スポンサーリンク

【ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング、かくかくしかじか、岸辺露伴は動かない 懺悔室】映画興行収入2025年5月

f:id:MJWR9620:20250605150303j:image

『見える子ちゃん』の予告編の後に『 か「」く「」し「」ご「」と「』の予告編を観せられて「見えることの意味」を考えたり、考えなかったりした2025年5月の映画興行収入レポート。

 

  • 都庁で来日イベント、『M:I』集大成が大ヒット

[Paramount Pictures] 映画 ミッションインポッシブル ファイナルレコニング 映画チラシ 最後 グッズ 公式 トム・クルーズ 2025 ホワイト

5月公開映画で最大のヒットはトム・クルーズ主演の人気スパイアクション映画シリーズ最新作にして「集大成」の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』で先行上映の週末2日間で興行収入4.48億円、公開初日からのオープニング3日間で8.49億円、先行上映含めたオープニング9日間で16.24億円の大ヒットスタートを記録。最終54.3億円の前作『デッドレコニング』は先行上映なしでオープニング3日間の興行収入が10.56億円だったので、本作も先行上映がなければオープニング3日間で10億円を超えていた可能性が高い。先行上映含めた公開16日間の累計興行は27億円を超えており、本作も前作に続き最終50億円超えが見込める大ヒットとなっている。

www.youtube.com

トム・クルーズ主演映画といえば、映画本編と同じくらい話題になるのが豪華な来日イベント。前作公開時はハリウッドのストライキによって来日イベントが中止になってしまったこともあって、本作ではワールドツアーの最初の都市に日本の東京がセレクトされ、都庁で盛大なイベントを敢行。ジャパンプレミアの後にはTOHOシネマズ日比谷では世界最速のプレミア上映が行われて、日本のファンと俳優陣が3日前に完成したばかりの作品を一緒に初鑑賞した。ジャパンプレミアのラストではトム・クルーズによる「Light the fuse!」の掛け替えを合図にギネス世界記録にも認定されている都庁の巨大な壁面に導火線を模した演出の特別なプロジェクションマッピングが映し出されるサプライズも用意されていた。大スクリーンで鑑賞するべき映画の予告編を世界最大の壁面に映し出すパフォーマンスは「なるほど、そう来たか!」と素直にワクワクさせられた反面、「雨の関係もあるのかもしれないけど、もうちょっと鮮やかに映せなかったのかな…」「花火の光で都庁の壁面に大きく映し出されているトム・クルーズの顔が写真だと全然見えてないんだけど、これってどの程度理想像を体現出来たのかな…」なんてことも正直思ったりした。

都庁のプロジェクションマッピングは高額な血税を投入していることから、かねてより批判の対象になりがちだが、本パフォーマンスに関しては都民ファ幹事長曰く「映画のプロモーションと連動させることで、ほぼ無料で世界中に東京の魅力を発信できた」とのこと。ただ「トム・クルーズが投稿した都庁の写真とかを見ても、前述した理由もあって今回のイベントでプロジェクションマッピングの魅力をどこまで世界に発信出来たのか」と懐疑的に見ざるを得ない面はある。とはいっても、今回のジャパンプレミアで物議を醸したのはプロジェクションマッピングの是非ではなく、インフルエンサーの扱いの方だったが…

それはそれとして、本作はアメリカでは55歳以上に次いで18歳〜25歳の年齢層に人気と幅広い層からの支持を受けているという。高年齢層には「往年のハリウッドスパイアクション超大作の風格」、若者層には「トム・クルーズのノースタントによるメイキング映像のショート動画」がウケているとの分析がされている。本シリーズは4作目の『ゴーストプロトコル』以降、トム・クルーズのノースタントアクションをウリにしてきたシリーズで、その宣伝にはSNSの普及も密接に関わっていたと思うが、SNSで展開されている宣伝動画に胸を熱くして映画を観に行くと「お前はSNSの見過ぎだ!」と説教されるのは中々無い体験。公共の電波を使いまくって観客を劇場に動員しておいて「大量消費社会批判」を展開するスタジオジブリ作品に通じるところもある。幅広い年齢層にウケている背景には過去作品の地上波放送(拡大枠で3週連続世帯視聴率7%超えと2025年現在の実写洋画としては高めの数字を記録)とサブスク配信の合わせ技も効いているのかもしれない。アメリカでもシリーズ最高のオープニング興行を記録し、日本、韓国、中国とアジアでも大ヒットをしている本作だが、製作費は4億ドルと回収出来るかはかなり怪しい。ただ劇場公開時の興行だけでなく長期的な目線での回収は可能みたいな話もあるので、そこまで心配することもないのかも。今回の「集大成」が「最終作」なのか、その先があるのかも興行次第の面もあるのだろう。

youtu.be

プロモーション面では『名探偵コナン 隻眼の残像』とのコラボ映像も話題となったが、作品評的にも「イマイチよく分からないストーリー」にも関わらず「お馴染みのメインテーマ」「魅力的なキャラクターたち」「とにかく凄いアクション」故に「映画館の大スクリーンで大勢の観客と観るべきお祭り映画」として大ヒットしているという共通項がある。

これは宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』や山崎貴監督『ゴジラ−1.0』にも共通するところである。

余談だが、先行上映の週末2日間の興行収入が4.48億円と過去作のオープニングと比べて低かったことから「先行上映は失敗だったのでは」「今回は前作よりも入ってない感じ?」的な指摘も一部SNSで見受けられたが、昨年の『室井慎次 生き続ける者』も先行上映の週末よりも公開初日からの週末の方が入っていたので、「先行上映やるなら予定を早めて観に行くぞ」みたいな人はどちらかといえばマイノリティということになる。

 

【TikTokで人気の『M:I』メイキング動画リンク集】TikTok - Make Your Day/TikTok - Make Your Day/TikTok - Make Your Day/TikTok - Make Your Day

 

 

  • 原作者は文春に激怒、不倫疑惑の永野芽郁映画

映画「かくかくしかじか」オリジナル・サウンドトラック(特典なし)

5月公開映画で『ミッション:インポッシブル』級の注目を集めたのが、人気漫画家・東村アキコの自伝漫画を永野芽郁主演で実写映画化した『かくかくしかじか』。興行的注目を集めた背景には『週刊文春』による永野芽郁の二股不倫疑惑報道によるイメージ低下があった。そのため本作は公開前からレビューサイトは不当な低評価が相次ぐ状況。本人側の意向とは別に作品側の判断でメディアを入れない形での舞台挨拶を行い、その場で涙を流したことも一部では顰蹙を買った。またこれまで数多くの自作品の実写化許可を出してきた東村アキコ先生が本作に関しては「自伝漫画で思い入れが強い」ことから、長年実写化の許可を出さず、今回の日高先生役を大泉洋、自分の役を永野芽郁が演じるキャスティングによってようやく実写化許可を出したことから、「東村アキコ先生は作品を汚されたと怒ってるのではないか」との論調も広がった。

youtu.be

ただ東村アキコ先生の怒りの矛先はハードスケジュールの中でも座長として現場を引っ張り、NGなしで自分を演じてくれた永野芽郁ではなく、不倫疑惑を報じた『週刊文春』に向かった。そのためAbemaの生放送では「フジテレビ製作の永野芽郁映画」故に「炎上案件」であることを前提に「文藝春秋社から漫画を出しているし、『偽装不倫』も文春から出して(中略)一つの雑誌が心血注いで作ったものを結果的につぶすという矛盾には苦しんだ(中略)二重人格の人と付き合っているみたいな」と怒りをぶち撒けた。

そんな本作の興行収入は一部の「空席ガラガラ」の期待に反して、オープニング3日間で1.69億円のヒットスタートで、東村アキコ先生の地元で作品の舞台の宮崎県では『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』超えの盛況ぶり。『翔んで埼玉』といい、ご当地映画がご当地でヒットするのはめでたいこと。東村アキコ先生は地元のファンに「自分に興味のない親戚や友人を『トム・クルーズの映画がやっちゃる』と映画に誘い出して、『いっぱいじゃが』『こっちはあいてるよ』と本作にだまくらかして連れてって」とお願いしていたが、その必要もなかった様子。ただワーナー・ブラザースはしきりに「10億円に向けて順調な推移」とメディアを通してアピールしているが、実際に超えてくるかは微妙な情勢。「不倫疑惑の永野芽郁主演映画が大コケ!」とも「不倫疑惑の永野芽郁主演映画が大ヒット!」とも言い切れない野次馬的にはあまり面白くない興行結果となっており、また単発映画故に比較対象がないので不倫疑惑報道の影響がプラスに働いてるのか、マイナスに働いているのか、相殺されたのか客観的に判断することも難しい。

ただ時期が時期だけに現在放送中の『キャスター』と合わせて「劇中の展開が永野芽郁のスキャンダルに刺さる形になっていてノイズ」との意見も多発しているようだが、『キャスター』と違って本作はキャッチコピーに「私は最低の教え子です」「わたしは、許されない嘘をついた。」とあるように「ある程度年齢を重ねた大人が若い頃の自分の後悔を振り返る物語」なので、鑑賞中にスキャンダルがチラつくのが味になっているといえば味になっていた。それよりも永野芽郁によるマナーCMがスポンサー離れのフジテレビで流れまくっていることの方が気になった。

二股不倫疑惑の真相は分からないが、下がってしまった永野芽郁のイメージも時間が解決してくれるのだろうか…

 

永野芽郁が涙の謝罪 メディアの前に立つ覚悟も作品側が取材陣を呼び込まない判断下す - シネマ : 日刊スポーツ

https://www.fnn.jp/articles/-/872916

 

 

  • 作品評価上々なのに場外乱闘が起きた映画たち

5月公開映画は『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』『かくかくしかじか』以外の作品も評価は上々なのに、作品とは直接関係ないところで場外乱闘が起きた映画が多発。デミ・ムーア主演のSFホラースリラー『サブスタンス』ではキャッチコピーの「かわいいが暴走して、阿鼻叫喚」や宣伝のための芸能人キャスティングが「作品に相応しくない!」と物議を醸し、極め付けは公式SNSが投稿した主演女優の人生をネタにする「デミ・ムーアの波乱に満ちたキャリアを描いた<デミ・ムーア人生すごろく>」の画像が大炎上。謝罪と削除に追い込まれた。

荒木飛呂彦原作の『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのスピンオフ漫画『岸辺露伴は動かない』をNHKがドラマ化した作品の劇場版2作目『岸辺露伴は動かない 懺悔室』も原作短編を長編映画用に上手くアレンジした脚本が好評で、オープニング興行も2.6億円と最終12.5億円のヒットとなった前作のオープニング(3.15億円)対比で約82.5%のスタートと最終10億円前後が見込めるヒットとなっているが、劇中の音楽が生成AIで作られていることが判明して物議を醸している。本作絡みだと荒木飛呂彦先生が昨年出版した『荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方』での生成AIについてのセンテンスに筆者が込めた意図の解釈が割れていたが、今回の件でその話題も再び引っ張り出されて絡めて議論されている様子。

 

 

  • 最後に…
 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

www.instagram.com

アメリカでは『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』と同日に実写映画版『リロ&スティッチ』が公開されて記録的なスタートを切ったという。また『バービー』と『オッペンハイマー』の同日公開による「バーベンハイマー」ミームと同じように、トム・クルーズとスティッチのミームも流行しているとか。スティッチが操縦している飛行機に必死にしがみつくトム・クルーズのミームは今回の興行結果を表しているようでもある。今年度の日本は実写洋画が惨敗だった昨年度と異なり、ヒット作品に恵まれているが、直接対決は避けたとはいえ日本でもスティッチがトム・クルーズ超えをすれば、今年度の実写洋画はますます盛り上がることになる。

 

 

  • 関連記事

mjwr9620.hatenablog.jp