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【興行収入】「細田守と新海誠はどこで差が…」、『果てしなきスカーレット』細田守監督が「ポストジブリ」「ポスト宮﨑駿」を期待された理由

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細田守監督『果てしなきスカーレット』の興行的失敗を受けてネットでは「細田守監督と新海誠監督、一体どこで差がついたのか…」「ポストジブリ、ポスト宮﨑駿と言われていた頃もあったのに…」なんて感傷モードになっている。

 

  • 細田守監督が「ポスト宮﨑駿」を期待された理由

おおかみこどもの雨と雪

細田守監督が「ポストジブリ」「ポスト宮﨑駿」の役割を本格的に背負うようになったのは2013年の宮﨑駿監督の引退表明(後に撤回)と2014年のスタジオジブリの制作部門解体による一時アニメーション制作からの撤退を受けた2015年公開の『バケモノの子』からだった。「日本でアニメ映画の興行は強い」との印象があるが、当時も今もスタジオジブリ作品や細田守監督作品、新海誠監督作品などの一部を除けばオリジナルの長編アニメ映画での興行収入10億円以上のヒットはごく稀だ。その状況下において、細田守監督は2012年公開の『おおかみこどもの雨と雪』で興行収入42.2億円のヒットを記録。これは2011年公開の宮崎吾朗監督『コクリコ坂から』の興行収入44.6億円や2014年公開の『思い出のマーニー』の興行収入35.3億円に匹敵する。その後『おおかみこどもの雨と雪』は日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞し、翌年の『金曜ロードショー』での地上波初放送では世帯視聴率15.4%を記録した。同枠での『コクリコ坂から』の初回放送は13.0%、『思い出のマーニー』の初回放送は13.2%だった。

コクリコ坂から [DVD]

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本家のスタジオジブリが「ポスト宮﨑駿」として出してきた宮崎吾朗監督作品や米林宏昌監督作品には内心満足いっていなかった世間は細田守監督作品を『サマーウォーズ』と合わせて「ジェネリック・ジブリ」「真の宮﨑駿の後継者は宮崎吾朗ではなく細田守」として認識するようになっていった。そのため東宝と日テレが「ジブリの穴を埋めれる興行的、視聴率的、賞レース的な期待が出来る国民的アニメ映画枠」として細田守監督を神輿に乗せるのは自然な流れであった。また細田守監督には幼少期に観た『ルパン三世 カリオストロの城』への衝撃故のアニメ監督への憧れ、就活時の宮﨑駿監督からの「君のような人間を入れるとかえって才能を削ぐと考えて入れるのをやめた」と直筆の手紙付きでのスタジオジブリからの不採用、スタジオジブリでの『ハウルの動く城』の監督起用からの降板劇、と「ポストジブリ」「ポスト宮﨑駿」としてこれ以上にないナラティブも持っていた。

 

おおかみこどもの雨と雪:地上波初放送の平均視聴率15.4% - MANTANWEB(まんたんウェブ)

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スポットライト:アニメ監督・細田守さん 自分が作りたいモノを見つめて | 毎日新聞

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  • 「ポスト宮﨑駿」を背負った翌年に…

バケモノの子

東宝は『バケモノの子』を夏休み映画として当時の東宝配給作品として最大級の全国458スクリーンで封切り、日テレは『金曜ロードショー』で3週連続細田守監督の過去作品を地上波放送し、NHKは『プロフェッショナル 仕事の流儀』で細田守監督への密着取材の様子を放送して、細田守監督の「ポストジブリ」「ポスト宮﨑駿」化をバックアップした。ただ興行収入は58.5億円と細田守監督史上最高のヒットを記録するも、東宝が当初「見込める」としていた70億円は下回り、それまで細田守監督作品の脚本を務めていた奥寺佐渡子氏が抜けて「単独脚本」となったことから、説明セリフの増加、ヒロインの存在、後半の展開などで批判を浴びて作品自体は賛否両論となった。

君の名は。

そんな翌年の2016年、新海誠監督『君の名は。』が興行収入250.3億円を稼ぎ、当時の国内映画興行収入ランキングで『千と千尋の神隠し』『タイタニック』『アナと雪の女王』に次ぐ歴代4位を記録した。宮﨑駿監督の引退表明(後に撤回)によって日本映画の興行収入100億円突破は「当分出ない」「出るとしたら細田守監督だけど、果たしていつになるのか…」と思われていた。それをこれまでの自己最高興行収入が2013年公開『言の葉の庭』の推定1.5億円の監督の新作というあまりにも予想外の角度から成し遂げられたのである。勿論『君の名は。』は新海誠監督のメジャー化を狙った全国301スクリーンでの公開作品であり、東宝も新海誠監督が将来的に化ける可能性も期待していただろうが、公開前の目標興行は15億円程度で「ホップ、ステップ、ジャンプ」の「ホップ」でいきなり「大ジャンプ」した形だった。その結果、新海誠監督も「ポストジブリ」「ポスト宮﨑駿」候補に躍り出て、細田守監督とのライバル関係の構図も作られていった。

 

細田守監督「バケモノの子」出航!興収70億見込める絶好の滑り出し : 映画ニュース - 映画.com

「時かけ」から「おおみこども」まで3作品 細田守監督長編が金曜ロードSHOW!で3週連続 | アニメ!アニメ!

プロフェッショナル 仕事の流儀 アニメーション映画監督・細田 守の仕事|ドキュメンタリー|DVD

新海誠監督:ポスト宮崎駿、細田守に東宝が指名 来年8月公開「君の名は。」に自信 - MANTANWEB(まんたんウェブ)

【記事全文】「君の名は。」川村P、世界的メガヒットの要因解説「集合的無意識にヒットした」 - スポニチ Sponichi Annex 芸能

 

 

  • 新海誠監督も背負った「国民的作家」

すずめの戸締まり

その後、2018年に細田守監督が『未来のミライ』を公開して興行収入28.8億円、2019年に新海誠監督が『天気の子』を公開して興行収入141.9億円、2021年に細田守監督が『竜とそばかすの姫』を公開して興行収入66.0億円と興行面においては新海誠監督の圧勝だった。ただ「国民的アニメ作家、国民的アニメ映画」という枠組みを意識して見るならば、ターゲットが明確に若者の新海誠監督作品よりも、ファミリー層やシニア層など幅広い層を包み込む、という意味での「国民的作家」は細田守監督の方なのではないか、とも感じていた。

いまの僕は、アニメーション制作をどこか公共事業のように捉えています。お役所仕事という意味ではなく、アニメ映画は必要とする予算や人員、興行的にも今や大規模になっているので、「お金を使って何百人、何千人を巻き込んで行う公共性のある行い」という認識になってきました

【特別対談】山田尚子×新海誠が語り合う、創作論から監督ならではの悩みまで―― : 映画ニュース - 映画.com

しかし興行収入149.4億円を記録した2022年の『すずめの戸締まり』で新海誠監督は若者向けに特化した作品ではなく、幅広い層からの支持を集める「国民的作家」の使命を果たすような作風に変化させてきたことで、「国民的作家」の地位を確固たるものにした。

 

 

  • 最後に…

一方で今年の細田守監督の『果てしなきスカーレット』は日テレが「大苦戦」と認めるほどの大滑り。冒頭の「細田守監督と新海誠監督、一体どこで差がついたのか…」との問いは、要は「今や新海誠監督の方が細田守監督よりも『国民的作家』」と言っているに等しいが、個人的に敢えてその質問に「国民的作家」を評価軸に答えるとしたら『すずめの戸締まり』だとは思う。とは言っても、10年前に新海誠監督の躍進を想像出来なかったように、今後のことは誰にも分からないので、これはあくまでも「今の時点での認識を示すのなら…」という話ではある。

 

 

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