HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』の『ドラクエ2』の方のネタバレ感想。
- シリーズの中で影が薄めの『ドラクエ2』
本作は1987年にファミコンで発売された国民的RPG『ドラクエ』シリーズの2作目『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』をスクエニが開発したドット絵と3DCGを融合した独自のグラフィック表現「HD-2D」でリメイクした作品。昨年発売された『ドラクエ3』に続き、何処か懐かしさも感じる箱庭的な温かみのあるグラフィックで表現されている。『ドラクエ2』は「ロト三部作」の中でも記念すべきシリーズ1作目の『ドラクエ1』、社会現象となった『ドラクエ3』と比べて影が薄く、シリーズ全体を通しても人気投票で上位を争うような存在ではない。シリーズ初のパーティーシステムを導入した作品ではあるが、各キャラクターは時代による容量的な限界もあってか『ドラクエ4』以降のパーティーメンバーほどキャラ付けがされておらず、『ドラクエ3』のような転職システムが導入されている訳でもないので、各キャラに思い入れが出来にくい面もあったのかもしれない。
- 仲間にもボスにも個性、ストーリーも大幅強化
ストーリーに関しても、原作を文字にすると数万字だとしたら、今回は数十万字になっているイメージです。
HD-2D版『DQIII』は、物語に関してはシステムと比べるとそこまで変化はありません。ただ、この『DQI&II』は物語の面で大きな変化があります。なので、原作を知っている方ほど驚きの幅がデカくなると思います。
そんな『ドラクエ2』だが、個人的には今回のリメイクでパーティーメンバーの各キャラの個性と魅力を『ドラクエ4』以降の作品並の水準に引き上げることが出来れば「ロト三部作の中で一番化けるのではないか」と期待していた。そして今回のリメイクではその事前の期待通り、原作では殆どセリフがなかったサマルトリア王子(クッキー)とムーンブルク女王(プリン)のセリフが大幅に増加。これまで散々振り回された挙句にようやく出会えたと思えたら「いやー さがしましたよ。」と呑気なセリフを吐かれて「イラッ」とさせられるだけの存在だったクッキーはどこか憎めない愛されキャラに、故郷と両親を燃やされる冒頭の割にイマイチどういうキャラなのか掴みきれない存在だったプリンは仲間たちとの冒険を通して復讐の先にある未来を掴んでいく奥行きのあるキャラにブラッシュアップされた。更にリメイクからはサマルトリア王子の妹(マカロン)もパーティーメンバーに加入。「無口」「空気読めない」「真面目」の3人パーティーに「お転婆娘」が入ることで、パーティーに明るさをもたらした。その上、昨年の『ドラクエ3』では「各重要アイテム回収の際に気持ちボス戦追加しておきました」程度だったボス戦の敵にも『ドラクエ2』ではキャラ付けが施されており、ボス戦を盛り上げた。『ドラクエ3』では追加ストーリーもオーブへの導線とオルテガの縦軸の物語程度だったが、『ドラクエ2』では新規エピソードが複数追加され、満足度が高かった。「人間、魔物、人魚、妖精、ドワーフなどとの多文化共生」「子供の成長は親の育て方次第」「ロンダルキア王子の人間への絶望と希望」といったメッセージも良かった。欲を言えば、他のナンバリングにある日常的に各キャラと会話が出来るシステムも欲しかった。それくらい良いリメイクだったように思う。
- 繋がるのは『ドラクエ12』ではなく…
堀井氏は「『3』→『1』→『2』と時系列通りにプレイすれば、『2』の終わりでちょっとした驚き、発見があるみたいなものを付け足したんですね」とコメント
【ドラクエ1&2リメイク】堀井雄二氏「時系列順にプレイすると『2』の終わりにちょっとした驚き、発見がある」【HD-2D版ドラゴンクエストI&II】 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com
「ロト三部作」の時系列は「3→1→2」と発売順の「1→2→3」の順にプレイすると3作目が1作目の前日譚だと判明して、1作目で伝説となっている「ロトの勇者」の正体が3作目の主人公なのだと分かる演出となっていた。一方で今回のリメイクでは時系列通り『ドラクエ3』から発売されて「3→1→2」の順にプレイすることが推奨されており、堀井雄二さんが「時系列順にプレイすると『2』の終わりにちょっとした驚き、発見がある」と発言していたことから、どのようなラストが描かれるのかが注目されていた。ネットでは「『ドラクエ1&2』だから『ドラクエ12』に繋がる」との予想が目立ったが、個人的には仮に繋がるのなら『ドラクエ12』ではなく「天空シリーズ」に繋がっていくのではないかと予想していた。ただ実際にプレイしてみると、物語の結末では『ドラクエ2』の勇者らがラーミアで『ドラクエ3』の勇者の故郷であるアリアハンに連れて行かれて(真のラスボス登場で閉じていた上の世界への扉が開いたのだろうか…)、その地の「ルイーダの酒場」で「色んな人がすれちがう場所にしたい」と『ドラクエ9』への匂わせセリフだった。『ドラクエ9』のリメイクは現行ハードでの「すれちがい通信」の再現が困難とされていたが、今の通信技術なら代替可能だと思うので、近い将来の発売を信じたい。勿論、劇中で所々『ドラクエ6』への匂わせがあったことから「天空シリーズ」のリメイクにも期待している。
- 最後に…
「2作目が、1作目の100年後という設定だったから、IIIもその流れだったらおもしろくないなと思って、Iの前の時間軸にしたんだよね。よく「Iを作る前からIIIのストーリー構想はあったのか?」と聞かれるけど、ないよね(笑)」と堀井氏。
『ドラクエ』を生んだ堀井雄二氏が各シリーズを振り返る!『XI』の開発状況も明らかに【CEDEC 2016】 | ファミ通App【スマホゲーム情報サイト】
『ドラクエ3』の結末をめぐっては長年「勇者は上の世界に戻れたのか?」との論争があり、ネットでは堀井雄二さんの発言なども踏まえて「子孫が下の世界にいるなら、上の世界には帰れてないのだろう」よりも「下の世界でその後勇者を観た人もいないみたいだし、戻れたのだろう」との意見の方が優勢に思えた。ただ今回のリメイク作品では『ドラクエ3』の勇者は上の世界に戻れていなかったことが確定。故郷の母への悔いを残す余生を生きたようだが、『ドラクエ2』のラストでアリアハンに訪れた勇者らは『ドラクエ3』の勇者の家に訪れ、そこで待っていた母親は勇者との再会を果たす。堀井雄二さん曰く「ロト三部作」の時系列は『ドラクエ3』製作段階で決めた後付けなので、今回時系列順でリメイクしたことで壮大な「ロト三部作」の本当の意味での結末を見た気分になってジーンとした。『ドラクエ3』と『ドラクエ2』の間にはかなりの時間が流れてるはずなので「勇者の母親は何者だよ」と新たな疑問(メタ的にみれば両作品共に「主人公=あなた」なのだが…)も浮かんだが、「まー、『ドラクエ11』のラストとかも踏まえると、勇者に感情移入しまくっているかなり上位的な存在(『天空の花嫁』のロト版的な…)なのかな…」と神秘的な解釈(ネットではあの母親は『ドラクエ3』の勇者の母親ではなく、髪型や髪色が異なることから彼女もまた子孫という見方と「おかえりなさい。わたしの かわいい勇者さま。」のセリフから同一人物との見方で割れている)をした。ただ「『ドラクエ3』の勇者はルイーダの酒場で雇った仲間もいたはずだけど、その後の描かれ方をみると本当にビジネス的な関係だったのかな… というか、よくその関係性で世界を救えたし、アイツらも上の世界に戻れずにどのような気持ちで下の世界で人生を終えっていたのだろう…」的なことも思った。
- オマケ
『ドラクエ1』の1人旅のあとに『ドラクエ2』の仲間との冒険をやると、色々とフレッシュな気持ちで楽しめて、一人旅の良さ、仲間の良さの再発見となった。それだけに『ドラクエ3』のルイーダの酒場の雇われパーティーの「…」感もより浮き彫りに…
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