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スニッカーズの袋のポイ捨てに始まり、恐竜には見えない変異種に終わる『ジュラシック・ワールド/復活の大地』ネタバレ感想

スチール場面写真/ポスター 光沢プリント「ジュラシック・ワールド 復活の大地」 パターン19(こちらの商品にはアクリルフォトスタンドは付いておりません。)

「あの感じの研究施設で普通スニッカーズの袋をポイ捨てなんてするか?」的なアホ展開から始まる『ジュラシック・ワールド/復活の大地』を観た。

 

  • 肩透かしに終わった『ワールド』三部作

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(吹替版)

『ジュラシック・ワールド』シリーズは今から10年前の2015年に始まった『ジュラシック・パーク』シリーズの続編であり、1作目では「ついにあのパークがオープンした!」「今では恐竜の復活は当たり前なので、複数のDNAを掛け合わせて最強の恐竜を誕生させよう!」というワクワク感を提供し、2作目『炎の王国』では前半で「恐竜の絶滅を連想させる島の火山噴火」、後半で「恐竜が人間の世界に放たれ、文字通り世界全体が『ジュラシック・ワールド』になる」という衝撃的なタイトル回収を見せ、3作目『新たなる支配者』で自分たちが前作で提起した問い「地球を支配するのは人類か恐竜か それとも共存か」に真正面から向き合うことなく、突如現れた新問題「遺伝子操作されて巨大化したイナゴによる食糧危機」によってお茶を濁したシリーズ。当時の日本の宣伝では「新旧キャストが勢揃いする『ジュラシック・パーク』6部作の完結編」みたいな雰囲気があったが、『新たなる支配者』公開中には既に「更なる続編がある」と明かされていたし、その続編の公開時期も『Ⅲ』から『ワールド』のように10年単位で時間が空くわけでもなく、思いの外早いタイミングでの公開時期になり、正直初めて7作目の正式な発表を聞いた時は「いや、もういいって…」みたいな気持ちにはなっていた。

 

 

  • 冬眠状態のゴジラを目覚めさせた監督

GODZILLA ゴジラ(吹替版)

ただ監督がギャレス・エドワーズと聞けば、話は変わってくる。何故ならギャレスは日本で冬眠状態になっていたゴジラを『GODZILLA(2014)』で目覚めさせ、『シン・ゴジラ』『ゴジラ−1.0』と国産ゴジラの復活への道筋を作った存在。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の制作過程では色々と辛い目に遭い、超大作映画制作に対してトラウマ意識を抱えてしまったようだが、中予算映画『ザ・クリエイター/創造者』で一定の成果を収め、監督として注目されるキッカケとなった長編映画初監督作品『モンスターズ/地球外生命体』も想起させる巨大生物映画を再び、それも世界的メガヒットシリーズの最新作で撮るというのなら、期待せざるを得ないし、応援せざるを得ない。

 

 

  • 流石に恐竜とはいえない変異種

ただ本作のSNSでの感想を見ていると、中々厳しめの評価も少なくなく、その気持ちも分からなくもない。第一にこれまでの『ジュラシック・ワールド』シリーズ三部作に登場していたオーウェン、クレア、ブルーの物語が前作でひと段落したことで未登場となり、本作はオール新キャラの物語なので、いくらスカーレット・ヨハンソン主演といえども、「スピンオフ感」というか、二昔前の「前作の主人公のいない続編感」というか、何となくの「続編を作るために作られた続編感」を隠しきれないテンプレ的なキャラクターやストーリーの設定もあって、良くも悪くも『ロスト・ワールド』や『Ⅲ』のポジション感がある。特に家族の取ってつけた感は半端ない。

また『ワールド』に登場した複数のDNA掛け合わせたハイブリッド種「インドミナス・レックス」の時点で「もうコレは恐竜じゃない!」との批判も一部からはあったようだが、「インドミナス・レックス」のビジュアルが恐竜のルックスを保っていたのに対して、本作に登場する人間の実験によって変異したミュータント恐竜たちは最早恐竜の形を保ったおらず、完全に巨大モンスター、クリーチャー路線。しかも『ワールド』と違って、クラシックな恐竜とのバトルも用意されてないので、大スクリーンで巨大生物が崇めれば満足な層はともかく、恐竜映画を楽しみにしていた層からすれば、クライマックスは映画のジャンルが変わって「何じゃこりゃ」状態だったかもしれない。またダンカンの生き残りも、嬉しかった反面「あの状況からどうやって助かったんだ?」感はあったので、それこそ毎度お馴染みとはいえ「他の恐竜が現れて…」みたいのがあったら良かったけど、相手の規模感的にティラノサウルスレベルでもどうしようもない感があるので、「それを作るのが映画の見せ所だろ」とは思いつつ、色々難しかったのかもしれない。

 

 

  • 最後に…

文句ばかり並べる形になってしまったが、個人的には恐竜の生息地のリアリティのためにセットではなくタイのジャングルでフィルム撮影したという映像から漂う全体的な雰囲気は好きだったし、恐竜同士の愛し合うシーンや劇中のキャラクターは気づいていないけど後ろに映り込む恐竜の姿、緊張が解けてジョボジョボと溢れ出す小便、D-REXに咥えられたヘリコプターなど印象的なシーンも多い。またティラノサウルスの登場シーンは何だかんだで「真打登場」という感じで満足度も高かった。本作で水中シーンが多い理由は1作目公開当時はVFXで再現出来ずに諦めた原作小説の水絡みのシーンへのリベンジの意図があるらしいが、その意味では水中でのゴジラシーンが高く評価された『ゴジラ−1.0』(公開当時は既に脚本完成済み)を観てギャレスやスピルバーグらは山崎貴監督が『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』の電車シーンを観て「被った」と思ったように、内心「今からやろうとしていることを先にやられた」みたいな感想も抱いていたかもしれない。色々書いたが、トータルでは夏休みに相応しいアドベンチャー感満載の楽しい作品だったし、『新たなる支配者』釈然としない派としては何も解決してないのにお馴染みのテーマソングと共に何となく良い感じの雰囲気になって終わる感じが久々に味わえたのも良かった。

 

 

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