関西・大阪万博と絡めた『シン・ウルトラマン』のネタバレ感想。
- 東京五輪と大阪万博に挟まれたウルトラマン
万博連想映画として個人的に指摘しておきたいのが、庵野秀明総監修の樋口真嗣監督作品『シン・ウルトラマン』。元のテレビシリーズの『ウルトラマン』の放送は1966年から67年と1964年開催の東京五輪の後であり、1970年開催の大阪万博の前であったが、実は2022年公開の『シン・ウルトラマン』も2021年開催の東京五輪と2025年開催の大阪万博の間に挟まれた作品。
- 高度経済成長と科学の肯定
1964年の東京オリンピック後で、高度経済成長も続いていてどんどん日本が豊かになっていくという期待感がありました/科学に対して疑問を呈するという展開になったとしても、そういう陰の部分はウルトラマンにおいては反定立だった。そのコントラストも含めて、あの時代にしか作れなかったすばらしい作品だと思います
『シン・ウルトラマン』イヤー開幕!樋口真嗣が語る、庵野秀明とのタッグと「ウルトラマン」と歩んだ道のり|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
樋口真嗣監督は明るい未来への期待感のある高度経済成長期に作られた『ウルトラマン』は科学を肯定する立場含めて「あの時代にしか作れなかったすばらしい作品」だったと評する。
- 「オレンジ」ではなく「青」
そして『シン・ウルトラマン』も青空のカットの多い明るい映画だったように思う。『オトナ帝国』『20世紀少年』『ALWAYS 三丁目の夕日』と昭和ノスタルジーを喚起する作品は「何処か切ない懐かしさ」を呼び起こさせるためか画面が「夕日的なオレンジ」になっているケースが多い印象がある。しかし『シン・ウルトラマン』の画面は「オレンジ」ではなく「青」。これは世代的に自分の想像が及んでいなかった部分だが、そもそも「大阪万博」だって今の視点で見れば「レトロフューチャー」だけど、当時の視点では本当に「これから来る科学的な未来」。もしかしたら他3作品の「オレンジ」よりも『シン・ウルトラマン』の「青」の方が当時の未来に開かれた感覚に近いのではないか、みたいなことも思ったりした。
- 最後に…
その反面であの「青」が何処か「空元気」で虚しく感じたのは、当時とは異なる今の日本の閉塞感故なのだろうか…
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