ネタバレ注意
トム・クルーズ主演『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』に関しての駄話。
- イーサン・ハント「お前はSNSの見過ぎだ!」
本作でかなり話題になっているのが中盤にトム・クルーズ演じるイーサン・ハントが敵のAIであるエンティティの信奉者に対して放つ「お前はSNS(インターネット)の見過ぎなんだよ!」的なセリフ。この手のエンタメ作品で「ネットばかりやってないで〜」みたいな趣旨のセリフは結構耳にすることはあるが、ハリウッドスターが大スクリーンでここまで啖呵を切って発しているのは珍しいので、思わず笑ったりしてしまった。SNSではSNSに感想を書きこんでいる層だけあって「自分に言われてるのかと思った」とか「今の社会を批判してる」とか「映画の作り手のメタ的なメッセージを感じる」とか、そんな受け取り方をされている。
- SNSの恩恵が強い『M:I』とトム・クルーズ
ただよくよく考えてみると、本シリーズもトム・クルーズも本作で批判したSNSの恩恵がかなり強いシリーズであり、ハリウッドスターなのではないか、という気もしてくる。というのも、本シリーズは2006年公開の『M:i:III』でアメリカ国内の興行収入は1.34億ドルと製作費1.50億ドルを回収出来ないほどに落ち込んでいる。また本シリーズだけでなく2010年公開の主演作品『ナイト&デイ』が大コケしたり、トム・クルーズ自身の宗教の問題や番組での奇行などがネガティブ要素となり割と「オワコン」扱いされていたという。しかし2011年公開の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』でドバイの超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」を実際に登って飛び降りるというノースタントアクションが注目を集めて、製作費1.45億ドルに対してアメリカ国内だけで2億ドルを超える大ヒットを記録した。
- ノースタントメイキングとショート動画の相性
それ以降の本シリーズ及びトム・クルーズ主演映画は「トム・クルーズのノースタントアクション」を前面に押し出す宣伝をするケースが多く、それが動員に結びついているとの理解がされている。そのため本作での「お前はSNSの見過ぎだ!」とセリフは一部で指摘されているように、映画館離れが叫ばれる時代に大スクリーンで観る価値のある作品を作り続けているハリウッドスターからのメッセージと解釈することも可能ではある。ただ本作のノースタントアクションの宣伝を観客がどこで得ているかと問われれば、それは大半がYouTubeやX(旧Twitter)、TikTokなどのSNS。実際、アメリカでは55歳以上の次に18〜25歳の若者層を動員している背景にはトム・クルーズのノースタントアクションのメイキング映像とショート動画との相性の良さも指摘されたりもしている。
- 最後に…
そのため本シリーズはSNSの宣伝に胸を熱くして劇場に向かうと「お前はSNSの見過ぎだ!」と説教されたりすることから、公共の電波を使いまくって観客を劇場に動員しておいて「大量消費社会」を批判しているスタジオジブリ作品に通じるところがあるな、と感じた。
【TikTokで人気の『M:I』メイキング動画リンク集】TikTok - Make Your Day/TikTok - Make Your Day/TikTok - Make Your Day/TikTok - Make Your Day
『リロ&スティッチ』北米でトム・クルーズに勝利 『トップガン マーヴェリック』の記録更新|Real Sound|リアルサウンド 映画部
- 関連記事
