映画『宝島』を観た。
- 総製作費25億円で米軍統治下の戦後沖縄を描く
今日8/19は
— 映画『宝島』 公式 (@takarajimamovie) 2025年8月19日
◢◤#9と19は宝島の日◢◤
数字で見る『#映画宝島』の壮大な世界
構想:6年 2度の延期
総製作費:25億円
撮影期間:106日
沖縄ロケ:41日
ロケ地:43箇所
エキストラ:延べ5,000人
希少アメリカンクラシックカー:約50台
CGカット数:615カット
圧倒の本編尺:191分
🎬𝟗/𝟏𝟗公開 pic.twitter.com/KO11BVgB4V
本作は真藤順丈氏の戦後の米軍統治下の沖縄を舞台にした同名小説を『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督が総製作費25億円をかけて、妻夫木聡主演で実写映画化した上映時間191分に及ぶ超大作。公開前は「小説の映画化、日本の歴史を題材にした社会派、長尺」の共通項から「第二の『国宝』」への期待の声もあったが、いざ公開されると興行的には大苦戦。また大友啓史監督がSNSで批判的な投稿に対して「ふーーん」と冷笑的な返信をしたことで、嫌な注目の集め方もした。
- 「なんくるないさー」では済まされないコザ暴動
大友啓史監督が映画『宝島』に込めた想い
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2025年9月28日
→「(『ちゅらさん』は)沖縄の方々が喜んでくれたし、自分にとっても大切な経験/ただ主人公は本土復帰の1972年生まれという設定で、復帰前の沖縄には踏み込んでいません/“癒やしの島”として受け取られることへの、漠とした違和感も」 https://t.co/eFaRxMws1j
『宝島』大友啓史監督インタビュー
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2025年9月28日
→ 『なんくるないさー』は『どうってことないよね』という軽い言葉だと思われがち/さまざまな苦しい体験をしてきた沖縄の人々の明確に守るべきものがあって『それ以外はどうってことはないよね』/大切なものに対する想いが込められている https://t.co/TGOOte5Jue
そんな大友啓史監督はフリーになる前のNHK時代に沖縄を舞台にした朝ドラ『ちゅらさん』の演出を担当しており、複数のインタビューなどを読むと『ちゅらさん』を「大切な経験」としつつも、世間の沖縄に対する「癒しの島」としての受け取り方や「なんくるないさー」が軽い言葉として認識されがちなことへの違和感を抱いていた様子。
大友啓史監督『宝島』の挑戦 コザ暴動
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2025年9月26日
→「『なんくるないさ』『それくらい大したことないよ』と言える優しさ/でも、人には守るべき一線がある。その線を越えた時、人は行動に移さざるを得ない/この規模で沖縄と向き合える映画は最後かもしれない/今やらなければ届かない」 https://t.co/vBAZfYBtyV
そのため『ちゅらさん』より前の本土復帰前の時代を描きたいという想いを長年持っていたようで、その意味では「なんくるないさー」では済まされない、「なんくるないで済むか、なんくるならんぞー!」と沖縄の人たちが行動を起こした「コザ暴動」を描いた本作は正に長年大友啓史監督が伝えたかったことであり、そこには熱い想いを感じる。実際、大友啓史監督は周囲からキャリア的な視点から「やめた方がいい」と止められたり、コロナ禍などで2度も制作が延期になったにも関わらず、作品を完成させて、興行的に不利な長尺の上映時間で公開に踏み切ったのだから、その想いは本物だろう。それだけにSNSでの冷笑的な返信は力を入れている作品だけに気持ちとしては分からないでもないが、マイナスプロモーションにしかなってないので、非常に残念に感じた。
- グスクの「いつか」と妻夫木聡の「1%」
【宝島】大友啓史監督、コザ騒動の熱気漲るシーンに込められた想い
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2025年9月28日
→「細かく見ていくと沖縄の人たちの不満、一晩のうさはらしも含め、色々なエネルギーが集積していた……。/取材をしていくと、ひとりひとりの記憶が全然違う/そういった想いを大事にしながら撮っています」 https://t.co/1AAqhmlIKu
作品本編は米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民らに分け与える「戦果アギヤー」の英雄的存在の失踪を軸に、本土からは見捨てられ、米軍からは理不尽な目に遭わされ続けた当時の沖縄の人たちの限界の先にあった「コザ暴動」であることが追体験出来るような描かれ方で、「映画一本観たくらいで分かったようなこと言うなよ」と思われるかもしれないが、妻夫木聡演じる主人公の沖縄の人たちの感情の解放を喜ぶような表情含めて印象的だった。怒って車を倒したりしている人たちだけでなく、三線(?)を弾いている人など色々な感情が混ざり合っている感じも良かった。
妻夫木聡、主演映画『宝島』完成に万感の思い!
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2025年9月9日
大友監督「(沖縄は)やっぱり土地の持つ力はすごい/本当に目に見えない力がたくさんある」
妻夫木「(映画は)社会ではちっぽけなものかもしれませんが、ほんの1%でも誰かの人生に変化が起こるきっかけになってくれたら」 https://t.co/FbUsqwPz2r
クライマックスは窪田正孝演じる主人公の幼馴染が本土と米軍に自分たちの不満に向き合って貰うために毒ガステロを起こそうとするが、主人公はそれを何とか阻止して、ラストは広瀬すず演じるヒロインの「いつになったら、この苦しみは消えるの?」との問いに主人公は「分からない。でもそのいつかを信じて生きていけ」と答える。沖縄の問題に解決の見通しがない2025年の劇場で1970年を舞台にしたラストのやり取りを聞くのは複雑だ。一昨年、野木亜紀子氏が脚本のドラマ『フェンス』の中で「沖縄ではなく日本の問題」という趣旨のセリフがあったが、宮﨑駿監督が「沖縄だけではなく日本全体でやろう」の趣旨で評価した鳩山政権の普天間移設問題は民主党政権を短命にした最大要因の一つという扱いで、「触れるべきではなかった」という反省がされている。こうなると「無力感」が凄いが、妻夫木聡がイベントやインタビューで「(映画は)社会ではちっぽけなものかもしれませんが、ほんの1%でも誰かの人生に変化が起こるきっかけになってくれたら」という趣旨の発言を繰り返していたことを思い出す。これは劇中の主人公のラストのヒロインの問いへのセリフ「分からない。でもそのいつかを信じて生きていけ」と通じる。
- 最後に…
妻夫木聡―『宝島』全国キャラバンで得た確かな手応え
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2025年9月5日
→劇場を回り、観客と直接言葉を交わすキャラバンは、規模こそ数百人単位にとどまるが、観客がSNSに投稿したり友人に語ったりすることで、体験を伴う口コミが広がる/「今回(の宣伝)はより一層“届いている”ことを実感」 https://t.co/JKOTbcmRyp
本作では大友啓史監督と妻夫木聡は全国の劇場を回って、観客と交流する形の宣伝をしていた。映画一本で社会が大きく変わることは難しいのかもしれないが「何かが少しでも変わるのなら」という想いが伝わってくる。これは劇中で繰り返し描かれたデモやSNSでは冷笑の対象になりがちな座り込みとかも、そうなのだろうな、と思ったりもした。
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