NHK大河ドラマ『べらぼう』で「吉原の悲惨さ」の描写が話題になっているが、それよりも「吉原の文化面」にスポットを当てたことの方が評価ポイントなのではないか、との指摘がある。
- 近年SNSで炎上しがちな「吉原」
近年SNSでは『鬼滅の刃 遊郭編』や「大吉原展」など「吉原」絡みの炎上が相次ぎ、本作に対しても放送前から「遊郭を華やかに描いて美化しているのではないか」と懸念する声が上がっていた。一方で実際の放送を見ると、吉原の格差社会や女郎の全裸死体など「吉原の悲惨さ」にもちゃんとスポットを当てた作品に仕上がっており、SNSでも称賛を浴びた。
- 「吉原の悲惨さ」は時代劇では王道?
ただこうした称賛の声に「本作の評価すべきところは『吉原の悲惨さ』を描いたことではなく、『吉原の文化面』にスポットを当てたことではないか」との指摘がある。確かに『鬼滅の刃 遊郭編』も含めて時代劇の吉原は「華やかさの裏に悲惨な状況がある」と描かれることが殆どのイメージで、「美化」の印象よりもネガティブな印象の方が強い。また「ちゃんと格差社会を描いている」との指摘も、そもそも時代劇は『必殺仕事人』や『暴れん坊将軍』など「勧善懲悪」と揶揄されることも多いジャンル。「権力者に弱い立場の人々が苦しめられている」という描写は時代劇の王道中の王道、「テンプレ」とも言える。
- 真の評価ポイントは「文化面」にスポット?
鈴木 江戸の人間にとって、吉原ってのは自慢の土地なんです。もちろん、そこには女性たちの悲惨な境遇があって、その点はきちんと直視しなくちゃいけない。ただ、事実として、吉原というのは江戸の繁栄を象徴するスポットだったんですね。日常生活ではありえないような豪華な設しつらえの空間があって、一流の食べ物と、一流の酒と、一流の芸がある。そして一流の女性がいる。
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こうした視点においては、本作の真の評価ポイントが「吉原の女郎の識字率の高さなど教養面にスポットを当てたことだ」との指摘は「確かに…」と思わされる。これまで吉原の光は「表面上の華やかさ」の印象が強かったので、「文化面」にスポットを当てているのは珍しいのかもしれないし、その方がより影も濃く見えるのかもしれない。本作の時代考証・指導を担当する蔦重研究の第一人者・鈴木俊幸さんは吉原を「女性たちの悲惨な境遇も直視しなくちゃいけない」と釘を刺した上で「江戸の繁栄を象徴するスポット」と評していた。
- 最後に…
製作側は吉原を「美化することなく、蔑むこともなく、普通の世界として描く」という趣旨の発言もしているので、今後どのような吉原を舞台にしたドラマが待っているのか非常に楽しみである。
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