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「世界的名画」と「国民的漫画」が並ぶオープニングと「下手なのび太の絵」、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』ネタバレ感想

[TOHO]東宝 45周年記念 ドラえもん のび太の絵世界物語 アニメ 映画チラシ 水田わさび、鈴鹿央士

『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』を観た。

 

  • 名画の中に入るドラえもんたち

本作でとにかくワクワクさせられるのはひみつ動画「はいりこみライト」を使って、 ゴッホの「星月夜」やエドヴァルド・ムンクの「叫び」、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」に葛飾北斎の「冨嶽三十六景」などの世界中の名画にドラえもんたちが入り込むオープニング。名画の中に入ったドラえもんたちのタッチが、その絵のタッチになるのは、アニメーションとして見ていて楽しい。また 「牛乳を注ぐ女」の中で牛乳を注ぐポジションをジャイアンが奪って、ジャイアンお手製のシチューを注ぐ様子を、本来牛乳を注いでいた女含めてドラえもんたちが恐怖しているなど、その名画に合わせたネタも面白い。メインターゲットである子供視点で見れば、ちょっと知識のある子供なら「知ってるヤツ!」と名画とドラえもんのコラボを楽しめるだろうし、大半のまだ名画の勉強をしてない子供たちにとっては、もう少し大きくなって美術の授業を受けた際に「小さい頃にドラえもんの映画で見たヤツだ!」となるのも、子供向け映画として子供たちの興味を刺激する未来に開けた魅力的なオープニングに思えた。

 

 

  • 漫画文化、原作漫画へのリスペクト

ドラえもん (1) (てんとう虫コミックス)

更にこのオープニングの締めに登場するのは藤子・F・不二雄先生の原作漫画タッチのドラえもんたち。そのタッチのドラえもんたちに「はいりこみライト」が当てられて、アニメタッチのドラえもんが出てくる演出は「漫画原作のアニメ・ドラえもん」としてメタ的に気が利いている。その上、「漫画を読んだらバカになる」と漫画文化を蔑む風潮のあった時代があったことを踏まえると、映画だけでも45年続き、幅広い年齢層から愛される『ドラえもん』(1作目公開当時に10歳なら現在55歳、今の10歳から今の55歳までの心を全世代的に掴んだコンテンツなんてそうはない)が一つの文化として、世界的な名画と並んで紹介されるオープニングには「納得感」しかなかったし、製作陣の漫画文化、原作漫画へのリスペクトを感じさせられて、かなりグッときた。

 

 

  • 名画、国民的漫画と並ぶのび太の絵

そして、そんな本作のラストは「のび太が自分の大好きなものを『大好きだ!』という気持ちで描いたドラえもんの絵によって救われて、勝利を収める」という内容。この結末は「上手い下手に関係なく、表現は自分を救う」という普遍的なメッセージと共に、オープニングで紹介された世界的な名画や国民的に愛される漫画と同列に「子供たちが好きに描いた絵」も上手い下手に関係なく並ぶことが示されている。あいみょんの主題歌「スケッチ」で「絵になること」を「思い出」と位置付けていることを踏まえると、近い将来ドラえもんとさよならした後ののび太が今回のようなピンチに1人でもドラえもんと過ごした思い出に救われることを暗示しているように見えるのも、エモい。

 

 

  • 最後に…

そんなこんなで非常に楽しいドラえもん映画だったように思うけど、個人的にはもう少し名画の世界を活かした展開やのび太だけでなくジャイアンやスネ夫、しずかちゃんの描いた絵も活躍する展開も観たかったかな、とも感じた。

 

 

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