HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』の『ドラクエ1』の方のネタバレ感想。
- 『ドラクエ』シリーズ1作目のリメイク
本作は1986年にファミコンで発売された国民的RPG『ドラクエ』シリーズの記念すべき1作目をスクエニが開発したドット絵と3DCGを融合した独自のグラフィック表現「HD-2D」でリメイクした作品。昨年発売された『ドラクエ3』に続き、何処か懐かしさも感じる箱庭的な温かみのあるグラフィックで表現されている。『ドラクエ1』は日本にRPGを浸透させたエポックメイキングであり、日本ゲーム史において非常に重要な作品である一方で、その容量はスマホで撮影された写真1枚よりも遥かに小さい。そのためストーリーは「竜王に攫われたローラ姫を救い出し、竜王を倒して世界を救う」と『マリオ』並にシンプル。重要アイテム集めも特にイベントが用意されている訳でもないので、今の視点だとかなり質素である。
- ローラ姫に協力者、ストーリー大幅強化
もともとファミリーコンピュータの『DQI』で使える容量が64キロバイトしかなかったので、当時はできるだけシンプルに作りました。
今回のHD-2D版はそんな『DQIII』から発売することに決めていたので、その後に続く『DQI』が拍子抜けにならないように新要素を決めました。
それ故に『ドラクエ1』をリアルタイム世代ではなく当時の思い出補正がない自分みたいな人間が「『ドラクエ』シリーズの原点に触れてみたいな〜」という気持ちで遊ぶと、「なるほど、日本でRPGという存在が認知されてない時代だから、一通りRPGの基本操作を覚えないとスタート地点の部屋から出れないようになってるのか」的な歴史を実際に触れていく楽しみ方は出来ても、今の時代の他のゲームのように純粋な娯楽として楽しむのは中々難しい。一方で今回のリメイクでは原作の基本的な物語を軸にローラ姫が攫われる経緯やローラ姫の心情などのイベントを大幅に強化。更に原作のシリーズ唯一の「勇者1人旅」という設定を守りつつ、「ローラ姫の側近親子」や「カンダタの子孫」、「妖精やドワーフ」などの追加キャラクターによって、「勇者1人旅だけど、この世界を守るために戦っているのは勇者1人だけではない」というメッセージが浮かび上がる粋な仕様になっている。10時間+αのコンパクトなボリュームながら、ストーリーに厚みが生まれたことで、今の時代でも純粋に楽しめる一本筋の通った満足度の高い作品に仕上がっていた。
- 戦闘バランス、ボス戦は気持ち「死にゲー」感
『DQI』は原作と同じひとり旅だけど、バトルでは複数の魔物を出したい。それでは冒険がたいへんなものになるので、仲間がいない代わりに、集めることで強化されていく要素が必要だろうと考えました。
SNSではストーリーの強化は概ね好意的に受け入れられている反面、戦闘バランスについては賛否が割れている印象を受ける。原作では「主人公とモンスターの1対1」だったが、リメイクでは「1対複数体」に変更されており、発売前から「戦闘が厳しいのでは?」と懸念されていた。ただこの点は主人公にも全体攻撃が可能な特技や魔法が追加されているので、他のナンバリングと比べて特別戦闘が厳しい訳ではない。序盤は歩けば歩くだけ経験値が入る「しあわせのくつ」を装備していれば、レベルはサクサク上がってレベルアップごとにHP・MPが全回復。ラスボス戦のある「竜王の城」は長めのダンジョンで一見MP管理が大変そうに思えたが、リメイクからの新設定「星の紋章」によって戦闘中に「ぼうぎょ」を選択すればMPが回復するので特に苦戦することもない。一方で中盤以降のボス戦はそれなりのレベルで何となく「攻撃→攻撃→回復」くらいのノリで戦闘を進めていくと敵のHPを赤表示まで追い込めるのに、あと一歩のところで負けてしまう状況が連続するくらいには歯応えがある。そのためボス戦で勝つには敵の攻撃パターンを把握して、その攻撃に沿った対応を先読みしてコマンド入力する必要があり、敵の攻撃パターンを把握するまでに複数回死ぬケース(これが4人パーティーなら理不尽な即死に近い攻撃でも仲間キャラによるリカバーも出来るが、1人旅なのでリカバーしようがなく全滅頻度が多くなる)が多発。それ故に気持ち「死にゲー」感すらある戦闘バランスになっており、その辺が賛否の割れている部分となっている。個人的には緊張感のあるボス戦が楽しめたので、肯定派である。
- 最後に…
令和の時代でも純粋な娯楽として楽しめるようにアップデートされた『ドラクエ1』。開幕早々の「ゆうべはおたのしみでしたね」にも笑わせてもらった。
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