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現実はフィクションを超える?『週刊少年ジャンプ』舞台の人気漫画『バクマン。』、『鬼滅の刃』級のヒット想定されず

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現実を舞台にしたリアリティライン高めの作品で、あまりにも非現実的な展開が起きてしまうと萎えてしまうことがある。これは題材となっている業界への解像度が高ければ高いほど「いやいや、流石にそれは現実的にはありえないよ」とツッコミを入れてしまうものだが、時に現実はそんなフィクションの中のリアリティラインを超えてくる。

 

  • 大谷翔平、「漫画ならボツ」

例えば野球の大谷翔平。自分は野球に疎いので、その凄さがイマイチ分かっていないのだが、高校野球ならいざ知らず、プロ野球の世界で投手も打者もこなせる「二刀流」はあまりにも非現実的なことだと認識されていたという。しかし大谷翔平はそんな非現実な行為を成し遂げて「リアル二刀流」という言葉は流行語にまでなった。漫画の主人公みたいな話だが、人気野球漫画『MAJOR』の作者・満田拓也先生によると「そんな設定の選手を描いたら担当編集にボツにされる」との見解。フィクションとはいえあまりにも異次元な設定には「常識」の観点からついついセーブをかけてしまいがちだが、現実はその「常識」を超えてくる。

 

 

  • 『バクマン。』、ラストは「350万部」宣言

バクマン。 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

その視点において2008年から2012年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載されていた真城最高(サイコー)と高木秋人(シュージン)による2人組の漫画家・亜城木夢叶が天才漫画家・新妻エイジとジャンプのトップを争う『バクマン。』は2016年から2020年に連載された『鬼滅の刃』級のヒットは全然想定出来ていなかったな、感がある。というのも『バクマン。』の終盤は『ONE PIECE』が透明化されたジャンプ上で亜城木が連載する『REVERSI』とエイジが連載する『ZOMBIE☆GUN』が読者アンケートで首位を競い合い、コミックの発行部数争いでは最終的に『REVERSI』が重版を重ねて122万部に達することで『ZOMBIE☆GUN』の120万部を抜き、一時的とはいえ「ジャンプ1番の作家」となる。連載を終えた亜城木にエイジが「『ZOMBIE☆GUN』を300万部にして待ってます」と宣言し、亜城木がエイジに「次の作品は350万部売れる作品にしてみせます」と応じるラストも熱い。

 

 

  • ジャンプ史上4作目の世界累計2億部突破

ただ『鬼滅の刃』の最終巻は初版だけで395万部(日本の漫画の最高初版は『ONE PIECE』の405万部)、年間売上は517万部と500万部を超えた。劇中では漫画に関しては預言者扱いのエイジが自身の漫画は「400万部は超えない」との見解を示していた。これは『バクマン。』の1話目でサイコーが「この少子化の時代今更ドラゴンボールやワンピースは越せない」と述べているように、連載当時の感覚では「いくら天才漫画家といえど、このご時世で『ドラゴンボール』『ONE PIECE』レベルの漫画が出てくるのは現実的ではない」との分析だったのだろう。しかし『鬼滅の刃』は『ドラゴンボール』『ONE PIECE』『NARUTO』に続き『週刊少年ジャンプ』史上4作目の全世界累計発行部数2億部を突破した。『ドラゴンボール』(全42巻)の全世界累計発行部数は2.6億部、『ONE PIECE』(既刊112巻)は5.1億部、『NARUTO』(全72巻)は2.5億部、各作品の連載期間やコミックスの巻数差を踏まえれば、『鬼滅の刃』(全23巻)はこれらの作品と並んだと言っても過言ではないだろう。

 

「鬼滅の刃」コミックス最終巻、初版は395万部 “結末に描き足した14ページ”など収録 : 映画ニュース - 映画.com

【年間本ランキング】『鬼滅の刃』最終巻が500万部越えで史上初の快挙 総合1位は『スマホ脳』、現代人への課題を提示 4ページ目 | オリコンニュース(ORICON NEWS)

 

 

  • 最後に…

それどころか『鬼滅の刃』は漫画の世界を超えて、映画の世界では『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が最終407.5億円(再上映含む)と『ドラゴンボール』『ONE PIECE』どころか宮﨑駿監督の『千と千尋の神隠し』の最終316.8億円(再上映を含む)を超えて国内歴代映画興行収入No. 1を更新した。仮にこれがフィクションなら「新人漫画家が初連載作品で『ドラゴンボール』『ONE PIECE』級の世界的ヒット作を生み出し、アニメの劇場版では宮﨑駿超えのヒット」という展開は「流石にリアリティに欠ける」と感じで萎える人も少なくなかったのではないか。アニメの映画興行に関しては宮﨑駿監督も『風立ちぬ』公開時期の対談本で「今は少子化でもかなり上の世代まで映画館でアニメを観てくれるから何とかなってるけど、十年先、二十年先は…」という趣旨の発言をしていたが、現実の10年後の世界は少子化は更に進むも大人がアニメを観ることはより一般的な行為となった。サブスクの普及も大きいのだろう。この先の10年で漫画や映画の世界に限らず、現時点では想像もつかないようなレベルのヒット作品が生まれる可能性も十分あり得るのだろう。

 

  • オマケ

シュージンの持論「人気漫画の共通点は刀」は当たっていた。

 

 

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