Netflix映画『新幹線大爆破』キーアート発表!
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) 2025年4月1日
「ストレンジャー・シングス」、実写版「ONE PIECE」シリーズなども手掛けたカイル・ランバートによる、日本映像作品初のアート。
昭和時代の手書き看板を彷彿とさせる味わい深い仕上がり。#新幹線大爆破 #走り続けろ #BulletTrainExplosion#草彅剛 pic.twitter.com/p9Z7iPLYH0
ネタバレ注意
草彅剛主演、樋口真嗣監督のNetflix映画『新幹線大爆破』を観た。
- 樋口真嗣監督の往年特撮リブート系最新作!
本作は1975年に公開された高倉健主演、 佐藤純弥監督の超大作パニック東映映画『新幹線大爆破』を「人生ベストの3本のうちの1本」と明言する樋口真嗣監督がリブートした作品。主演は2006年公開の『日本沈没』リメイクでタッグを組んだ草彅剛で『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』でのチョイ役(とは言っても、エレンの父親役だが…)を除けば18年ぶりの本格タッグとなる。
樋口真嗣監督は『平成ガメラ』3部作の特技監督として注目され、庵野秀明監督が絵コンテを担当した潜水艦映画『ローレライ』で長編監督デビュー。それ以降、特撮技術を駆使したド派手な超大作系の作品を次々と発表し、その中には前述した『日本沈没』を始め、『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』と所謂「往年の特撮映画のリメイク、リブート」系の作品も多く、今回もその系譜の作品といえる。
- 最新VFXで前作では撮影不可能な大迫力の映像
Netflix映画『新幹線大爆破』配信開始!#草彅剛 出演、#樋口真嗣 監督作品
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) 2025年4月23日
東京行はやぶさ60号に仕掛けられた「時速100km以下で爆発する」爆弾。
要求は1000億円の身代金。
刻一刻と危機迫るなか奔走する、人々の決断と闘いを描くノンストップアクション。#新幹線大爆破 #走り続けろ pic.twitter.com/Vvam1B7frK
そんな樋口真嗣監督の作品だけあって、前作のミニチュア撮影では不可能だと思われる映像を最新のVFX技術で次々と見せつけてきてくれるので、映像面では大満足。最初の見せ場である「逆転運転」から緊張感が凄いし、先頭車両の接触シーンも映像的衝撃が凄かった。欲を言えば映画館の大スクリーンと大音響で楽しみたかったし、樋口真嗣監督曰く「Netflix以外はこの企画にお金出してくれなかった」みたいなので、悔やまれる。東映も『レジェンド&バタフライ』や『宝島』に製作費20億円とか25億円とか出せるなら、「『新幹線大爆破』公開50周年記念」とか銘打って、こっちにも出して欲しかった。
中盤の救出作戦も、先頭車両のない「救出号」のビジュアルは可愛かったし、「救出号」の強制ブレーキが発動することで、爆弾が仕掛けられた車両ごと100キロ以下になりそうなピンチをのん演じる運転士が強引にスピードを上げる(急ブレーキ?)ことで、本体の車両と救出号が反動でぶつかり合うシーンとかも、前作の技術では出来なかったことだろうし、シーン的にも見応えがあった。その後の破壊された車両の内部セットもリアリティがあって素晴らしかった。
前作は新幹線の爆破は「登場人物が想像する最悪の事態」として登場する形だったが、今回は本当にドッカンドッカン爆発するのも良かった。特にクライマックスの『劇場版名探偵コナン』張りのド派手な爆発シーンは見応え抜群で、水の入った黄色いタンクでスピードを緩めていく作戦含めて、ちゃんと物理的な手順に則って止めてる感があるのも好みだった。
- 平成的なテンプレキャラとアニメ的犯人像
本日より、Netflix映画「新幹線大爆破」
— 豊嶋花&staff official (@toyoshima_staff) 2025年4月23日
世界独占配信がスタートしました!
できればスマホやタブレットよりもテレビで、そして大きい音でお楽しみいただければと思います❤️🔥
私もたくさん観ます🍿#新幹線大爆破#BulletTrainExplosion#走り続けろ@NetflixJP pic.twitter.com/f8Qj1RaPD2
樋口真嗣監督が叩かれがちな人間ドラマ面は各キャラクターが平成のテレビ局製作映画のテンプレみたいな人ばかり出てくるので、思わず笑ってしまうようなところも結構あったけど、個人的には最終的に各キャラそれなりに好きになったし、観ていて楽しかった。草彅剛演じる車掌は車内がパニック状態にも関わらず冷静に仕事をこなす感じは包容力のありそうな草彅くんのイメージにピッタリの役だったと思うし、後輩のために一瞬一線を越えそうになる切迫感の演技も良かった。テンプレ中のテンプレみたいな田村健太郎演じる総理補佐官も最初から割と「熱いものを持っている感じ」が滲み出てる感じ含めて好きなキャラだった。要潤演じる起業家も合理性を突き詰め過ぎて、自分の命すら良くも悪くもフラットに見過ぎている感じが、逆にちょっと好きになったりもした。
樋口真嗣監督は今回の犯人像を前作が公開された高度経済成長期と違う現代の若者の「今日より明日が良くなる気がしない」という絶望をベースに作ったというが、豊嶋花演じる犯人の女子高生も令和的というよりは平成的な匂いが強いキャラクター。犯人の心の闇を見せる際の夕方の窓から入るレンズフレアの雰囲気とか影の付け方、父親殺しを成し遂げた後の噛み締めるような表情の演技なども含めても、現代的というよりはどこか懐かしさを感じさせる演出。樋口真嗣監督は初長編監督作品『ローレライ』のヒロインがモロに「綾波レイ」を連想させる演出 (『シン・ゴジラ』のカヨコはアスカだし、『シン・ウルトラマン』の浅見はサトミ)で「アニメっぽい」と賛否が割れたというが、今回の女子高生犯人の演出や爆弾解除のキーが犯人の女子高生の命と連動していて、周囲に「爆弾を止めたいなら私を殺してください」と迫っていく厨二感溢れる設定辺りからも、二昔前の深夜アニメやアニメ映画っぽさは感じた。個人的には「うわぁ、なんか物凄く初期の樋口真嗣監督作品っぽい女性キャラだな」「『日本沈没』のラストも『エヴァ』のN2爆薬だし、往年の特撮映画をアニメっぽくリメイクしてくるのは樋口真嗣監督っぽいな…」と懐かしさ補正込みで結構好きだったし、ラストで犯人の心が少し動きかけるのが主人公や担任の先生、友達からのメッセージではなく「不特定多数の匿名の身代金のクラウドファンディングの目標達成」というのも良かったと思う(ただそれなら事前にもう少し犯人が「どうせ集まる訳がない」的な態度を見せていて欲しかったが…)が、「嫌いな人は嫌い、というか令和的価値観でジャッジされるとかなり厳しい評価のされ方もあるんじゃないか…」的なことも鑑賞中に頭をよぎったりもした。
- 最後に…
他にも色々言いたいこともあるけど、キリがないし、自分の中で整理しきれてない部分もあるので、一旦やめておく。最後にラストは実在のマクドナルドのチーズバーガーとアップルパイを出してくれれば良かったのにな(劇中の袋は「M」ではなく「W」で袋の中の商品は見えない…)、とは思った。
- オマケ
本作が前作の続編であることが配信前から普通に書いてるメディアが複数あったけど、Netflix側は特にネタバレ規制とかしてなかったのだろうか…
- 追記
元の『新幹線大爆破』は「高度経済成長の中で取り残されてしまった犯人グループが、高度経済成長の象徴である新幹線に爆弾を仕掛けることで止めることが出来なく皮肉」みたいのがあったけど、本作の新幹線は「現代社会における新幹線の再定義」風に「個人の復讐の象徴」であることが語られるので、そこは「はぁ…」感はあった。
- 追記2
『日本沈没』も『新幹線大爆破』も元の作品は1970年代の高度経済成長が終わるもまだまだイケイケの中で、出てきた格差の広がりなどの社会不安などがベースに反映されてるらしいけど、樋口真嗣監督版は両方元から社会不安が共通認識の時代にリブートしてるので、共に「希望」アプローチになってる。
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