ネタバレ注意
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のネタバレ問題の駄話。
- そもそも何がネタバレ扱い?
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は日本でも興行収入35.4億円の大ヒットを記録した『オデッセイ』の原作小説『火星の人』を執筆したアンディ・ウィアーによる2021年に出版されたSF小説。本小説は記憶を失った主人公が周囲の状況と自らの科学的知識を活かして、今の自分が置かれている状況を把握していき、何故自分が今の状況に置かれているのかを思い出していく、一人称視点の作品。ただ『オデッセイ』と同じリアリティライン高めの宇宙サバイバルだと思って読み進めていくと、物語途中で異星人が登場して本作のジャンルが『E.T.』のような「ファーストコンタクト」モノだと判明する。ここに多くの読者は驚き、同じ読書体験を他の人にもして欲しいと思ったから、「ネタバレ厳禁」扱いの小説としてオススメされた。
- 原作未読で予告編を見ると「どこがネタバレ?」
ただ本小説の実写映画版は予告編の段階で異星人の存在を明らかにして、「ファーストコンタクト」モノだと大々的に宣伝している。つまり原作小説未読の人間は、この映画の予告編を観た段階で「異星人の出る映画だ」と認識してしまう。そのため原作小説を事前情報なしで読んだ人たちのように「主人公と同じタイミングで異星人の存在を認識して驚く」という体験が損なわれてしまうため、原作既読者からは「予告編は見せ過ぎてるから、ネタバレを知る前に原作小説を読むか、予告編を見ないで映画館に行って!」という声が上がったのだ。ただ「異星人が出る」というのは物語の前提のため、原作小説がこういう評価のされ方をしていることを知らないと、「なんか色々とネタバレにうるさい人たちがいたけど、結局これの何がネタバレなの?」となりがちではある。他のジャンルに例えるなら「ミステリー小説で殺人事件が起きること自体がネタバレ扱い」みたいな話だからだ。
- 原作者は「ロッキーは隠すべき秘密ではない」
映画版でも異星人の存在を明かさない道もあっただろう。それこそ『オデッセイ』の予告編のような感じで記憶喪失の宇宙飛行士による宇宙サバイバルとして売り出して、観客を驚かせるというやり方も可能だったはずだ。
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
— 映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』公式 (@ProjectHM_movie) 2026年2月8日
原作/製作のアンディ・ウィアーから
日本のファンの皆さんへ 大切なメッセージです🔻 pic.twitter.com/w7wTi8NUTh
しかし映画製作側は予告編の段階で「これは地球人と異星人の交流を描いたファーストコンタクトモノですよ」と明かす方法を選び、「ネタバレ厳禁故に予告編すら見るな」とする勢力を牽制するような原作者による「ロッキーは隠すべき秘密ではない」とのコメント動画も配信。「予告編を見るな」は宣伝側からすれば営業妨害みたいなものなので、原作者カードを使うのもある意味当然ではある。ただ特に拡散されている訳でもないこの件に関する投稿に公式アカウントが直接この動画を送りつけていたのはやり過ぎにも思えた。
A city of stars shining just for them 💫 #ProjectHailMary pic.twitter.com/Q34bfWginf
— Project Hail Mary (@projecthailmary) 2026年3月16日
ロッキーの存在を秘密にすべきだったか否かに関しては個人の感覚の問題が大きいので、両サイドが折り合うことは難しいだろう。個人的にも「ロッキーの存在は完全に伏せておいて欲しかったな〜」と思う反面、「でも製作側としてはロッキーという劇中最大のアイコンを宣伝で使えないのは歯痒いだろうし、実際ロッキーを使った宣伝は魅力的だったしな〜」という二つの気持がある。
- 最後に…
youtu.beそんなこんなで個人的な結論は特にないのだが、この映画に限らず一般論として「ここ予告編で伏せてくれていたら良かったのに〜」と思うことも、「この映画の魅力予告編で全然伝わってないから、もっとこの要素を前面に出せば良かったのに…」と思うことも結構あるあるな気がする。最後にこの手の「えっ、この作品このジャンルだったの!?」系の作品としては予告編で全くと言っていいほどその要素を匂わせずに隠し通していた『屍人荘の殺人』を思い出したりもした。まー、『屍人荘の殺人』に関してはその要素を前面に出すと逆に客が減る、との見方もあったのかもしれないが…
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