミニオン超変身 監督 クリス・ルノー、パトリック・デラージ 出演 声の出演:笑福亭鶴瓶、中島美嘉

この夏2番目のヒット候補の三つ目はイルミネーションスタジオ最新作『怪盗グルーのミニオン超変身』。興行収入は既に40億円を超えており、50億円も視野に入る大ヒット。『怪盗グルー』シリーズはスピンオフの『ミニオンズ』シリーズ含めて、この14年間定期的に新作が公開されており、興行収入も12億円→25億円→52.1億円→73.1億円→44.42億円と2010年代で着実に人気を高めていき、2020年代は安定期に入っている。今年はパリオリンピックの開会式にモナリザを盗んだ犯人として登場したことでも注目を集めた。

 

  • 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』オリジナルサウンドトラック

この夏5番目のヒット候補は『週刊少年ジャンプ』での10年間に及ぶ連載にも幕を閉じた堀越耕平による人気漫画のテレビアニメの劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』。連載完結の3日前に公開され、オープニング興行収入8.95億円を記録。最終興行も35億円程度が見込める大ヒットだが、前作『ワールド ヒーローズ ミッション』の最終興行が34.3億円であることを踏まえると、そこまで爆発的な伸びには至っていなかったりもする。原作ファンからの評判も悪くはないが、そこまで両手をあげて大絶賛というムードでもなく、何とも微妙な評価。2014年連載開始の『ヒロアカ』は同年完結の看板漫画『NARUTO』のポジションを継ぐという認識も強かったが、その後『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『チェンソーマン』の方が世間的な浸透度が高いことを踏まえると、この10年間で少年漫画に対する世間の接し方の変化を実感せざるを得ない。ちなみに『NARUTO』も完結直前に最終回に直接繋がる『THE LAST-NARUTO THE MOVIE-』を公開して、「『ONE PIECE』を除けばジャンプ映画はよくて興行収入10億円後半」の時代に興行収入20億円の大台を達成して「大ヒット」扱いだったことにも懐かしさを感じる。今年は『ヒロアカ』の同時代の先輩漫画のアニメ映画『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が100億円超えのヒットを記録したが、60億円超えで「期待外れ」扱いされた『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』も合わせると、その良し悪しとは別にやはり「原作漫画をそのまま高クオリティにアニメ化」が一番望まれているのかもしれない。

 

  • 映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記

【映画パンフレット】映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記 監督 佐々木忍 出演 声の出演:小林由美子、ならはしみき

この夏6番目のヒット候補は国民的アニメの劇場版最新作『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』。最終興行は25億円程度見込みと昨年シリーズ最大のヒットとなった3DCGアニメ映画『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』(最終24.7億円)超えへの期待をされている。一方で作品への評価は賛否両論の昨年以上に批判派は怒っている印象。ただ『バービー』同時期公開での「弱者男性」論みたいのにも発展した昨年に比べれば、SNS的には大人しい気もする。それはそれとして、コロナ禍前は「しんちゃんはコナンと共にゴールデンウィーク興行」「ポケモンは夏休み興行」とプログラムされていたが、コロナ禍初期にスケジュールに各映画の公開日に大きな乱れが生じ、そのまま『ポケモン』に関しては2020年を最後に新作は公開されず、テレビアニメでサトシも番組を卒業したことで、シリーズは事実上終了となり、夏休み映画にしんちゃんがスライドしてくる形となった。テレビアニメでは盛大に送り出されたとはいえ、「夏はポケモン!」と23年に渡って続いた人気シリーズの最後が自然消滅に近い形で終焉を迎えたというのは何とも物悲しい。果たして10年後は「夏はしんちゃん!」が定番化しているのだろうか… それとも…

 

 

  • デッドプール&ウルヴァリン

【映画パンフレット】 デッドプール&ウルヴァリン DEADPOOL AND WOLVERINE

この夏7番目のヒット候補は20世紀フォックスのディズニー子会社化でMCU最新作となった『デッドプール&ウルヴァリン』。興行収入は20億円超え確実で、1作目の20.4億円、2作目の18.0億円に続き安定の人気。世間的には「もうマルチバースは懲り懲りだ」という風潮もあり、最近のMCUの人気低迷の理由の一つと指摘されているが、メガヒットしているのが本作に加えて『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』とマルチバース要素強めの作品に対して、コケてるのが『アントマン&ワスプ:クアントマニア』『マーベルズ』とマルチバース要素薄めの作品なので、「マルチバースが客足が鈍っている」というより「マルチバース押しによってそうでもない作品は地味に見える」みたいな感じなのかもしれない。そこら辺の実態はもう少し長期的な目線で見ないと判断は出来ないが、2012年の『アベンジャーズ』から2019年の『エンドゲーム』までのメガヒット連発が異様だっただけで、複数バースが絡み合うようになってからの今後のアメコミ映画は時にはリセットしたり、時には過去の人気キャラを呼び戻したりしながら、ヒットやコケを繰り返して、歴史を積み上げていく感じになるのかな、なんてことを思ったりもした。

 

  • ルックバック

映画 ルックバック B2ポスター

この夏8番目のヒット候補は藤本タツキの読切漫画をアニメ化した『ルックバック』。最終興行は18〜19億円程度見込み。本作は各種割引サービスが一切適用されない「一律1700円」を採用しており、通常「2時間程度の映画の一般料金が2000円」であることを踏まえると「上映時間58分で1700円」はかなり割高に感じる値段設定。入場者特典のネーム本が貰えた人は「多少高くても…」とある程度妥協点と見つけられるだろうが、そうでない人たちは「上映時間が短いからその分安い」のではなく「プレミアム料金を払わされている」と割り切った方が精神衛生面的には良いだろう。勿論「ちょっと割高だったことなんて、全然気にならないくらい作品が良かった!」と心の底から思えることが一番ベストな鑑賞体験ではある。作品の評価は一部で「イメージと違う」「過剰演出」との声もあれど、基本的には絶賛一色の印象。作品の内容自体への批判は読切掲載の際に基本的に出尽くしており、批判的な人は態々鑑賞して再批判しない面もあったのかもしれない。公開直後に観に行ったのもあって、観客の大半に「最初から運命が分かっているモノを見守っている不思議な感覚」が共有されている感じがあったが、そうした部分もヒットの要因な気もする。

 

  • もしも徳川家康が総理大臣になったら

もしも徳川家康が総理大臣になったら

この夏9番目のヒット候補は『もしも徳川家康が総理大臣になったら』で興行収入は10億円超えを記録。ただ武内英樹監督の過去のヒット作品『テルマエ・ロマエ』シリーズ(1作目が59.8億円、2作目が44.2億円)、『翔んで埼玉』シリーズ(1作目が37.6億円、2作目が23.3億円)と比べると若干物足りない印象も受ける。今回は漫画原作ではなくビジネス小説が原作なのも関係しているのかもしれない。近年の武内監督は日本のコメディ映画の監督として三谷幸喜、福田雄一に並ぶ存在だと思うが、この2人に対して世間的な認知度が低めなのは、監督自身のキャラクター性の問題なのだろうか。「やはりコメディ監督はチャップリンみたいに監督自身も面白くて、宣伝の際に『映画の顔』のような存在になれた方が強いのではないか…」などと思っていると、『ホイチョイ的映画生活』で武内監督は「本作は今の日本人に向けるメッセージでコメディではない、東宝にも宣伝でコメディと絶対書かないでくださいと言った」という趣旨の発言をしていて「えっ、マジで?」という感じ。ただ実際にSNSでは「バカにしていたけど、意外と政治的メッセージが良かった」、もしくは「コメディだと思って観に行ったら後半は説教臭くて残念」みたいな賛否の割れ方をしていたりもした。

 

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  • 最後に…

そんなこんなで10億円超えの作品の雑語りをしたが、10億円以下の雑語りをするのかどうかの予定は未定。実写洋画のトップが20億円程度とは若干の寂しさを感じたりもする。秋興行は山田尚子監督『きみの色』、三谷幸喜監督『スオミの話をしよう』、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』、『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者』辺りが注目作品か。

 

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